【ブログの概説】中国戯曲について

越劇・黄梅戯・京劇などは全て日本だと「中国伝統演劇」などと言われますが、原語では大体「戯曲」となります。歌舞伎と比較されがちですが、その歴史は意外と新しく京劇で200年くらい。現存する最古の演劇は崑曲で、越劇ですと06年で100年、黄梅戯だと200年です。ここでは戯曲=地方劇という単語を使っています。

地方劇の言葉

中国には300種ほどの地方劇あり、原則的にその土地の言葉を使って上演します。京劇なら北京語、四川省の川劇なら四川語など。川劇は一瞬で隈取のメイクが変わる「変瞼」という秘儀で有名ですね。黄梅戯は普通話ですが、越劇では江蘇省・浙江省・上海あたりの言葉が主に使われますが、全国第二の劇になるにあたり普通話化が進んでいるようです。ちなみに黄梅戯は全国五大劇の一つ。

地方劇の特徴

戯曲の特徴としては、①小道具や背景よりも役者の演技で時間や場所を表現、②唄を必ず伴い重要な感情表現である、③写実よりも写意、というところでしょうか。京劇では舞台に椅子とテーブルしか置かない、という事をよく聞きますね。越劇や黄梅戯では京劇よりも現代的・写実的なところに特徴があり、服飾や髪形・舞台装置においても京劇よりも具体的です。

越劇・黄梅戯の特徴
越劇では「紅楼夢」「梁山伯と祝英台」などメジャー演目の通り、男女の機微を扱ったものが多く武技や立ち回りなどは京劇より控えめ、黄梅戯では成り立ちからか滑稽技も多くなります。京劇が北方の代表であれば、越劇・黄梅戯は南方が本拠地です。そのためカラーもかなり違いますので、これはもう見ていただければおわかりになると思います(^^)


地方劇の演目
演目は古代を舞台にしたものから、民国期、そして最近ではマクドナルドが登場する現代劇などもあります。ただ衣装は明代をベースにした戯曲風の衣装で、歴史的に正しいものではなくデフォルメしてあります。個人的な感想ではやはり明代頃の演目が多いような気もしますが、「啼笑因縁」など民国期の悲劇も多いかな。そして真髄はやはり唄にあり、西洋のオペラともまた違ったよさがあります。

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# by hungmei | 2007-01-04 00:00 | ※このブログについて※ | Comments(0)

新星走紅大登場「紅楼Y頭」

ネットショッピングサイトの影視王さんで見つけた紅楼夢が題材の、昼メロドラマです。
2003年作品、21話の古典青春偶像劇。余談ですが童顔美人が多く、見ているとちょっと食傷気味。大人っぽい美人が見たい。

モチーフを借りただけで、基本的に本筋からはずれまくってます。以前アップした10集の中韓合作ドラマよりも、話数が多く昼メロ風味5割増な感じ。平児が賈レンの長男を産んで「平姨娘」になったり、玉釧児と茗烟がくっついたり、小紅を賈芸と興児が争ったり、そもそも賈芸は本家筋の息子で煕鳳たちと同居していたり。中盤で小紅は芸と結婚が決まり「玉の輿!」と喜んでいたら煕鳳のとんだ邪魔で不名誉な破談となり、自殺未遂をはかります。女工哀史みたいな。

あ、でも晴ぶんが死に宝玉が芙蓉女児誄を作ったり、賈家が没落後やや持ち直すところなどは一緒です。ただ襲人が結婚するのは、蒋経由で北静王から忠順親王へとりなしをつけるため、王夫人に説得されて嫌々でした。襲人は原作よりさらに潔白に描かれている感じが・・。煕鳳が獄神廟の中でレンからの休書(離婚届か)を渡されるところは珍しい。抄家と同時にご隠居も亡くなるし、曹雪芹の失われた後30回ぽい?最後に賈芸と小紅夫婦が活躍するところも、最終回で麝月が残され姨娘となるのもそれっぽい。

黛玉や宝釵、四春はY頭の会話にだけ登場し姿も形も見えません。無理に出しても変ですし、潔いですね。李ままや多姑娘が原作よりさらにワルで、王善保の妻などいろんな人の悪行をこの二人に集約してあり笑えます。気性が激しく口が達者な晴ぶんが絶句するあくどさに、むしろ多姑娘の活躍に魅入ってしまいました。平児のお産の時も何故か手伝いに来ていて、ひっかきまわして帰っていくし。それにバカ姐大活躍で、ストーリーよりキャラクターです。面白いです!蒋玉函の女装シーンもあり。

錫恵園林や上海大観園で撮影されており、衣装は謎の戯曲風でどハデですが背景は見ごたえ十分です。ただやたら「請安」シーンが多く、賈家の規則の厳しさやいかに奴隷を苦役させているかが強調されており、還珠格格を思い出す感じも。あのヒット作品からやたら旧事の挨拶ネタ等々が時代劇で増えた気がするんですが。お笑いコンビ北陽の虻川に似た芳官、えなりかずき似の宝玉、井上和香みたいな襲人、チャングム役のイ・ヨンエにそっくりな鴛鴦、永井勝みたいな賈芸と、親しみ溢れる作品でした!
# by hungmei | 2007-01-03 19:37 | 3紅楼夢/ドラマ、書籍等 | Comments(0)

