李翰林監督について

このブログで度々取り上げ、勝手に気に入ってる監督なんですが、ビックな方なんですよね・・・(ちょっと不安)。香港や台湾映画は、いや大陸の映画も80年代以前だと全く詳しくないので、好きながらも情報収集に四苦八苦しています。でもせっかくこんなプッシュしているので、ここらで一度まとめて書いてみようと思いました。日本では『西太后』(84)が一番有名なのかな。

1926年遼寧省生まれ、北京の芸術大学で西洋絵画を学び、その後上海の演劇学校で戯曲・映画について勉強します。学生時代は紫禁城に何度も出かけ、熱心にスケッチをしていた事が後年の時代劇映画にいきたそう。48年に香港に渡り声優からスタートし、舞台美術・広告デザイン・俳優業などを経て54年にショウブラザーズと契約した『雪裏紅』で監督デビュー。実は初めて声優として出演したのは日本の黒沢映画だとか。そこでカメラワークなど独学したそうです。



当時は広東語映画の全盛期でしたが、監督33歳の時、三国志から題材を取った黄梅調映画=黄梅戯の唄が入る戯曲風映画で『貂蝉』が大ヒット。翌59年の『江山美人』など北京語・黄梅調映画ブームを作り出します。63年の『梁山伯興祝英台』では第10回アジア太平洋映画祭で大成功を収めるなど、絵画を背景とした古典的撮影法を確立し、香港映画の大御所へ。ほか『楊貴妃』『武則天』など、当時の台湾や香港の映画賞を総なめでした。

60年代に入り専属契約だったショウブラザーズから独立し、台湾で会社を興しますが金銭トラブルから倒産。70年代にはショウブラザーズに復帰し、その後も『大軍閥』『武松』などコメディや悪女・金蓮の人物形成を見直すなど精力的に活躍、『金瓶梅』などエロス映画も手がけるようになりました。84年には中国政府から招かれ大作『西太后』を監督し海外でも受賞し、96年本土のテレビ局から招かれ『火焼阿房宮』を北京で撮影中、心臓発作で亡くなりました。享年70歳。

今の日本だと上記の『西太后』がビデオで見られるほか、キングレコードから『真説チャイニーズ・ゴーズトストーリー』、『金瓶梅』が日本語字幕つきDVDでアマゾンでも入手可能。『チャイニーズ』の方は80年代香港映画を代表する同名映画と同じ清代小説『聊斎志異』から題材を取り、原題は全く同じ『倩女幽魂』。60年代香港ってそんなに北京語・黄梅調映画が流行ったなんて・・・そのへんわかる本があったら読みたい!今の香港映画とは全く違う、アクションなし派手な撮影効果なし、スタンダードサイズのフィルムで時代劇にぴったり。

『チャイニーズ』ニンシャオチェン役のベティ・ローは、『梁山伯興祝英台』でも祝英台を演じておりお気に入り。若くして自殺してしいまいましたが、他の俳優さんも含め一時代を築いただけあって今でもたくさん見られます。日本語版『チャイニーズ』ではそんな監督のインタビューが映像特典。『西太后』でもそうですが、全体を俯瞰した天井からのショットなど、この監督のカメラワークって好きです。部屋をぶち抜いてどんどん視線が移ったり。現在でも古典文学や歴史を基にしたドラマは数多く作られますが、そのベースにはやはりこの時代の戯曲や戯曲映画の蓄積があるんではないかと感じます。

李翰林監督プロフィール
楽蒂/ベティ・ロー紹介ページ

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by hungmei | 2007-03-14 01:32 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(2)
Commented by chinafish at 2007-03-15 07:41 x
ショウブラザーズ、邵氏兄弟、黄梅調、検索するといくらでも出てきて読みきれないですね。こんな世界があるとは知りませんでした。香港映画は、京劇調⇒黄梅調⇒武侠調⇒と流れて、そんな歴史を中で、カンフー映画や、「インターナルアフェア」などが生まれてきたのですね。香港映画の歴史を書いた本ならどれでもきっと書いているのでは?読んでもないのに紹介するのは恥ずかしいのですが、(http://www5a.biglobe.ne.jp/~yoshiji/page32.htm)にある「香港功夫映画激闘史」が詳しそうな気がしますが・・・
Commented by hungmei at 2007-03-15 17:38
この本さっそく見てみますね。今まで探してもなかなか見つけられなかったんですが、日本語でショウブラザーズについて読めるなんて。ありがとうございます!これで戯曲映画についてのページが多いとなお嬉しいな・・・なんて。今ですと一昔前の香港映画といえばカンフーアクションですが、個人的にその前の京劇調や黄梅調が結構好きです。マイナーで残念ですが、少しでも発信しようとこのブログで一発書いてみたので、コメントいただけて本当に嬉しいです!

ショウブラザーズ作品は今、香港でもたくさん復刊されているらしく、日本だとそれをキングレコードが追従して結構DVDが出ています。上記の2作品もそのラインなので、レンタルなどにも結構あるんですよ。お勧めです。本土でも還珠格格など時代劇ドラマがわりかし広い年代層でヒットするようなので、そのへんは羨ましいなあ。戯曲ファンはおじいさんおばあさんばっかりですけど(笑)。日本の時代劇は対象年齢が限られがちですよね。


鑑賞作品レビュー、視聴検討作品の備忘録です


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