邵氏出品・李翰林監督『金玉良縁紅楼夢』(1977)



お気に入りショウブラザーズ作品・リーハンシャン監督の77年香港映画です。たまにオークションなどで見かけ、気になっていたので、今回「中華迷」というお店でゲット。この作品はyoutubeでもハイライトが見られます。主演の2人は今も現役の台湾人女優さんですね。

ストーリーは黛玉入府⇒宝釵入府⇒役者との交際がバレ折檻⇒黛玉葬花⇒紫鵑の嘘で宝玉がおかしくなる⇒偽りの結婚⇒黛玉の死⇒騙されたと気づいた宝玉、修羅場へ⇒紫鵑と宝玉の応酬⇒賈家の抄家、で終わり。随所に唄が入り、戯曲映画って感じでした。越劇や他の映画であればたいてい宝玉失踪で終わるので、最期に抄家があったところはちょっとオリジナルでしょうか。でも年代的にも唄があるところも、黄梅調といいつつ越劇の影響は相当あるんではないかと思います。黄梅戯の紅楼夢は、90年代の新版の前からスタンダード版がずっとあったのですが、そちらは今ではあまり見られないので、比べようがないのですが・・。

宝釵・襲人の出番が少なく紫鵑が活躍する事、煕鳳とご隠居が完全なる悪役である事、王夫人は特に役立たない事など、従来の戯曲の人物形成を踏襲してあるように見えますが、意外に面白い脚色も多かったです。宝釵は結婚式で宝玉に負けんばかりに泣くし(そりゃーいたたまれないだろうなあ・・)、黛玉も死ぬ時はとても病人とは思えない暴れ具合、宝玉が賈政に折檻される時はさすが香港映画といった感じのオーバーリアクションです。

また同監督で、日本版DVDもある『金瓶梅』で主人公の胡錦が煕鳳を演じており、顎のホクロが艶かしい悪女を好演しています。他の女優さんは当時の流行か、みんなバタ臭くていまいちしっくりこなかったのは私の好みのせいでしょうか。張艾喜の黛玉も捨てがたいですが、やはり出家で噂のCCTV版ドラマの陳暁旭さんのようなタイプこそイメージに近いと思います。吉永小百合と木の実ナナの違いみたいな。張艾喜だと健康そうで薄幸の美人に見えない。衣装などは台湾などの映画祭で美術設計賞、最優秀服飾賞を獲得したとても煌びやかさ。背景はめちゃくちゃ豪華です。



ブリジット・リンの宝玉は華奢だし顎も細くてとても幼く見えます。他のキャストはもっと年上に見えるので変な感じ。冒頭では焦大が「今の賈府といったら、乱れきっていて、とても林姑娘をお迎えすべきでない」と不吉な予言。彼女が亡くなった後は、越劇「問紫鵑」のように宝玉と紫鵑の掛け合いがあり、「妹妹の琴はどうなったの?」「知音もいませんのに、誰が弾くというのでしょう?」と・・。たくさんある唄も宝玉、黛玉のみならず煕鳳、焦大と結構バラエティ豊か。歌詞も原作のハンカチの詩、紅豆曲、もちろん葬花など少しずつ変えられていますが内容は同じでした。

煕鳳が一計を案じるシーンが長く具体的なのも特徴で、「嫌よ嫌よとは言っても、新婚の床上ではお互いにまんざらでもなくなるでしょう。」というのがちょっとリアルでした。そんなのヤダ。原作の結末は曹雪芹作ではなく賛否両論ですが、私はどっちかというと否定派なので、踏襲してある結末だと実は受け入れられないかも。まあ当時の結婚なんて個人の好みは一切ないでしょうが、そこへ抗議したかったのが紅楼夢だろうし、宝釵を正室・黛玉をニ房って現実的にありかと思うのですがやっぱりそんなの見たくないし。そういう続作はあるけど・・。

キャストのはまり具合だけでなく、非常に不幸な結末ではありますが、私にはCCTVのドラマが一番です。原作の「林妹妹は好きだけれど、宝姐姐にも悪いし・・」と同衾してからはなし崩しで若夫婦ぶりを発揮する宝玉を見てるとグーで殴っていいですか?と。あっでも黛玉焚稿だけは後40回の最高傑作ですね、これだけは凄い!戯曲や映画だと時間の制約もあり仕方がないですが、やはり善悪はっきりあるよりも、誰が悪いわけでもなく運命に翻弄され辛酸を味わういう方が納得がいきます。宝釵も襲人もご隠居も好きだし、後40回で急に悪役になると悲しいですね・・・。

しかしこの映画だけでなく、香港映画では『紅楼夢』61年というのがあったり、台湾で70回近いテレビシリーズの紅楼夢があるらしかったり、気になります・・・。でも原作90回台で黛玉が死ぬのは迫害されてですから当然ですが、CCTV版のようにそうでない場合、彼女の臨終時に付き添いが紫鵑だけってちょっと違和感も。容態が急変したか、演出効果か、やっぱり後者かな?この映画では黛玉の最期、宝玉の幻影を見てそれを追いかけ部屋を出て行こうとして床上にて絶命します。黛玉の臨終に、宝玉がもしいたら・・・などと、果てしないifを考えてしまうシーンでした。
by hungmei | 2007-03-13 19:52 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(1)
Commented by hungmei at 2008-07-04 04:37
最後の黄梅調映画。本文中にありますが、同じショウブラにはこれより前、『紅楼夢』(61)があります。そちらでの宝玉は任潔という女優さんで、『梁祝』でも銀心を演じていますが、2004年時点で行方不明だそう。


鑑賞作品レビュー、視聴検討作品の備忘録です


by hungmei(黄梅)

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