張 淑煥、原田 美佳著、淡交社。帯にもありますが「チャングムなどで朝鮮時代の服飾に興味を持った人は多い」はず、こういう本が出せる(売れる)んですねえ。現存する
当時の衣装がカラー写真でふんだんに紹介されていますが、巻末の文章ページも充実しています。政治史中心の韓国・朝鮮時代の本に比べ、時代劇で出てくる日常生活の習慣、服飾の約束、住居の仕組みや族譜にいたるまでコンパクトかつわかりやすく説明してあるお徳な本。
装身具というだけあって、服だけでなく、髪飾り類が充実していたのも良かったです。朝鮮時代の宮廷ドラマでは身分の高い女性がトルジャムという丸い飾りを両サイドにさしているのですが、その細工はDVDから判断するのは困難なので今回じっくり鑑賞。また髪型の形成過程も詳しく、後頭部で髪をまとめた既婚女性の髪形をチョクチンモリ、そこにつけ髷で華美さを加えたのがオヨモリというらしいです。
宮廷ドラマで王妃などが結っているのはオヨモリで、トルジャムとセットでおなじみ。女官では至密尚書だけに許された髪形だそうです。また両班の女性は再婚禁止とか、「七去」とは言っても義理の両親の三年喪に服した場合は離縁できないとか。
また王妃選びを「揀択」(カンテク)といい、①世子が婚姻する年齢になると全国の女子に結婚禁止令を出す、②両班で、王族と同じ全州李氏以外の娘から選び、③初・再・三揀択の三段階にて選抜。最終段階の三揀択に残るのは3人で、王妃に選ばれた1人以外は、一生結婚しないか後宮(王の側室)になるかの選択が迫られるそうです。王妃を出すと両親が府院君、府夫人に封じられ、
王妃の出身地の行政地区が昇格するらしい(笑)おもしろい!また意外だったのが、応接、読書などを行う家長の住む舎廊房(サランバン)は質素で、女性達の居住する男子禁制の内房(アンバン)の方が室内装飾が豪勢だそう。家長は理想のソンビを体現するための居室として、女性は部屋に居続けるからとかも関係ありそう・・。
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