邵氏出品・李翰林監督『金玉良縁紅楼夢』(1977)



お気に入りショウブラザーズ作品・リーハンシャン監督の77年香港映画です。たまにオークションなどで見かけ、気になっていたので、今回「中華迷」というお店でゲット。この作品はyoutubeでもハイライトが見られます。主演の2人は今も現役の台湾人女優さんですね。

ストーリーは黛玉入府⇒宝釵入府⇒役者との交際がバレ折檻⇒黛玉葬花⇒紫鵑の嘘で宝玉がおかしくなる⇒偽りの結婚⇒黛玉の死⇒騙されたと気づいた宝玉、修羅場へ⇒紫鵑と宝玉の応酬⇒賈家の抄家、で終わり。随所に唄が入り、戯曲映画って感じでした。越劇や他の映画であればたいてい宝玉失踪で終わるので、最期に抄家があったところはちょっとオリジナルでしょうか。でも年代的にも唄があるところも、黄梅調といいつつ越劇の影響は相当あるんではないかと思います。黄梅戯の紅楼夢は、90年代の新版の前からスタンダード版がずっとあったのですが、そちらは今ではあまり見られないので、比べようがないのですが・・。

宝釵・襲人の出番が少なく紫鵑が活躍する事、煕鳳とご隠居が完全なる悪役である事、王夫人は特に役立たない事など、従来の戯曲の人物形成を踏襲してあるように見えますが、意外に面白い脚色も多かったです。宝釵は結婚式で宝玉に負けんばかりに泣くし(そりゃーいたたまれないだろうなあ・・)、黛玉も死ぬ時はとても病人とは思えない暴れ具合、宝玉が賈政に折檻される時はさすが香港映画といった感じのオーバーリアクションです。

また同監督で、日本版DVDもある『金瓶梅』で主人公の胡錦が煕鳳を演じており、顎のホクロが艶かしい悪女を好演しています。他の女優さんは当時の流行か、みんなバタ臭くていまいちしっくりこなかったのは私の好みのせいでしょうか。張艾喜の黛玉も捨てがたいですが、やはり出家で噂のCCTV版ドラマの陳暁旭さんのようなタイプこそイメージに近いと思います。吉永小百合と木の実ナナの違いみたいな。張艾喜だと健康そうで薄幸の美人に見えない。衣装などは台湾などの映画祭で美術設計賞、最優秀服飾賞を獲得したとても煌びやかさ。背景はめちゃくちゃ豪華です。



ブリジット・リンの宝玉は華奢だし顎も細くてとても幼く見えます。他のキャストはもっと年上に見えるので変な感じ。冒頭では焦大が「今の賈府といったら、乱れきっていて、とても林姑娘をお迎えすべきでない」と不吉な予言。彼女が亡くなった後は、越劇「問紫鵑」のように宝玉と紫鵑の掛け合いがあり、「妹妹の琴はどうなったの?」「知音もいませんのに、誰が弾くというのでしょう?」と・・。たくさんある唄も宝玉、黛玉のみならず煕鳳、焦大と結構バラエティ豊か。歌詞も原作のハンカチの詩、紅豆曲、もちろん葬花など少しずつ変えられていますが内容は同じでした。

煕鳳が一計を案じるシーンが長く具体的なのも特徴で、「嫌よ嫌よとは言っても、新婚の床上ではお互いにまんざらでもなくなるでしょう。」というのがちょっとリアルでした。そんなのヤダ。原作の結末は曹雪芹作ではなく賛否両論ですが、私はどっちかというと否定派なので、踏襲してある結末だと実は受け入れられないかも。まあ当時の結婚なんて個人の好みは一切ないでしょうが、そこへ抗議したかったのが紅楼夢だろうし、宝釵を正室・黛玉をニ房って現実的にありかと思うのですがやっぱりそんなの見たくないし。そういう続作はあるけど・・。

