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ショウ・ブラザーズ黄梅調電影『潘金蓮』(1963)

ショウ・ブラザーズ黄梅調電影『潘金蓮』(1963)_d0095406_1928514.jpg  中国文学史上、稀代の毒婦・潘金蓮を描いた黄梅調映画。『武則天』(1961)で廃后を、『花田錯』(1963)で女将軍を演じた妖艶な張仲文が主演。潘金蓮を主人公にした作品だと、『金瓶梅』が下敷の場合(夫を毒殺した金蓮は密通相手の西門の妾になり豪遊、西門が媚薬の飲みすぎで死んだ後に脱獄した武松に殺される)と、『水滸伝』が下敷(金蓮は武大の葬儀で義弟の武松に殺され、西門も同時に殺されて妾にはならず終わる)の場合がありますが、これは後者。


・・・あらすじ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 醜男で有名な焼餅売りの武大の妻は、美人だが浮気性の潘金蓮。そこへ長らく離れて暮らしていた武大の実弟・武松が武功をあげて街に帰ってくる。再会を喜ぶ兄弟だが、金蓮は早くも義弟に目をつける。嫂の思惑に気づいた武松は早々に兄の家を出て別居。体をもてあました金蓮は、隣に住む茶屋の王婆の仲立ちで富豪の西門慶と密通。それが発覚すると夫の武大を毒殺するが、それが武松の知るところとなり、酒楼にいた西門慶は殺される。武松は西門の首を亡き兄の墓前に供え、あまつさえ誘惑してきた金蓮を葬儀の場で殺し、武大は逮捕。周囲は武松に同情的だが、法に照らし、兄の墓に参じたあと武松は刑に服す。
・・・・登場人物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
潘金蓮....張仲文
 張家に奉公していたが主人のお手つきとなり、張夫人の思惑で武大と結婚した。体の弱い武大に不満たらたら。義弟の武松を見るや誘惑しようとする。それが失敗すると西門慶と密通、夫を毒殺。葬儀の場では武松に「私を娶って」と要求、夫の葬儀とは思えないピンクの晴れ着で登場。「私の気持ちがわかるもんか」など強気。演じる張は『噴火女郎』で有名な肉感的美女で、早々に結婚し引退したのが残念。張仲文の太眉に違和感がありましたが、見ているとほかの金蓮役女優さんんたちにもひけをとらないはまり役でした。

武 松.....張 沖
 兄の武大が体が弱く背が低いのに比べ、里を悩ます虎を一人で撃ち殺す剛の者。長らく実兄とは離れて暮らし従軍していたが、虎殺しの武功により街に舞い戻る。兄が結婚したのを知り嫂に誠実に使えようとするが、色仕掛けで迫られ、同居を拒んで武大宅を出て行く。その間に兄は嫂と姦夫により毒殺、その恨みを晴らすため両者を殺し、姦夫の首を兄の墓前に供える。

西門慶....白 雲
 薬問屋の主人で地元では有名な素封家。色事にかけても腕利きで、人妻好き。町で偶然、
金蓮を見かけ、王婆に鐘をつんで密通を果たす。いかにもな優男で衣装も越劇なんかのような飾りが派手な帽子をかぶっており、その後の西門慶のベールつきの帽子とは大違い。ひ弱そうだったが、案の定、武松に襲われ二階から転落、自爆する。その生首はリアルで怖い。

武 大.....?
 おいしいと評判の焼餅うりの商人。体が丈夫でなく背がとても低い上、容貌もいまいちだが前善良で誠実。そんあわけで妻の金蓮からはばかにされ、忌み嫌われている。妻の密通に気づき現場に踏み込むが、優男の西門慶に蹴りを入れられ心臓を病み、その上に毒をもられて恨みを抱きながら死ぬ。その葬儀で実弟により金蓮、西門ともに血祭りにあげられる。

鄲 哥....李 昆
 武大の友人で町の情報通。武松の凱旋も、金蓮の密通もこの人が武大に知らせた。のちの『金瓶双艶』では若きジャキー・チェンが演じていた。垂れ髪の童姿だが若い設定なのか?武大の葬儀にも参加し、武松が西門の首を持ってきたとき悲鳴をあげていた。演じる李は黄梅調最大のヒット作『梁祝』で四九役など、この時期のショウブラ時代劇に欠かせない俳優さん。

王 婆.....?
 武大宅の隣で茶屋を営む口入婆。西門に金蓮との仲介を頼まれ、がっぽり金子をもらう。原作『水滸伝』では死刑となり、『金瓶梅』やほかの映像化作品では武松に殺されたりするが、ここでは葬儀の場にいない。意外に歌の出番が多く、西門に向かい「短時間でモノにしなさいよ!」と歌っていて、庶民的な黄梅調でもここまで性的にストレートなのは初めてだなーと驚き。

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 王婆のところでも書きましたが、普通の古装(時代劇)かと思っていたら意外に黄梅調(安徽省ふう中国伝統オペラ劇)。庶民的でシンプルなのが黄梅調のうりではあると思いますが、こういった不義密通→血みどろの復讐劇だとどうなんだろう。密通シーンがかなり大人しめなのが、時代を感じさせます。金蓮を扱ったショウブラ映画にはすべてリーハンシャン監督で『武松』(1982)、『金瓶双艶』(1974)、『風流韻事』(1962)がありますが、『武松』以外はすべて『金瓶梅』下敷のタイプです。特にこの作品は武松に殺された密通相手のリアルな生首は出るわアクションは激しいわ、エロス映画かと思ったらアクションバイオレンス映画だったのかも・・。
by hungmei | 2008-12-31 07:32 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(2)
Commented by タケ at 2009-01-03 00:00 x
1950年代には李香蘭(山口淑子)も香港へ招かれて潘金蓮を演じたことがあります。(ショウ・ブラザース成立以前・1955年公開の『金瓶梅』)
Commented by hungmei at 2009-01-03 09:27
李香蘭の潘金蓮ってあまり想像つかないんですが・・この作品では性描写がソフトなのがそれ以降とまったく違っていて、驚きました(^^
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