藤田あつ子『煌如星シリーズ』

2013,05,29追記。作中の時代設定ですが、江寧織造の曹寅宅に今上帝が行宮したので、あてはめるなら康朝ですね。また、ふと思ったのですが、「春城飛花」で、鎖国将軍家の鉄英・鉄香と、冰心の親戚である麗秋の縁談がありますが、満漢通婚ってOK?煌如星は漢人と明言されていますし、薛祥もおそらく漢人、親友の英華は「鑲黄旗人・世襲一等侯爵」で自称もしているので満族、少なくとも旗人なのは確実。そして鉄英・鉄香一家は作中で「黄帯子(皇族)」と言われていたので、多分旗人でも満族ではないかと予想。ということは、鉄英・鉄香の正妻になるには最低限、旗人でなければならない気がしますが、麗秋は冰心の母方の親戚。そのへんどうなのか。側室ならいいのか?それともまた違う理由があるのかフィクションか、気になります・・。冰心、麗秋、そのお友達と、旗装に髪型も満族っぽいですが、服装だけだと判断できないですし><




80年代後半から秋田書店ボニータに連載され、途中から角川書店歴史ロマンDXという雑誌に移って10年近く連載されたマンガです。清朝を舞台に、わずか15歳で進士に及第し無類の美貌を持つ主人公と、彼を取り巻く濃い脇役達の一話完結のサスペンスもの。2時間ドラマのマンガ版といったらいいか、殺人事件勃発→主人公の明晰な頭脳で解決、という歴史モノには珍しい生活感あふれた作品。漢詩満載で詳しい方はより楽しめそうです。

中国史・漢詩に造詣の深い藤田さんの描く衣装や当時の社会背景は見事!美人で力持ちの妻・冰心やムコ殿だいすきなその両親、幼馴染で大店の跡取りのクセにかなり庶民派かつ大食いの薛祥くん、浙江省巡憮で主人公に惚れて追い掛け回すどうしようもない元上司・董淑人、その親友で彼のコントロールを担う「ドラえもん」(「龍龍」と呼ばれていたが名字が出ない)。淑人の秘書が二人とも良い味出してるんですよね。

一人は科挙及第者への羨望を、幕友(秘書)としてついた上司が行政官として成功する事で晴らそうとし死んでしまったり(このへん藤田節)。清朝は満州族王朝だとか、支配層には蒙軍八旗や漢軍八旗もいたとか、嫁と舅の不倫を中国語で「掻灰」というとか、「旗装」=いわゆるチャイナ服のルーツは満州族のもので弁髪や纏足で軋轢があったとか、面白いだけでなくホント勉強になりました。カンザシの一つ一つまで丹念に描かれてあって、職人魂を感じます。今では掲載誌の廃刊に伴いシリーズも未完のまま・・。

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藤田さんは現在ぶんか社から出ている「本当は怖い童話」シリーズ雑誌に中国モノを描かれていますが、制約もあるのか本領発揮という感じではなく残念。他にも好きなのは、どうも救いようのないラストが多いこと(笑)。ギャグもふんだんにあるので、途中でお気に入りの主要キャラ・淑人が亡くなったときは結構ショックでした。秘書の名無し君が遺品を持ち帰るあたり泣けます。「掻灰」など封建家庭の暗部モノも多く、それが悲劇に終わるあたりツボです。

