90年代のツイ・ハーク監督作品。正規版は絶版ですが・・香港女優で今は芸能復帰?確か一度結婚して引退してビジネスをやっていたと楊采[女尼](チャーリー・ヤン)が英台、台湾アイドル子虎隊出身の呉奇隆(ニッキー・ウー)が三伯。リアルタイムで日本で映像ソフトも出たようです。邦題『バタフライ・ラヴァーズ』。今のよきパパ大陸武侠時代劇のイメージとは違った呉奇隆がみもの。
youtubeで挿入歌が見られます
06年に大陸でヒットした何潤東(ピーター・ホー)版梁祝ドラマ(※1)
ですが、彼も書院のご学友役でちょこっと出ています。比べられると面白いのですが。【あらすじ】英台の両親は良家に嫁がせるべく琴棋書画を身につけさせようと男装した英台を書院(学校)へ行かせます。英台は学校でも落ちこぼれ生徒ですが、フォローしてくれる寡黙で誠実な三伯と知り合い、親友に。
数年後、英台の両親は娘を富豪の馬家と縁組を決定。英台はそれとは知らず帰郷を決め三伯に女とあかし、二人は将来を誓い合います。しかし馬家との婚儀を知らされた英台は反発し、官吏となった三伯は英台の実家へプロポーズに向かいますが家柄が不釣合いと相手にされず。
祝家から帰った三伯は恋煩いから病死します。
邸内に監禁されていた英台ですが三伯の最期を知らされ覚悟を決め、馬家へ嫁入りを承諾するかわり花嫁行列の途中に三伯の墓参りによらせてくれるよう親を説得。墓の前で彼女は
「あの時の誓いが本当なら、梁兄、迎えに来て」というような(語学力からちと不安)決め台詞。暴風雨と共に墓が割れて英台は中へ投身。その後、二人は蝶となり飛び立ちます。
杭州に伝わる中国版ロミオとジュリエット物語ですが戯劇だと派手でくどくなりがちなため、
このサワヤカ現実路線の映画はオススメ。知らない人でも見やすいしツイハークらしい男性梁兄(戯曲の伝統で早期映画では三伯は女性がよく演じている※2)のニッキー・ウーがかわいい。ボーイッシュな英台のチャーリー・ヤンも完全にはまり役&俳優の魅力満載映画。
梁祝話は定本もなく人気があるため様々なストーリーで映像化されていますが、この作品の特徴は
①書院へ遊学が英台の親の意向、②実家へ戻る際に英台が女であると明かし将来を誓う、③その時に二人は山中でキス?、④梁のおじが二人の後見として活躍、⑤英台が書院で男と装うための特製下着、体力不足のカバー法など細かく出てくる、ところでしょうか。
戯曲でニブイ梁兄は祝家へ求婚に行くまで英台が女だと気づきませんが、
ここではその前に女性と知り一気に恋は燃え上がります。特にラストシーンは戯曲だとわざとらしく好みの分かれるところ、香港映画かつツイハークらしい演出で「人が蝶になるかい」のような邪推を一切抱かせず終幕。個人的にお墓が割れるのではなく陥没するところが驚きでした・・
※1・・・2006年版中国電視連続劇『梁山伯与祝英台』
※2・・・60年代港台映画・ショウブラザーズ出品・李翰林監督映画『梁山伯与祝英台』