韓国時代劇『黄真伊(ファン・ジニ)』(2006)

d0095406_22573935.jpg  全24話。「チェオクの剣」で見事なアクションを披露したハ・ジウォンが、実在した妓生で女流詩人として名高いファン・ジニを演じる。李氏朝鮮11代中宗の時代。時代劇のイメージを払拭したかったという監督の意図による、従来には考えにくいラストも必見。チニの舞への探究心、ペンムとメヒョンの女傑対決、プヨンの永遠の二番手としての苦しみなど、個人的には二度の恋よりも女性同士の火花散る対決が面白い!勧善懲悪で人物をわけていないのも特徴で、複雑な心情や人間関係が細かく描かれています。

・・・・・登場人物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ファン・ジニ....ハ・ジウォン 
 芸名はミョンウォル。妓生の娘に生まれ、その出生を哀れんだ母によって寺に預けられる。しかし偶然目にした妓生行列に心打たれ、自らの意思で妓生になる。童妓の頃から頭角を現しメヒャン、プヨンらとの舞対決では無類の才能を見せ、人気に。一度目の失恋(ウノの病死)では舞を封印。二度目にはジョンハンと駆け落ちするも、露見して死刑になりかけた彼を心配し身を引く。そのイザコザで流産し、ジョンハンとは別離。師匠ペンムとは尊敬の憎悪の入り混じる感情を抱いていたが、ペンムの死後には深い愛情を覚える。最後は舞のみを追及する人生に。

ペンム....キム・ヨンエ
 松都教坊の行首(ハンス=責任者)。冷徹なボスといった感じで権謀家。メヒャンとはかつて親友。女楽の行首になる野望をもち、チニの類稀な才能を見抜き芸に精進させようとウノとの仲を引き裂く。自らも稀有な舞の名手で、「鶴の舞」を完成させようとするが、ピョクケスによって妓生の舞を侮辱され楯突いた罪で投獄。チニを側室にすれば許すとされるも、それには及ばないと自死を選ぶ。最後に鶴の舞を舞って崖から飛び降り、王族だろうと舞を愚弄したピョクケスにくってかかる姿はかっこいい(それで死んじゃうけど・・)。キム・ヨンエは久々のドラマ出演。

キム・ウノ....チャン・グンソク
 両班のキム家の一人息子。カウンという婚約者がいたが、童妓時代のチニと恋に落ち、永遠の愛を誓った指輪をチニに渡す。両班(貴族)と妓生(賤民)の結婚を認めてもらおうと両親の静止も聞かず、役所に駆け込む純情かつ世間知らずなお坊ちゃま。しかし最後はチニと引き裂かれ、それを苦にして病死する。チニは彼の死で舞を一時やめるが、その後、指輪を二人の思い出の池に捨て、あたらな道を歩みだす。チャン・グンソクはハ・ジウォンより8歳下ですが違和感なし。この初恋エピソードは「梁祝」も顔負けの悲恋です。
 
キム・ジョンハン...キム・ジェォン
 両班で役職は礼曹判書で、民間の歌や舞を集め採録する仕事。誠実な人柄。チニと恋に落ち、師匠を亡くし半死半生となったチニを救って駆け落ち。身分違いの恋は法に触れるため転々としていたところ、ピョクケスの讒言で発覚。死刑寸前のところをチニの機転で救われ、恩赦で役職復帰するも、チニから結婚を拒まれ破局。その後は民間医師として生きる。見終わるまでキラースマイル俳優だとはまったく気づかなかった・・。

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 人気が出るとどんどん話数がのびる韓国ドラマで、視聴率のわりに短め。でも物語の進行にはちょうど良くて、見やすく面白い作品に仕上がっています。作中の舞は実際に伝統舞踊の専門家が振付けたり指導したそうで、恋愛模様に負けず劣らず舞のシーンはすばらしい。脚本家インタビュー(@公式ガイド)では、「愛と芸と両方に生きる道もある。けれど、チニのように芸にしか生きられない、という選択もある」。ジョンファンと結ばれないのがもどかしいけど、それもまたよし!
 ファンジニは実在していて、ウノのエピソード「チニに恋焦がれて死んだ男性の柩が教坊の前で動かなくなり、チニの服をかけてやると不思議に動き出した」も逸話に基づくそう。ただし実在のファンジニは両班の娘であり、07年の映画版の設定にも反映されていますが、「両班の娘が自由意志で妓生に」ってちょっととっぴな感じも。またファンジニの詩は韓国の国語教科書に載っているそうです。ドラマは彼女の前半生ですが、その後は詩や舞を探求していくんでしょうね。