キャストのはまり具合だけでなく、非常に不幸な結末ではありますが、私にはCCTVのドラマが一番です。原作の「林妹妹は好きだけれど、宝姐姐にも悪いし・・」と同衾してからはなし崩しで若夫婦ぶりを発揮する宝玉を見てるとグーで殴っていいですか?と。あっでも黛玉焚稿だけは後40回の最高傑作ですね、これだけは凄い!戯曲や映画だと時間の制約もあり仕方がないですが、やはり善悪はっきりあるよりも、誰が悪いわけでもなく運命に翻弄され辛酸を味わういう方が納得がいきます。宝釵も襲人もご隠居も好きだし、後40回で急に悪役になると悲しいですね・・・。

しかしこの映画だけでなく、香港映画では『紅楼夢』61年というのがあったり、台湾で70回近いテレビシリーズの紅楼夢があるらしかったり、気になります・・・。でも原作90回台で黛玉が死ぬのは迫害されてですから当然ですが、CCTV版のようにそうでない場合、彼女の臨終時に付き添いが紫鵑だけってちょっと違和感も。容態が急変したか、演出効果か、やっぱり後者かな?この映画では黛玉の最期、宝玉の幻影を見てそれを追いかけ部屋を出て行こうとして床上にて絶命します。黛玉の臨終に、宝玉がもしいたら・・・などと、果てしないifを考えてしまうシーンでした。
# by hungmei | 2007-03-13 19:52 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(1)

’格格劇’『格格要出嫁』

ネットショップYesAsiaで偶然見つけたこのドラマ。全30話のVCD3千円でそれほど高くなかったので買ってみました。清朝宮廷コメディと、私の好きな三要素がつまってると思ったので・・・。監督は『還珠格格』や同じチャンヤオ原作『情深深』の李平。ほか2001年春節晩会最年少歌手で演技初挑戦の倪蓉思、朱石(石三つ)、寇沈海、海波など出演。2002年作品。

あらすじは⇒モンゴル林丹汗の愛娘・金蟾は、父の戦死に伴い摂政王ドルゴンに引き取られ清朝の格格(皇女)となります。第二代ホンタイジの頃、その息子である九阿哥と金蟾は実の兄妹のように仲良く育ちます。末弟の十一阿哥も含め、勉強も遊びも常に三人一緒。父の急死のため6歳にして第三代・順治帝となった九阿哥ですが、その後も仲良しには変わりませんでした。皇帝が成人し大婚の話が出ると、彼が皇后にと望んだのは幼馴染の金蟾。しかし生母の考庄太后は、金蟾は「六絶」=父母・兄弟・姉妹がいないので認めません。

この二人のもどかしい純愛を下に、少数民族の藩から人質として宮廷内に住んでいる多羅郡主やそのお相手となる反清の闘士、順治帝の腹心の部下と皇族暗殺を成し遂げた女義侠が恋に落ちたり、恋愛ものかと思わせつつ考庄大后はドルゴンとベタベタだし、ドルゴンがまたいかにもな好色おやじでいろんな女性人くっつきまくる。ホンタイジの長子・大阿哥も野心満々、かつ超女好き。純愛もあるんだけど、ベットシーン満載で、ちょっとアダルトな感じです。ベットがギシギシ揺れまくって行為の激しさを表していたり、見ていてちょっとびっくりしました。ドルゴンと考庄太后のベットシーンが多いです(汗)。

ヒロイン金蟾は子ども時代を草原で過ごした事もあり、自由闊達で常に宮廷から出たがっています。子ども時代も順治から「鳳凰になりたくない?」とプロポーズされて、「モンゴル人にとって鳥といえば鷹よ!」とマイペース。しかも大人になってからも下着姿で皇帝と同床するものだから、ドルゴンに二人は既に肉体関係があると勘ぐられます。入関したばかりで漢人の纏足を見て驚くエピソードや、「髪を留めれば頭を留めぬ」という噂の辮髪令施行、明の遺臣で反清の闘士や戦争ネタがたくさん出てきます。漢人として儒教道徳を順治帝に教授する参謀の範大人は、還珠で福倫役だった海波さんでした。その割に太后とドルゴン結婚しますけど。
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考庄大后とドルゴンは金蟾を諦めさせ、大婚をと躍起になりますが相思相愛の二人の前ではうまくいきません。最後は皇帝の出家っぽいんですが、最終話のVCDが不良品。史実どおり死んだら一気に悲恋?しかし順治帝、史実だと14歳で初婚で24歳で亡くなるのに子ども多いですね。それに還珠といい現代の適齢期にあてはめちゃうと、十代のうちに結婚する当時に比べて俳優さんの外見に違和感が。20代後半にも見えて「もう通房Y頭=お手つき侍女の1人や2人・・」と想像してしまう。しかし作中、義理の兄妹である事は特に問題にされないので、清朝の初期の頃の雰囲気が出ているのかな?

