ご参考までにどうぞ。
2013/09/17 コメントにてご指摘をいただき誤字を訂正いたしました。
※行当(役柄)
生(せい)・・・男性役、旦(たん)・・・女性役、丑(ちゅう)・・道化役
「小」がつくと若いという意味で小生は若い男性役、小旦は若い女性役。
「老」がつくと老け役で、老生は壮年の男性や老人、老旦は結婚した女性や老婆役。
京劇での小生はヒヨッコ扱いですが、越劇では主役です。
黄梅戯では丑が結構いい味出してますね。
越劇「碧玉簪」では、珍しく道化役の旦が出てきます。外見も言動もマチャミみたいです。
それほど多くはなくとも武旦もおり、「何文秀」ではその武技を見ることが出来ます。
※呼称
・小姐(お嬢様)
良家の娘で、越劇には欠かせません。現代では女性一般に使いますが、昔は上流階級に限っったそうです(「千金小姐」など、紅楼夢でもよく出てくる)。
・~生、~郎(~さん)
若い男性に対する敬称。黄梅戯「女附馬」の李郎(本名は李兆廷)、越劇「西廂記」の張生など(張君瑞)。よく恋人(♀)→恋人(♂)に言っている。
・少爺(若様、坊ちゃま)
良家の息子。「紅楼夢」の宝玉など。排行(兄弟間の生まれ順)をつけて「二爺」などとも。賈璉も「璉二爺」。越劇なら小生で、大体あんまり役に立たない。
・老爺(だんな様)
「紅楼夢」の賈赦、賈政など。越劇なら老生。大体ヒロインのお父さんとか。髭をつけた怖そうなおじさん。
・~夫人、~氏
既婚女性への敬称。実家の姓の場合も、婚家の場合もある。「西廂記」の崔夫人、「碧玉簪」の陸氏など。
崔夫人は婚家の姓で娘の崔鴦鴦と同姓だが、陸氏は実家の姓らしく息子と夫の姓は「王」。越劇なら老旦。老旦が活躍する下世話(?)な部分のある演目が私は大好きです。越劇に詳しい張応華先生によると、-夫人のほうが、-氏より格式の高い呼び方だそうです。夫人というと、夫が官僚であることを示す場合が多いとか(氏だとそれは曖昧のまま)。
・Y頭(侍女、召使い)
髪形を頭の両サイドで結わえるところからきているらしいです。紅楼夢の紫鵑などお嬢様にびっちり付き添うのは「貼身Y頭」、平児ように婚家まで一緒なら「陪嫁Y頭」。大体若くて小姐と同年代。「西廂記」の紅娘など、こちらも戯曲に欠かせない存在。むしろ家族より近い存在では?
※結婚式
戯曲に欠かせない結婚式にまつわる用語。
・洞房
新婚夫婦の寝室。そのベットに座って新婦の被り物を新郎がはずし、夫婦初対面となる。もちろんその後は初夜へ。真赤に飾る。越劇ではよく修羅場になってしまう。大体夜に行われる。
・新娘(新婦)
新郎は日本語と同じ。舅を「岳父」も、同じだなあ・・。
・拜堂
旧事の式では、天地・両親・そして新婚夫婦がお互いに礼をする儀式があります。
二人が赤いリボンを互いに持って行う。このときの掛け声が独特で素敵。
※服装・髪形
戯曲では多く明代を基調にさまざまな時代のテイストを盛り込み、独自の衣装を使用します。貞淑な女性を演じる「青衣」など、青い着物をよく着るところから名がつくあたり、衣装の形や色は人物の中身を表す重要な要素です。例えば長い上着にズボンをはいているのはほぼ侍女で、お嬢様ではあまりありません。一見似ていますが、袖なしの上着、戯曲風エプロンなども下の身分を表す。基本的に長い上着ほど身分が高く、短いほど身分が下がる。赤・金はお祝い、中でも特に婚礼。黄色は皇帝、白はお葬式や潔白を示す。黒は清官など。青もお葬式が多いかも。
※肩書き・地位
・相国
宰相。大体主役カップルの父親か、もしくは恋路を邪魔するライバルの父親。
主役の本人が宰相なのは「孟麗君」くらいか?
・状元
言わずと知れたその年の科挙の首席。次席は榜眼、第三席は探花。
よく紅い衣装で状元のお祝いするシーンが出てきます。婚礼と見分けがつきにくい・・。
字面の美しさか、戯曲や文学では状元か探花しか出てこないです。榜眼は未見です。
戯曲だと状元になれば全てがうまくいくような感じ、ってそりゃあそうか。
・公公(宦官)
皇帝の勅令を届けに来るシーンの多い宦官。「聖旨」と書いた黄色い巻紙を持ち、独特のファッション。ものによってはその中性さをあらわすためか細眉・口紅と、細木数子みたいな公公も。
・公主、附馬
公主はそのまま皇女、附馬はその夫。敬称は「附馬爺」となります。時代設定が清朝というのは少ないし、「格格」「阿哥」は出てきませんね。
・王爺、万歳、千歳
王爺は皇族の男性への敬称、万歳はそのものズバリ皇帝のこと。千歳はやはり皇族。旧事の挨拶からとられています。「吾皇、万歳万歳万々歳」他の皇族なら「千歳、千歳、千千歳」。
※その他
・音配像
往年の名優の録音資料をもとに、現代の俳優がその映像のみをあてた作品。
でも映画で音・映像ともに残っていても、音配像になっている作品がたくさんあります。「原唱」が唄っている人、「配像」が演技している人。しかし唄が重要なのに音にあわせて演技するのは、とても大変そうですね・・。