・・・その他の映像化作品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
d0095406_13223345.jpgd0095406_132373.jpg左の写真は2007年ファン・ジニ映画版。ソン・ヘギョ、ユ・ジテ、チョン・ドウホン出演。ここでは高慢な妓生っぽく、その才気で両班をやりこめるなど、ドラマ版とは違ったキャラクターみたい。左の写真は86年の映画化作品(おそらく)で、その時はチャン・ミヒ主演です。yesasiaで見つけ「86年韓国映画で黄真伊」ということでしたがあってるかな。



・・・・あらすじ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【チニの童妓時代、初恋】
 李朝の都ソウルから離れた松都で、チニ(※)は寺で育つ。ある日、妓生一行の華やかな姿を目撃したチニは、自分も妓生になることを決め、松都教坊(地方の妓生養成所)に入り童妓となる。そんな時、両班(貴族)の息子ウノと初恋を経験するが、身分違いのため引き裂かれ、ウノは病死。また師匠ペンムとそのライバルで都の女楽(妓生養成所の元締)のメヒャン、プヨンらとの妓生政治闘争によって、王の前で舞を披露するなど対決が続く。

【チニの一本立、二度目の恋】
 その後、一本立ちしたチニはその美しさから売れっ子になるが、初恋の痛手から舞は封印したままだった。そこで出会ったのが両班のキム・ジョンハン。彼の優しさに傷の癒えたチニは再び舞始める。そんなある日、師匠ペンムの死という大きなショックが襲う。その傷を再び救ったジョンハンと、チニは身分の差を越えて駆け落ちし、3年が経過。チニは妊娠する。しかしチニを常々側室にと狙っていたピョクケスによってことが露見。ジョンハンは死刑を宣告される。

【ジョンハンとの別離、芸のみに生きる決意】
 王は二人を哀れみ秘密裏に逃がそうとするが、チニはそれを拒む。ジョンハンがそれを責めたはずみでチニは転び流産。二人は亡き子を弔った後、それぞれの道を進む。ペンムにチニを託されたメヒョンはチニは積年のライバル・プヨンと女楽の行首をかけて対決させる。勝負はチニの勝利だったが、行首にはプヨンが選ばれる。チニは「自分なりの芸術を追求するほうが向いている」と解放され、最後の師匠となるギョンドクについて舞の探求に生きる決意をする。

※ファン・ジニがフルネームだが、文頭は濁らない韓国語ルールにより、名前だけだと「チニ」。

・・・・・脇役・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ピョクケス...リュ・テジュン
 王族の子弟だが、役職は郡守。チニに執心し執拗に側室に求める悪役。チニへの執心からケトンを買い入れ、子どもを産ます。チニの師匠ペンムを投獄しチニを側室にすれば許すとし、ペンムの死の原因となる。そのうちにチニとジョンハンの愛に心打たれ、いい人に。最後にケトンに産ませた子どもを引き取る。この人の反転ぶりもすごい。

メヒャン....キム・ボヨン
 都のソウルの女楽の行首。ペンムのかつての親友にして現在はライバル。プヨンの師匠。ライバルのペンムが才能あるチニを育成していることに危機感を感じる。たびたびペンムと対決するが、ペンムが自殺してからはチニの行く末を託される。チニに剣舞を伝授しプヨンを悩ませるが、最後、女楽の次期行首の座をかけてチニとプヨンを対決させ、プヨンを後継者にする。

プヨン....ワン・ビンナ
 ソウルの女楽の妓生で、チニの永遠のライバル。ものすごくプライドが高く、田舎(松都)の妓生に負けてなるかと燃えている。女楽の行首を狙う野心家で手段は選ばない。しかし常にチニに上をいかれ、焦りをあらわにし、チニに執着するピョクケスにアプローチするもふられる。チニへのライバル心が言動の全ての基礎だったが、そのうち独自のポジションを確立していく。

ヒョングム...チョン・ソミン、オムス....チョ・ソンハ
 ヒョングムはチニの母で松都のもと妓生。チニに自分と同じ道を歩ませまいと寺に預け、盲目の楽師となって教坊にいた。オムスもかつては都で評判の楽師であったが、長年ヒョングムを想い松都教坊で働く。ラストでヒョングムはオムスに「来世こそあなたと添い遂げます」と遺言し死ぬ。オムスはチニの実父をヒョングムと再会させてあげたり好意の出し方が謎な部分も。