パッケージからの第一印象に反し純愛ものでなく、順治帝の成長過程がメインかも。間抜けな襄郡王(=十一阿哥)が女装したり落とし穴にはまるわ、献上されたビールで敵味方会い乱れ酔っ払うわ、のどかなところもありますが、どうも愛と欲、色と政治、って感じ。かといって大河ではなく・・・。特記すべきは主人公達の子ども時代が5話までと眺めで、面白かったです。後宮で発狂した瘋太妃役に、狂女や乞食役の得意な女優さんがいたり、話よりキャラクターが断然面白い!ナイスな侍女や宦官たち、金蟾も可愛いです。しかし結末が気になる・・・・。ネットで探したんですが、あんまりヒットしなかったのかなー?金蟾が政治的にも活躍するのが、印象深かったです。d0095406_1045433.jpg
# by hungmei | 2007-03-10 18:07 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(1)

戯曲ドラマ・映画/舞台版/カラオケ版の違い

直接戯曲の知識とは関係ありませんが、わたしはこの違いにこだわっています。舞台版はやはりライブで見たいし、そうすると回数が限られほとんど映像ソフトで鑑賞している状態では難しいです。映像ソフトの商品詳細にも大体書いてありますね。個人的にカラオケ版が見やすくて好きです。戯曲はやっぱり唄!

<ドラマ・映画版>※一番わかりやすい!
・背景、小道具、ロケ等で臨場感があり、普通の時代劇や現代ものと変わらず楽しめる
・話がわかりやすく改作されていたり、1話完結であれば舞台版より短い場合もある
・衣装、メイク、髪型が舞台ほどデフォルメされておらず、現実に近めになっている
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<舞台録画版>※一番通好み!
・簡素な背景、小道具も必要最低限、演技は針と糸なしで裁縫する姿を表現など
・伝統的な仕草、配役、音楽などなどなど深く楽しむには知識が必要な時も
・アングルが固定気味、時間は3時間前後が多く、たまに飽きてくるかも

<カラオケ版>※一番気軽に楽しめる!
・戯曲は唄で物語が進行していくので、ダイジェストのようでむしろわかりやすい
・衣装、背景、小道具はだいたいドラマ・映画版に準じ現実的で見やすい
・何といっても必ず字幕があるので、言葉が出来なくてもわかりやすい
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中国語できない自分も、カラオケ版の字幕を見ていると唄いたくなります。あくまで私の主観、かつ映像ソフトで鑑賞した場合。舞台はナマで見ればもちろんそのほうが断然素敵通好みですね。黄梅戯や越劇って映画やドラマ多いんだけれど、京劇ってあんまり見ないような。余談ですが07年CCTV春節晩会にも戯曲で上記の三演目が入ってます。舞台版でも新作ものは上記の条件にあてはまりません。
# by hungmei | 2007-03-09 08:59 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)

『鴛鴦配』安徽電視台2000年新春ドラマ

3つ前の記事で黄梅調映画『鳳還巣』をご紹介しましたが、今度は同じ演目のドラマ版です。2000年の新春ドラマらしく、日本で言うなら新春時代劇みたいな感じかな?それが戯曲ってのがいいです!日本で歌舞伎風ドラマって、ないもんな・・・。歌舞伎は歌舞伎にしかならいし・・。戯曲がベースですがお化粧といい演出といい、あくまで唄の入った普通の時代劇という趣も強いドラマでした。有名な女優さんの徐君が主人公を演じています。