【ブログの概説】戯曲基礎用語

ご参考までにどうぞ。
2013/09/17 コメントにてご指摘をいただき誤字を訂正いたしました。

※行当(役柄)

生(せい)・・・男性役、旦(たん)・・・女性役、丑(ちゅう)・・道化役
「小」がつくと若いという意味で小生は若い男性役、小旦は若い女性役。
「老」がつくと老け役で、老生は壮年の男性や老人、老旦は結婚した女性や老婆役。

京劇での小生はヒヨッコ扱いですが、越劇では主役です。
黄梅戯では丑が結構いい味出してますね。

越劇「碧玉簪」では、珍しく道化役の旦が出てきます。外見も言動もマチャミみたいです。
それほど多くはなくとも武旦もおり、「何文秀」ではその武技を見ることが出来ます。

さらに見てみる
# by hungmei | 2007-01-03 00:00 | ※このブログについて※ | Comments(13)

【ブログの概説】ショウ・ブラザーズ黄梅調映画について

d0095406_645441.jpg  昔の香港映画といえばカンフーや義侠物ですが、その牙城が70年代ショウ・ブラザーズ。50年代から古装(時代劇)や黄梅調(中国オペラ)で人気を博しました。日本でも『西太后』のリー・ハンシャン監督、カンフーだとティ・ロンやキン・フーがおなじみ。特にキン・フーは時代劇や黄梅調で俳優業をこなし、監督デビューは京劇原作『玉堂春』。ショウブラは他に70年代エロス映画も有名です。amazonでの日本版DVD紹介ページ

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# by hungmei | 2007-01-02 00:00 | ※このブログについて※ | Comments(2)

李翰林「火焼円明園」「続・西太后」

「火焼円明園」は83年、日本では同年公開の「垂簾聴政」と二作あわせ日本で「西太后」として公開された作品です。中国政府の肝いりで製作、監督・主演ともに同じく劉暁慶・李翰林コンビ。「続・西太后」の方は原題「一代妖后」89年作品。前者は娯楽時代劇でもシリアス、後者は完全ただのエログロという感じでした。しかし「火焼・・」で本土や香港スターが共演した時は、その経済的ギャップがすごかったらしいですね。大変・・。香港サイドが豪華な生活に比べ、本土チームは月給50元とか。

「火焼円明園」は見てみるとやはり日本版で削られたシーンの数々が!忙しいときでも無理してみてよかった!前半はエホナラ氏の後宮入りと男子誕生まで、後半は1860年の対外戦争について。激しい戦闘シーンが愛国的に描かれており、中華民族万歳、みたいな感じ。イギリス軍への民衆レベルの抵抗はおなじみのトーンで真っ赤なバックが似合いそうです。日本版ではほとんど削られているのもちょっと納得。

日本版では出番の少なかった張鉄林(恭親王)を見て「還珠の時とカオが変わらん!」と思ったのと、西太后の出産シーンが印象的でした。咸豊帝との甘酸っぱい出会い編から冷却期、エホナラ氏の画策により再び寵愛を得て懐妊と・・西太后が一番最初に皇帝の心を捉えたきっかけが、他の選秀女の女子とのラッキー(マギー慎司の芸)ごっこだったのがウケました。最期には手足を切られ、人ダルマにされる麗妃役の周潔は、バレリーナ出身でぱっと人目をひく美人。西太后に粛清される美人后妃がはまり役です。

クレジットにも歴史学教授という先生が出てきますが、ヌルハチの予言「エホナラ氏の娘が清朝を滅ぼす」とか、エホナラ氏が花園で唄を聞かせゲリラ的に皇帝の気をひいたとか、今では俗説となっているエピソードも多い気がしますが・・当時だからか、娯楽映画だから構わなかったのか。面白いから構いませんけど(^^)でも蘭児時代の劉暁慶、ほんと綺麗だったなあ。さすが女優さん。

「続・西太后」の方は日本語字幕版をビデオで鑑賞。劉暁慶(西太后)、陳<火華>(東太后)と監督は前二作と同じ。加えて同治帝とのロマンスが描かれる宮女にコン・リーと、女優陣が豪華ですが全体としてはイマイチ!同治帝がおっさんで十代に見えないし・・・TVドラマ「康煕王朝」や「HERO」始皇帝役のビッグネームの陳道明ですが、ちょっとこの役には合わないのでは?