ケトン(芸名:タンシム)....イ・イネ、トクパル....ムン・チョンシク
 ケトンはチニの同僚かつ親友。ピョクケスの陰謀に利用され、彼の子どもを産む。トクパルはもとウノの下男で、ケトンとのちに結婚。ケトンとピョクケスの子どもを二人で養育していた。師匠ペンムを失い、ジョンハンとも別れたチニを励ますため久しぶりに教坊を訪れるが、そこでピョクケスと再会。ピョクケスの進言で子どもを実父の彼に引渡し幸せそう。

エンム....ソン・イウ
 チニと童妓時代をすごす、教坊のムードメーカー。ちょっと太めでりりしい眉。のち童妓教育係となる。わりと暗い(爆)話ですが、彼女の軽口から始まる教坊の妓生ガールズトークはいつも楽しみでした。「正しく生きろ」(02)、「ソンジャの姉ミンジャ」(08)のドラマに出演。この女優さんは「王と私」(07)で主人公の友人内侍・ジャチの恋人として登場、ごつい輪郭で「ああっ!」と思いました。現代装のほうが可愛いです。。

ソムソム....ユ・ヨンジ、チャンイ
 チニの同僚で松都教坊の童妓だった。貧しい実家の弟妹や母のため、妓生として立身することを目指していたが、下男のチャンイと恋に落ちる。そのため水揚げ前夜に自殺する。ドラマ「イ・サン」(08)にも出演。地味顔だけど不思議な存在感のある方です。

クムチュン....チョン・ギョンスン
 チニらの先輩で、ペンムの部下。上司と違い温厚な姉御肌で、情にもろい。ちょっと太めでごつめのおねえさん。韓国ではトーク番組MCなども務める方だそうです。94年映画『太白山脈』で青龍映画賞や大鐘映画助演女優賞受賞。

チュソン....キム・ヨンエ
 チニらの先輩で、ペンム亡き後の松都教坊行首。その毒舌は聞いていて爽快。この後は『漢城別曲』(07)で尚書役を、また映画『カルジギ』(08)でも時代劇に出演。

ムミョン...イ・シファン
 松都教坊の下男でチニの護衛担当。妓夫候補になりジョンハンに恨まれたことも。

ソン長官...ヒョンソク
 都の掌楽院在籍の官僚。ペンムのことがすきで松都教坊に便宜を図ろうとする。

ソ・ギョンドク....キム・ジョンジョル
 チニの最後の師匠で儒学者。この俳優さんは「女人天下」でもお馴染み時代劇の常連。
by hungmei | 2009-02-11 00:40 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(2)
Commented by hungmei at 2009-02-13 21:42
「チニを側室にするんじゃだめですか?」という疑問も。でも若いのに側室だけって許されないかしら。それに側室にじゃこれまでのベタな時代劇と変わらず、現代視聴者の共感は呼べないか。

公式ガイドブックがかなり充実していて見ごたえ十分です。公式写真集も3集出ているの借りて見てみたいですね。ハ・ジウォンはマッチョ体型のため、伝統舞踊では肩幅が狭いほうが美しいらしく横や斜めどりをしたそうです。また、それぞれの俳優さんの役柄だけでなく、出番の多い人には疲れにくい振り付けを、またその人が一番美しくみえるようになど、舞踊担当の方の工夫がインタビューを読んでいて職人魂を感じました。

こう、チニは売春やパトロンには頼らず、芸のみで生きる・・みたいな感じがあり、そこが新しい時代劇としてウケたんではないかと思っています。

※映画のファンジニは、両班の父と奴婢の母の間に生まれ、庶出の子として嫡出の子にいじめられるらしいです。で、家出するという・・。よく「朝鮮時代の法律では、奴婢の母から生まれればその娘も奴婢」と聞くのですが、それでも両班家でお嬢様なんでしょうか?それとも下女待遇なんだろうか。難しくてよくわかりません。
Commented by hungmei at 2009-03-12 07:01
「女人天下」を見ていたら、主人公ナンジョンをいじめる嫡出の息子でチャン・グンソクが出演してました。今と顔が変わりません・・

でも美形だからか(?)すごいわざとらしい大きな付けボクロをしていました。あれは悪役ということで性悪アピール?


鑑賞作品レビュー、視聴検討作品の備忘録です


by hungmei(黄梅)

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