オープニングは派手な特殊効果が使われまくりで、いろんな映像技術を試して戯曲ドラマ作っちゃいました、という感じ。とにかく派手!京劇『鳳還巣』を元に改作してあり、細かい違いはたくさんありますが、大きく違うのは戦争がないこと。都が被災し登場人物の多くが軍営地に逃げ込み、そこでめでたく主人公が結ばれる『鳳還巣』に対し、『鴛鴦配』はその代わりに皇帝勅令の招賢傍で話が展開します。

<あらすじ>抄家のため3年隠居していた穆居易ですが、父の親友の程大人の引き立ててで婿候補として迎えられます。程家には才媛の誉れ高い長女の紫蓮と、不細工で間抜けな二女の紫菱の二人の娘がいました。大人は姐の婿とするつもりが、妹の実母で姐の継母にあたる程夫人は、妹にこそ穆公子を婿に!と主張。池を挟んだお見合いでも姐と穆公子は互いに好印象でしたが、夫人の入れ知恵で妹が「紫蓮(姐)」と偽って穆公子へ夜這いをかけます。驚いて翌朝誰にも告げず程家から逃げ出す公子。

写真は夜這いシーン
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他の婿候補である皇族の朱燠然も姐を狙っており、穆公子が逃げたのを幸いに姐と結婚しようとしますが、手違いから妹と結婚することに。最初こそ「この母夜叉!」「なんでえこのブサイク!」と罵り合い朱公子なんてお漏らししちゃうんですが、なんだかんだでラブラブカップルとなった妹と朱公子。それを見て程夫人は渋い顔、一方で姐は侍女の春香を伴って男装し穆公子を追いかけ、途中で公子が「紫蓮」と「紫菱」を勘違いしている事を知ります。一計を案じた姐はそのまま帰宅し、同時に程対人には皇帝から「この字句を解題せよ」とのお達しが来ます。

皇帝の使いの周公公にせっつかれ、途方にくれた大人は全国に通達を出し、この解題が出来る賢人をと募集。街頭でその張り紙を見た穆公子は「この間は縁談から逃げたが、男子たるもの名を挙げねば、これは千載一遇の機会」とばかりに応募します。再び程家へ赴き見事に解題した穆公子ですが、夜這いの一件で酷く怒った公子は再度の縁談には応じません。しかし忠義者の侍女・春香の働きで夜這いをかけたのが姐でなく妹であった事に気づいた穆公子。しかし姐の紫蓮は自分へ夜這いの嫌疑がかけられた事に怒り、結婚するには3つの問題に正解してから、と条件を提示。家族総出で公子の解題を手伝い、見事正解した公子と姐は結ばれます。

このへん、喜劇だけに唄はリズミカルで何だかうきうきしてくるし、映画版と違い丑の朱公子も妹も、普通の俳優さんがブサイクメイクで挑んでいるぶん毒が少ないです。見ていて爽やか、朗らか。妹のバカっぷりも、まあ呆れるんだけど、何だか天然で憎めない気がします。いい年して顔に墨で○書いたり、害のないおバカで、有害な映画版とは違う・・。程夫人も映画よりは善人で、それほど怖くないし。3時間ドラマで余裕があるぶん、門番のおじちゃんや侍女の春香などナイスな脇役も多くて見ていて飽きません。春香は姐づきなのですが、アホな妹の方にも苦笑しつつ普通にメンドウを見ていて、茶目っ気もあるしかわいかった!

小さい違いでは、キーマンである侍女の春香が映画版では「梅香」であること、映画でオヤジトリオで活躍するキュートな元帥がいないこと、才媛の姐・ブスな妹と長幼の順が映画版と逆な事、でしょうか。穆公子は映画版で軍人ですがドラマ版では文人です。特殊効果も凝ってるしアングルも戯曲映画にありがちな単調さがなく、見やすいかも(ちょっと暑苦しいけど)。ラストにはメイキングを兼ねたEDで、製作スタッフの方々や唄を録音する風景(映像と唄は別撮りなんですね)、帽子をとったらスキンヘッドの男優さんなど揃って「新年好!過年好!」と大合唱。いろんな意味で忘れられない作品です。現場の熱気が伝わってきて、新年に相応しいですね。
# by hungmei | 2007-03-04 10:41 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)