コン・リーの宮女も突っ込みどころ満載で感情移入できず。前二作が名作としてDVD化、最後のこの作品がそうでないのも納得でした。ただ皇后吊り下げシーンだけは、同年代の子と話してみんな覚えているくらい鮮烈で、この作品のハイライトはそこかも?全体的に見所シーンのためにストーリーをひねり出してあるように思えて、無理があります。でも小さい頃、大好きだったんですよね。気持ち悪い子どもですが(汗)

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# by hungmei | 2006-12-14 20:45 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(9)

リーハンシャン監督「垂簾聴政」

大女優・劉暁慶主演で娯楽時代劇映画の金字塔(と、私が思っている)80年代の李ハンシャン監督の映画です。このブログでも何度か言及し、疑問だった「皇后吊り下げシーンの有無」を確認しようと手持ちのほかのDVDも見てみました。

というか、本当は夏に書虫で注文しとっくに忘れていたら最近届いたので、これ幸いと鑑賞。果たして、内容は手持ちのVCDと同じ・・。西太后が既に皇帝の嫡子を産み、ちょうと咸豊帝から同治帝の代替の頃が舞台。なので同治帝の皇后吊り下げシーンも出てこないし、西太后ことエホナラ氏が後宮入りしたばかりの頃の話もない・・。

寂しいです。何を見ればあの映像がまた見られるんだろう?劉暁慶なのは間違いないので、彼女が出演した映画でそれらしいのは片っ端から見ればめぐり合えるでしょうか。そう考えてしまうほど残念です。余談ですが、この映画、ラストのテロップが「再会」。斬首シーンなどもあり凄惨極まりない映画のわりに、のどかな挨拶のような・・。続編があるからかな?
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# by hungmei | 2006-12-02 21:55 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(7)

江蘇評弾DVD「評弾精華」

中国楽器・音像資料ネットショップ「江南春琴行」さんで購入。1700円くらいでした。

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江蘇・浙江省はいわゆる「中国」文化の精華を集めたような場所で、その伝統芸能である
評弾を初めてきちんと視聴です。・・・・でも生半可な知識で完全に江南春琴行さんのメルマガ
の受け売り(笑)。評弾って、きっとこの琵琶のような楽器の名前なんですよね。こんなまま
ブログに書いてしまっていいんだろーか。

このお店はよく利用させてもらっていますが、中国伝統音楽や崑曲にとても詳しい店主さんが経営されています。メルマガもすごく勉強になる。戯曲は好きだけれど、音楽には門外漢な私はいつもメルマガで紹介されていたものや、見てビビッときた物をジャケット買い。失敗したらどうしよう、とちょっとドキドキです。

なんだかんだでハズレは今のところなくて、今回のDVDも良かった!弾き語りスタイルで唄が中心だとは知らずに見たので最初は面食らいましたが、「鶯鶯操琴」(西廂記)・「紫鵑夜嘆」(紅楼夢)・「杜十娘」(牡丹亭)・「梁祝・送兄」(梁山伯と祝英台)と、戯曲でお馴染みのモチーフがたくさんでそこもツボ(^^)それにこれらの戯曲ってみんな江蘇・浙江が地元だなあ、と改めて文化の豊穣さを実感です。

「紫鵑夜嘆」は宝玉・宝釵の結婚後、紫鵑が黛玉の臨終を思い出しながら夜寝られず、嘆いている・・という唄ですが、原作とちょっと違うようなところもあり。「新娘は喜びに満ち溢れ・・」とか。宝釵は・・喜びまくってはいないよなあ、とか(しょーもないツッコミですみません)。でもビブラートがきいた、歌詞が少なめでゆったり歌う様子はとても素敵でした。他は普通のチーパオですが、「鶯鶯操琴」だけは戯曲風に昔の衣装でとても凝っています。
# by hungmei | 2006-11-19 21:11 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)

横浜中華街で越劇観劇

南京町を満喫した翌日は、新幹線で横浜に向かい中華街「チャイナスター」にて越劇講座を受講。チャイナスターさんは横浜中華街で京劇を上演している貴重なお店で気になっていましたが、ここもお初。道に迷い遅刻するも、生まれて初めてライブで越劇を見られて感動!!唄は紅楼夢「問紫娟」や「打金枝」。間に合えば「金玉良縁」も聞けたみたいなので、非常に残念。お店の趣旨や認知度もあってか、越劇講座は「京劇とどう違うか」に主眼のおかれた紹介で、却って京劇のほうがわからない私にはちょっと不思議な感じ。

中国伝統劇での役者さんは「目で語る」といわれるように、女優の史甜甜さんはとても目力のある方でした。公演中ずっとライトの照明が黒目に写ってものすごくキラキラした瞳になっており、ライブの迫力を改めて実感。質問コーナーもあり、ずっと気になっていた「小生の胸あて」について質問できました!でも内容だけにちょっと失礼だったなかな、とも反省。小/老旦、小/老生、花瞼などの行当は戯曲学校の先生が入学時に決めるそうで、なかなか難しいんですね・・。

京劇俳優であるチャン・チンホイさんと共に、越劇・京劇それぞれの小生の演技を比べて見せていただいたのですが、そのときの甜甜さんがやられたのが紅楼夢「読西廂」冒頭(だった、と多分思う)。宝玉が庭で西廂記を読んでいるところへ黛玉がいあわせ、「僕は多愁多病の身、あなたは傾城の・・」と語りかける部分です。中国語ぜんぜん出来なくても、音で覚えていたので、ちょっと感動。細かい衣装の違いなどとあわせ、新しい感動がありました(^^)


# by hungmei | 2006-11-06 16:26 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(2)


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