黄梅戯『碧玉簪』(安慶市黄梅戯劇団)

d0095406_952276.jpg  越劇創成期(20世紀始めごろ)からの十八番として知られるこの演目、黄梅戯のものを見たところ「根据越劇本」でした。黄梅戯旧版『紅楼夢』もまったく同じで、しかも徐進作詞(越劇スタンダード版・新版両方の『紅楼夢』編劇の大御所)なので、後発の黄梅戯はいろいろ越劇から吸収して追い上げているんでしょうか。こちらは安慶市黄梅戯劇団三団演出、江蘇省電視台製作。

・・あらすじ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 李秀英♀と王玉林♂は許婚。しかし李秀英に惚れていた母方の従兄弟・願文友は、新婚夫婦の仲を壊そうと媒婆の孫氏を使って悪巧み。李秀英の玉簪を盗み、偽の恋文を添えて新婚夫婦の寝室に落としておいた。それを拾った新郎の王玉林は妻が従兄弟と通じていると誤解。初夜を拒む。姑の王氏も二人を同衾させようと奔走する。いわれのないしうちに傷ついた李秀英は里帰りするが、夫から離縁状が届く。李夫人は激怒、父の李延甫も戦地から呼び戻され家庭争議に。その後、孫氏が真相を漏らし、王玉林が状元となって事は収まるかに見えたが、李秀英はどうしても鳳凰冠を受け取らない。家族総出でとりなしやっと妻の怒りはとけめでたし。
・・・登場人物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
李秀英.....汪 莉
 李家の一人娘で王家の息子・王玉林の妻。夫から不貞を疑われ同衾を固辞され傷つき、最後は離縁されそうになる。免罪が晴れた後、夫はひざを屈して許しを請うが聞き入れない。越劇だと金派旦の役。朗らかな高音と初々しい新妻の様子は袁派旦より爽やか~な感じなんだけど、怒った後のふてくされぶりが私は嫌い。演じる汪莉は安慶市黄梅戯劇団の看板女優さんで、ほかに『羅pa記』でも虐げられるお嬢様がはまっていました。なんか恨み節っぽいの。

王玉林.....劉国平
 王家の一人息子で李秀英の夫。妻の部屋で偽の恋文と誓いの玉簪を見つけ、妻が従兄弟と不貞をはたらいているのではと疑う。そして妻を徹底的に拒否し、妻の里帰りに乗じて離縁状を送り届ける。その後、状元となり、誤解も解けたので妻に鳳凰冠を薦めるが、断固拒否され大弱り。実の両親、義理の両親4人に平謝りして妻へのとりなしを頼み、最後は土下座する人。越劇だと一応範派だったっけ・・?劉さんも看板俳優。なかなか力の入ったキャスティングなのかな。でもちょっと年齢的にきついような気もします。若手がいないのか?

孫 氏......20-30代くらいの女優さん 
 媒婆で願文友の悪巧みの片棒を担ぐ。李秀英の私室にずけずけ入り込みその玉簪をねこばば、偽の恋文とともにこっそり新婚の寝室に落とす。それを見た新郎の王玉林は騙され、妻が従兄弟と私通していると信じ込む。最後、責められあっさり真情を暴露。越劇の孫氏が道化でブスメイクなのに対し、厚化粧に口横(右)のホクロと黄梅戯では厚化粧お水メイク。それまた怖かったー。「媽媽」って遠慮がちに呼ばれていたが、こいつにそんな気遣いは無用。

願文友.....50代くらいの男優さん 
 李秀英の母方の従兄弟(つまり李夫人方の甥)で、かねてから思いを寄せている。王家に彼女が嫁ぐと聞くにおよび、邪魔してやろうと媒婆を使って一芝居うつ。黄梅戯らしく眉間の白塗り(道化のしるし)、そのうえおじさん。だみ声が印象的でした。このおじさん(失礼)が李秀英に横恋慕って、正直受け付けない。なんか上司が若い部下に不倫誘うみたいなんだもん。

王 氏......董学勤
 越劇だと「陸氏」と見る気がする、王玉林の母。陸はたぶん自分の生家の名字。越劇だと道化役でいろんな芸を披露してくれるが、黄梅戯だとお節介道化おばさんは役というほどのこともなく演技の一環だし、ちょっと物足りないかなあ。あとカンロク体型なの歩き方とか鈍重でどうも・・・。越劇の動き回る陸氏の方が面白い(独断)。

春 香.....20-30代くらいの女優さん
 李秀英の侍女で婚家にも介添えとして赴く。孫氏を警戒するがあっさり玉簪を盗まれてしまう。小姐に負けない頭飾りなもんで、服を見ないとどちらが侍女なんだか混乱。性格は直情型で話し方は子どもっぽく、こんなのが側近で小姐は婚家で生き抜けるのかお節介ながら心配。かわいらしいけど。越劇の春香より思慮が浅くうるさい印象。一応、婿殿にからんでくる。
 
李延甫.....金普生
 新妻・李秀英の父、李夫人の夫。娘が離縁されたと聞き、慌てて戦地から帰還するパパ。娘の不貞を聞き切り殺そうとするが、孫氏が真相を白状し、後悔する。李夫人の怒りぶりと彼の娘の監督責任への独白は家族争議のキモ。ちなみに王玉林の父の王大人がジャケットに書いてない。一応、いるけど、4人の父母のうち一番目立たないと抹殺されたか。

李夫人......張 萍
 李秀英の実母。婿からの娘の仕打ちに激高し、夫を呼び戻し、すごい剣幕のママ。すごく若いし美人だし、服からしか娘と区別がつかない。越劇でも古くは姚水娟が演じ、この人の美熟女ぶりは私の中で松坂慶子とか十朱幸代なんかのイメージ。怒る姿も実は見ていて楽しい。

小道具たち・・玉簪、鳳凰冠
 鳳凰冠は役人の女眷属(嫡母や正妻、妾や実母ではない)に贈られるもので、王玉林はこれを渡すことで正妻の面子をとらせご機嫌伺いをした。また「簪」=笄みたいなもので一本の棒状の髪飾り、同じ「かんざし」であってもいわゆる二またの「釵」とは別。

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 両家を巻き込んだ家族争議の上、大円満っていかにも中国伝統劇の王道って感じですね。だから黄梅戯でも、越劇と趣は違えど問題なく楽しめました。ただ、越劇に習い京劇風の伝統的厚化粧なんだけど、首に白粉塗っていないのが・・そこまでやるなら首までしないと、バカ殿みたいです。越劇だと陸氏が道化だが、黄梅戯だと願文友が道化。女性のみと男女合演だと道化の担い役が違うのねと勉強になりました。私としては男の道化は苦手だから越劇の方がい。ちなみにその前に見た安徽省黄梅戯劇院の『梁祝』より舞台セットがすごく立派。何でだ。一人っ子同士の結婚は大変てことで(少しは)現代にもつながる問題かも。
by hungmei | 2008-12-18 08:33 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)


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