面白いなと思ったのはミャオ族と漢族の衝突(「反乱」とは言えない)を描く「ホワリー」、白蓮教の乱から素材をとった「日本刀の歌」、食にまつわるショートストーリー3話の「とうてつ三記」など。時代としてはぎりぎり乾隆帝あたり?高校生時代に歴史ロマンDXの発売が待ち遠しかったのを思い出します。また再開してくれないかなー。コミックス復刊も・・。ほか『李香蘭』、このシリーズの番外編を収めた『揚州の夢』などもお勧め。曹雪芹の実家、江寧織造の曹寅の邸宅もちらっと登場。
by hungmei | 2007-05-01 22:41 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(8)
Commented by 小魚 at 2007-05-03 21:10 x
こんばんは。このシリーズ、私もけっこう好きです。2~3年前に古本屋で一挙購入して読み通しました。辮髪を正しく描いてくれていたら言うことないんだけどな~と思うのですが、まあ仕方ないだろうとも思います。藤田あつ子さんは今どこで何を書いていらっしゃるのか、と気になっていたのですが、また本格的な中国ものを読みたいですね。
コメントが遅くなりましたが、「大清風雲」のレビューも拝見しました。長生きしたもの勝ち、これに尽きますね! あとこのドラマ、意外に女っ気が少ないように感じました。ドルゴンもドドも妻妾いっぱいのはずなのに、そんな気配がまるでない。そのせいか何だか体育会系のノリに見えて、ドドの好感度がアップしてしまったのかな、と思いました。
Commented by 黄梅 at 2007-05-03 22:45 x
こんばんは!確かに弁髪どころか三つあみ、長髪、短髪・・と髪型に関しては放埓ですね。少女漫画の限界でしょうか。でも皇なつきさんのマンガなんかでは弁髪ありましたから、ダメな事もないと思うんですが。今の雑誌でも一応中国モノではありますが、絵が白いです(服の模様無し、トーン少なし・・)。P数も少なく十分に藤田さんの力量が発揮できる環境ではないのかなー、と残念です。ぶんか社に出番増やしてくれるようハガキ各位しか。噂では、先生はオンデマンド出版でこのシリーズを復活させられれば、とお考えのようなのですが。
「大清風雲」確かに女っ気ないですね。特にドルゴン、考庄皇后が主要キャラクターのドラマでは漁色はなりを潜めてますね。考庄皇后の三人娘が出てこない、みたいなもんでしょうか?単純な悪役キャラとして登場するドルゴンって、朝鮮の皇女を初め子どものいないわりにお盛んなイメージですよね。史実でもそれっぽいと聞いたんですが・・まさに体育会系!見ているにはそっちのほうが隙かもしれません(^^)
Commented by OUMI at 2007-05-04 22:19 x
こんばんは!

自分も、このシリーズ読んでました。
如星さんが女性に見える; 等とオヤジギャグして読んでました;
途中で、やはり掲載誌の関係で、どこいっちゃったの??
ってなってしまい、途中までしか読んでないのですが、
淑人って死んじゃうんですね\(◎o◎)/  ビックリ;

また読みたいです。
皇なつきさんにも清朝宮廷もの描いてほしいんですけどね・・・
Commented by 黄梅 at 2007-05-05 07:23 x
如星はあまり好きじゃないんですけど、女性にしか見えないですね。
あんなに持ち上げられるのもファンではないのでたまに??と思いまし
た。英華さんとやおいくさいですよね!

淑人は確か他のお役人が逃げても役所に残り、政府と対立した民衆軍
に殺されるようです(でも、そのシーンはないので推測)。実家でお葬式
もあって、義理の叔母さんとの隠された恋が露見。みんな涙・・という。

皇さんってそういえば弁髪はあっても、清朝宮廷ものってあまりないです
ね。「黄土の旗のもと」?で李自成が描いてあってくらいか。見たいです
ね!そうだ、西太后ビデオのレビューもあるので良ければご覧下さい↓
http://hungmei.exblog.jp/4377673
Commented by テラリン at 2008-06-29 11:46 x
最近ちょこちょこ、如星シリーズ書いてますよね?
「怖い童話」系で。
それで知ったのですが、逆に新しいファンとしては、古い漫画が
手に入らなくて困っています。復刊してほしいなあ。
同じく、『怖い童話」系で書いている、一話完結物も怖くて
うまいなあ、と感心しています。
Commented by 黄梅 at 2008-06-29 17:32 x
そうなんですか!情報ありがとうございます、怖い童話はたまに見るんですが、如星シリーズを描いてらっしゃるとは知りませんでした。探してみます!

古いものは、文庫で復刊してくれてもいいな・・と思いますが
小さいサイズだと服の図柄などがつぶれてしまいますかね・・
Commented by 葉月ゆたか at 2014-12-01 04:00 x
海外在住ですが、全巻もってきてよかった、と思っています。そろそろまた最初から全部、読む頃かな?
Commented by hungmei at 2014-12-02 22:25
葉月様

ご来訪&コメントありがとうございます。海外にまで持参されるとは賢明ですね^^ボニータ版、角川版などありますが、近年ぶんか社から再販もされましたし、噂では、電子書籍などで続きが描けないか藤田先生も検討中だとか・・・。面白いしクオリティも高いので、ぜひ再開してほしいですね!後味が悪い話がほとんどなので、適宜チョイスしてまめに読んでいます。


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