『王煕鳳与尤三姐』黄梅戯

黄梅戯の舞台版なんですが、最近紅楼夢で全然書いてなくて寂しいので、カテゴリを無理やり紅楼夢に。安慶市黄梅戯一団演出の、原作60-70話で有名な尤二姐のエピソードからとったもの。タイトルで「尤三姐」なのは、そのものジャケット自体大間違いで妹の三姐になっているので・・・。さすが大らか?にしてもダイナミックなミス。中国文連音像出版社発行で、ここの会社は黄梅戯の大手みたいですが、日本で買ってもパッケージ破損している率NO.1です・・。

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見やすくまとまっているし、唄も多くて見ごたえがあるのですが、いかんせん配役がちょっとミスキャストかも。市原悦子似の煕鳳に、ドラマでは冴え渡る美人が多い尤二姐もホッペタぷくぷくの垢抜けない学級委員長みたいなお顔。ちょっと萎えるというか・・、何故かお化粧も薄くて、むしろ来旺や賈レンの方が口も頬も紅が鮮やかで、化粧が濃いくらいです。

煕鳳が寧国府や尤二姐の別邸に殴りこむ時は、戯曲には珍しく旗袍・両把頭・厚底鞋で、完全に清朝スタイルです。満州服の紅楼夢が見てみたいと思ったことはあるけれど、やはり男性陣が辮髪くらいでないとインパクトないかもしれません。でも全ての登場人物の色あわせが凄すぎて、赤に黄色、どピンクに緑色、青に黄色とか・・・目がちかちかするし正直、ちょっといただけないですねー(泣)。

派手好きオヤジの賈珍ですが、他の男性がパステルカラーの大人しめな衣装なのに比べ、真っ青で金の縁取りというド派手スタイル。煕鳳も負けじとキンキラキンの装いなのですが、一番目立つネックレスがどうも子どものガラス玩具のようでヘンです。賈母も頬がパンパンの若い俳優さんで、ふけメイクも特にしていません。内山君のようで、何だかヘンです!!

服装への文句ばかりになってしまいましたが・・、最後の尤二姐が死ぬところ、流れた子どもへ縫っていた服を見て泣いたり、愛憎がわかりやすく3倍増しくらいになっています。尤二姐に死を決意させたのは、秋とうの罵倒だけでなく、煕鳳の「あなた珍大哥とも関係があったんじゃない?」「娼妓」という言葉から。こりゃ酷い・・。最後、煕鳳から贈られた金の指輪を飲むのですが、その時は窓の外にこわーい煕鳳の顔が!!

原作を読んでも尤二姐って多分性格が優しくて、何でも断りきれないタイプなんだろうなあーとか、賈レンが尤二姐の復讐を誓っても「遅い!早めに気づけ!」と憤ったり、秋とうの思慮のない子粒悪役ぶりを見て「こういう煩い人、今でもいるなあ・・」と、紅楼夢の中でも臨場感溢れるエピソードだといつも感じてしまいます。もー尤二姐、何でみすみす煕鳳の罠にかかる!侍女も止めてるのに!ともどかしいんだけど、憎めないのは彼女の人の良さからですかね・・。

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# by hungmei | 2007-02-28 15:27 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(2)

『秋菊打官司』張芸謀監督・コンリー主演

今はもっぱらチャンツィーがそうですが、チャンイーモウといえば以前はコンリーと公私ともにパートナー、映画一緒にとりまくってましたね(懐かしい・・)。

この映画はコンリーがノーメイクで農村の主婦を演じ、夫の金玉を蹴って罵倒した村長に対して戦いを挑む物語です。もとはと言えば夫が息子のいない村長をばかにしたのが発端らしいのですが、金を払えばいいんだろ、とばかりに尊大な村長の態度にいたく怒り、家族の制止も公安の説得も聞かず都市の裁判所まで訴えに行く猪突猛進ぶりです。

