邵氏出品『紅楼夢』(1961)



おなじみショウブラザーズの黄梅調映画ですが、これは李翰林ではない袁秋<石風>監督の61年作品。ショウブラザーズの古典美人と称されたベティ・ロー=楽帝がヒロイン林黛玉を、賈宝玉は女優さんが演じています。80年代CCTV版では男優の欧陽奮強さんが演じていますが、『梁祝』の梁山伯といい、小生役は映画でも女優さんが演じることが昔は普通だったよう。94年ツイハーク監督『梁祝』では台湾人男優ニッキーウーが梁生で、「伝統を脱したさすが香港ヌーベルバーグ」といわれたそう。

原作のあらゆる台詞やシーンを継接ぎし2時間前後にまとめてありますが、これは襲人と煕鳳の悪役ぶり・ニ玉のラブラブぶりが他に比類を見ないほど強調されています。加えて他作品より挿入されたエピソードも多く、展開が早い。周せんの40年代モノクロ映画から始まって、61年のこの映画、77年の李翰林監督作品、80年代CCTVドラマや陶慧敏主演の映画など見ましたが、ここまでデフォルメされていたのは始めて。黄梅調映画らしく随所に唄が入りますが、多すぎというか。もっと一曲をじっくり聞かしてくれた方がいいです。

ショウブラザーズ『梁祝』は越劇を踏襲した印象でしたが、こちらは別物。襲人は側室になる気を周囲に隠さず、煕鳳は宝釵入府時から「宝姑娘をニ奶奶に」と熱心に運動し黛玉を排斥にかかっています。茗烟をはじめ使用人達もニ玉の関係は公然の秘密で、金釧に宝玉が「林姑娘との事はうまく行きそうにありませんよ」とからかわれます。ニ宝の結婚が決まった時なんか、ワイドショー並みの扱いで噂が広まってるし。金釧はその発言のもと、宝玉と戯れているところを鬼のような王夫人に見つかります。叱責された挙句に屋敷を出される事になるのですが、それを言い渡されたとたんにすぐ井戸へ投身。「え、もう?早い!」とショックでした(笑)。

「読西廂」「葬花」「焚稿」などはありますが、その短さで味わう暇がなくちょっとせわしない。宝釵は美人でなく太り気味でとても十二釵に見えず(汗)。彼女の入府時には使用人がその財産に驚き、媚まくっています。襲人は黛玉に嫉妬しまくりで積極的に宝釵と結婚させようと、ニ玉の相思相愛な事をご隠居・王夫人・煕鳳・薛姨媽に密告。同時に紫鵑と雪雁が「うちの小姐の為にも、ニ爺の気持ちを試しましょう」と無邪気に蘇州帰京の話をしたため、宝玉の結婚があれよあれよと決定。台詞が原作と違う人に当てられているものも多く、薛姨媽が「林姑娘はひ弱で、大家の家政は見れませんわね」と言っていたのも印象的でした。

薛姨媽が「ニ爺と林姑娘、きっと良いご夫婦になるわよ」というシーンも・・。薛姨媽って、映画版や越劇で台詞はほぼ無しですし。それに元春からの賜物や、宝釵が宴席で西廂記を引用した黛玉を嗜めるシーンもこの長さの映像化作品だと普通入ってないかも。普通はベットか長いすの上が黛玉は床上に転がって息絶え、結婚式の途中でバカ姐やが「林姑娘死了!」と会場をかき乱します。全体の完成度としては、邵氏作品の中でも位置づけがそれほどでもないのも納得?戯曲になれていて原作のシーンも覚えていると「あ、ここが違う!」と雑念が入りますが、原作の雰囲気が味わえて気軽に見られるという意味でとても良い映画ではないでしょうか。衣装やセットがとても豪華です♪

※写真は宝玉、演じるのはショウブラザーズ版『梁祝』で祝英台の侍女・銀心を好演した任潔
任潔プロフィール

※パッケージに「主唱・凌波」とあるので、やはり『梁祝』で梁生役の女優さんが歌っているよう

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by hungmei | 2007-03-20 00:41 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(1)
Commented by hungmei at 2009-01-19 21:23
追記;宝玉を演じる任潔は、大陸で越劇を学び香港映画界に入ったそう。やはり越劇紅楼夢を意識したつくりなんでしょうか。


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