『あの子を探して』でも同様の、ドキュメンタリータッチ(というか、コンリーとその他何人か以外、本当にロケ地の地元民さん)で撮影されていて、コンリーに見えない・・・。途中、初めて都会に出てきたコンリーと妹が垢抜けない極彩色の服装のせい田舎ものとばれてでボラれ、慌てて服を買い着替えるシーンがあり、うーんリアル・・・と思ってしまいました。実際、中国でどうか知りませんが、農村と都市の落差はよく聞くところだし、自分も首都出身でないためばかにされた経験など考えると、他人事とは思えませんでした。

しかもラストは衝撃です。裁判でも結局敗訴し、控訴を決めていた秋菊ですが、産気づき難産に苦しみ、その際に自分と裁判中である村長の計らいで病院へ行くことができ、無事出産。生まれた息子を間にほのぼのとした和解が成立し、傍観していた夫も反目していた村長も、何とか制止しようとしてた村の李公安も和気藹々としていたら・・・。ここまで書いたらバレバレかな?些細な悪意がどんどん取り返しのつかないところまで発展し、最後は人を苦しめる、以前のチャンイーモウらしい毒のある救いのないラストでした。でもそこがすき。

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当時発足したばかりの新法を理由に、股間のレントゲン写真まで動員し裁判に勝とうとする秋菊、それを助けるボランティア精神に満ち溢れた街の宿屋の主人や弁護士さん、むしろ村長より控えめな李公安と、「夫のメンツのため立ち上がる」という触れ込みに反してもっと自立的というか、安易なヒロイズムでなくて面白いです。終始無愛想・無表情・ぼそぼそ喋るコンリーや他の住民なんか、いかにもって感じ。作中、京劇のような唄が何度も要所要所にはさまれ、村へ巡業に来た劇団の様子なども出てきます。「打官司」といのは、たぶん京劇にある演目からとったのでしょうか?辞書によると、訴え出ること、潔白を主張すること・・とありますが。
# by hungmei | 2007-02-27 19:25 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(2)

『鳳還巣』黄梅戯調映画

日本語版もたくさん出ている香港映画50-70年代の黄金期を支えたショウ・ブラザーズ(邵氏)出品作品。日本でも映画『西太后』で有名な李翰林監督の作品で、時代劇が得意だという監督の真骨頂が見られます。そして何故か黄梅調映画が多いんですよね、この監督。つまりただの時代劇ではなく、唄ありの戯曲映画。なんてすばらしい監督だ。。

ここのブログで以前書いた『真説チャイニーズ・ゴーストストーリー』や『金瓶梅』は日本語版も最近出ていて、ショウ・ブラザーズ作品自体が今香港で復刻されているらしいですね。時代劇・戯曲ファン、それもレトローな映画好きにはたまりません。個人的に、知っているスターがやる時代劇より、やっぱり知らない俳優さん(失礼)がやるレトロな雰囲気の時代劇の方が断然好きです。

あらすじ⇒
兵部尚書の程大人には、庶出の長女=ブスで性格悪、嫡出の次女=美人で善人の娘がいます。親友の息子で今は没落しした穆公子を見込んだ大人は、次女と結婚させようとしますが、側室で意地悪な長女の実母・程夫人は自分の娘にこそ穆公子を!と強硬に主張。もめている所へ南方への長征命令が下り、程大人はしぶしぶ従軍。次女と穆公子の婚礼をまかされた夫人はこれ幸い長女に夜這いを掛けさせ、それに呆れた穆公子は逃げ出します。

そうとも知らず式の準備は進み、夫人の陰謀により本来結婚するはずだった次女は参列も出来ず、長女は新娘の装いでゴキゲン。しかし式に現れたのはなんと長女を前から狙っていた皇族の朱公子。朱公子も美人の次女と結婚するため、逃げ出した穆公子の代わりに何食わぬ顔で花婿として現れます。洞房で被きを取って現れた「母夜叉」に、朱公子は愕然。長女の方も「穆公子だと思ったのに、なんでこんな不細工と」とお冠。

その後、朱公子や程家のある都は被災し、次女と長女家族は別々に程大人のいる軍陣へ逃げ込みます。そこでは目覚しい軍功をたてた穆公子もおり、単身逃げ延びた次女との縁談を進める程大人。穆公子は夜這いの一件を大人に打ち明け逃げようとしますが、穆公子が長女と次女を勘違いしている事に気づいた大人は気にしません。新婚の夜、花嫁と同衾しない花婿を心配した侍女や程大人、その同僚のおじさん達の取り成しで穆公子と次女は結ばれ、めでたしめでたし。d0095406_5435566.jpg

この「鳳還巣」というタイトルは京劇の名旦・梅蘭芳が改作した後に定着したそうで、ほかに「陰陽樹」「玉配」とも。京劇紹介の本には「コメディ喜劇の傑作」とありますが、確かに抜群に面白いです!喜劇だけに丑っぽい演技がみんな上手くて(笑)、不細工で性格も悪い長女が可哀相なんだけど、本人が幸せそうなのでカラッとした笑いに満ちています。この作品は黄梅戯ですが、京劇を元にしたんでしょうか。丑な長女はマチャミを100倍不細工にした出っ歯な感じです。

その婿になる羽目になる朱公子は、皇族というだけでやはり不細工・ドンくさいタイプ。明石家さんまをさらに不細工にした感じ。長女と出っ歯なのが共通・・それも並みの出っ歯でなく、デフォルメされた原口あきまさの出っ歯みたいです。長女は結構気が強いので、気の弱い優柔不断な彼と意外にお似合いです。悪い意味じゃなくて、ハタから見てもなかなか幸せそう。長女の実母で次女の継母である側室の程夫人ですが、これまた典型的な悪役。でも夫の大人に叱責された時、「いいじゃないですか、最後は姉妹ともども相応しい相手と結婚できたんですから」と悪びれない図太さ、潔し!

次女と穆公子の初夜成功に奔走する程大人・元帥・周公公(宦官)のオヤジトリオのユーモラスさ・可愛さは素敵だし、次女のお付で何かと気のつく理想の侍女・梅香(典型的な侍女の名前・・・)や、名前は出てきませんがブス長女のお付でいろいろ笑わせてくれる、でも最後はいい奴なでぶでぶの侍女(ラストは彼女が窓枠に頭挟まれて終わり・・、どこまでもギャグ!)などと、脇役もいい味出してます。これは確かにコメディ喜劇の傑作ですね。知らない人に黄梅戯薦める時は、まずこれを貸そうと思いました。
# by hungmei | 2007-02-26 21:36 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)

『劉三姐』

この演目、比較的新しいもののようで、「歌舞劇」という肩書きとともに目にしていました。かの張芸謀監督の野外ステージも評判になっていて、旅行のパックツアーにも鑑賞が盛り込まれていり・・どれどれそんな人気なら見てみようか、と書虫で「中国電影百年経典」シリーズを購入。1961年長春電影製片。歌舞劇というだけあり、戯曲というよりは衣服が完全に現実的(デフォルメでもなく化粧も現実ふうに薄く、髪型も普通)、むしろ台詞より歌が多いくらいでした。

それも戯曲のように独唱でなく、常に合唱(笑)。<粗筋は庶民の劉三姐は歌が上手で地元民から親しまれており、船夫の阿牛と知り合いますが、老獪な金持ち老爺に再三屋敷に来るよう迫られます。それを拒み続け村人もそれに加勢し、どんどん険悪になる老爺と村人。ある日阿牛の妹・三妹が老爺の差し金で誘拐され、村人総出で救出のため屋敷に怒涛のように攻め入ります。労働者VS資産家、かつ労働者の勝ち!っていう筋がすごく共産党色強い印象でした。国策映画か。

劉三姐役の黄婉秋さん、顔立ちは普通ですが笑顔が爽やか、歌の上手なのとあいまってとてもキュート。確かにこれは村中の人気者になりそう!パッケージには「第二届大電影百花賞、最佳音楽賞、最佳撮影賞、最佳美術賞」とあります。村人という設定でみんな服装はボロボロですが、山河の景色に響く歌声や働く村民の姿が美しく、ちょっと政治色強いけどなかなか面白かったです。
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# by hungmei | 2007-02-23 23:37 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)


鑑賞作品レビュー、視聴検討作品の備忘録です


by hungmei(黄梅)

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