人気ブログランキング | 話題のタグを見る

越劇・黄梅戯・紅楼夢 since 2006



【ブログの概説】戯曲基礎用語

ご参考までにどうぞ。
2013/09/17 コメントにてご指摘をいただき誤字を訂正いたしました。

※行当(役柄)

生(せい)・・・男性役、旦(たん)・・・女性役、丑(ちゅう)・・道化役
「小」がつくと若いという意味で小生は若い男性役、小旦は若い女性役。
「老」がつくと老け役で、老生は壮年の男性や老人、老旦は結婚した女性や老婆役。

京劇での小生はヒヨッコ扱いですが、越劇では主役です。
黄梅戯では丑が結構いい味出してますね。

越劇「碧玉簪」では、珍しく道化役の旦が出てきます。外見も言動もマチャミみたいです。
それほど多くはなくとも武旦もおり、「何文秀」ではその武技を見ることが出来ます。




※呼称

・小姐(お嬢様)

良家の娘で、越劇には欠かせません。現代では女性一般に使いますが、昔は上流階級に限っったそうです(「千金小姐」など、紅楼夢でもよく出てくる)。

・~生、~郎(~さん)

若い男性に対する敬称。黄梅戯「女附馬」の李郎(本名は李兆廷)、越劇「西廂記」の張生など(張君瑞)。よく恋人(♀)→恋人(♂)に言っている。

・少爺(若様、坊ちゃま)


良家の息子。「紅楼夢」の宝玉など。排行(兄弟間の生まれ順)をつけて「二爺」などとも。賈璉も「璉二爺」。越劇なら小生で、大体あんまり役に立たない。

・老爺(だんな様)


「紅楼夢」の賈赦、賈政など。越劇なら老生。大体ヒロインのお父さんとか。髭をつけた怖そうなおじさん。

・~夫人、~氏

既婚女性への敬称。実家の姓の場合も、婚家の場合もある。「西廂記」の崔夫人、「碧玉簪」の陸氏など。
          
崔夫人は婚家の姓で娘の崔鴦鴦と同姓だが、陸氏は実家の姓らしく息子と夫の姓は「王」。越劇なら老旦。老旦が活躍する下世話(?)な部分のある演目が私は大好きです。越劇に詳しい張応華先生によると、-夫人のほうが、-氏より格式の高い呼び方だそうです。夫人というと、夫が官僚であることを示す場合が多いとか(氏だとそれは曖昧のまま)。


・Y頭(侍女、召使い)

髪形を頭の両サイドで結わえるところからきているらしいです。紅楼夢の紫鵑などお嬢様にびっちり付き添うのは「貼身Y頭」、平児ように婚家まで一緒なら「陪嫁Y頭」。大体若くて小姐と同年代。「西廂記」の紅娘など、こちらも戯曲に欠かせない存在。むしろ家族より近い存在では?


※結婚式

戯曲に欠かせない結婚式にまつわる用語。

・洞房

新婚夫婦の寝室。そのベットに座って新婦の被り物を新郎がはずし、夫婦初対面となる。もちろんその後は初夜へ。真赤に飾る。越劇ではよく修羅場になってしまう。大体夜に行われる。

・新娘(新婦)

新郎は日本語と同じ。舅を「岳父」も、同じだなあ・・。

・拜堂

旧事の式では、天地・両親・そして新婚夫婦がお互いに礼をする儀式があります。
二人が赤いリボンを互いに持って行う。このときの掛け声が独特で素敵。

※服装・髪形

戯曲では多く明代を基調にさまざまな時代のテイストを盛り込み、独自の衣装を使用します。貞淑な女性を演じる「青衣」など、青い着物をよく着るところから名がつくあたり、衣装の形や色は人物の中身を表す重要な要素です。例えば長い上着にズボンをはいているのはほぼ侍女で、お嬢様ではあまりありません。一見似ていますが、袖なしの上着、戯曲風エプロンなども下の身分を表す。基本的に長い上着ほど身分が高く、短いほど身分が下がる。赤・金はお祝い、中でも特に婚礼。黄色は皇帝、白はお葬式や潔白を示す。黒は清官など。青もお葬式が多いかも。


※肩書き・地位


・相国
宰相。大体主役カップルの父親か、もしくは恋路を邪魔するライバルの父親。
主役の本人が宰相なのは「孟麗君」くらいか?

・状元
言わずと知れたその年の科挙の首席。次席は榜眼、第三席は探花。
よく紅い衣装で状元のお祝いするシーンが出てきます。婚礼と見分けがつきにくい・・。

字面の美しさか、戯曲や文学では状元か探花しか出てこないです。榜眼は未見です。
戯曲だと状元になれば全てがうまくいくような感じ、ってそりゃあそうか。


・公公(宦官)

皇帝の勅令を届けに来るシーンの多い宦官。「聖旨」と書いた黄色い巻紙を持ち、独特のファッション。ものによってはその中性さをあらわすためか細眉・口紅と、細木数子みたいな公公も。

・公主、附馬

公主はそのまま皇女、附馬はその夫。敬称は「附馬爺」となります。時代設定が清朝というのは少ないし、「格格」「阿哥」は出てきませんね。

・王爺、万歳、千歳


王爺は皇族の男性への敬称、万歳はそのものズバリ皇帝のこと。千歳はやはり皇族。旧事の挨拶からとられています。「吾皇、万歳万歳万々歳」他の皇族なら「千歳、千歳、千千歳」。


※その他


・音配像

往年の名優の録音資料をもとに、現代の俳優がその映像のみをあてた作品。

でも映画で音・映像ともに残っていても、音配像になっている作品がたくさんあります。「原唱」が唄っている人、「配像」が演技している人。しかし唄が重要なのに音にあわせて演技するのは、とても大変そうですね・・。
by hungmei | 2007-01-03 00:00 | ※このブログについて※ | Comments(13)
Commented by ほーめい at 2007-01-16 23:53 x
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。リンクをありがとうございました。今年もよろしくお願いいたします。

何だか一杯書き込みがあって、すごいですねえ。
それで気になったことが一つ。

中国では男女別姓ですから、結婚しても名字は変わりません。
紅楼夢だと王熙鳳も李がんも変わっていませんね。

戯曲のことは解りませんが、婚家の名前で表現されるのは解り易さからだと思います。紅楼夢の原文だと、ご隠居様は「賈母」、薛宝釵のお母さんは「薛姨媽」と表記されます。ご隠居様は史氏だし、宝釵のお母さんは王氏ですが、史氏はとにかく王氏はたくさんいるので区別されています。
Commented by hungmei at 2007-01-17 13:48
おめでとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

薛姨媽は、王煕鳳からみると「姑媽」になるはず、と本で読みましたが、やはりそれは自分との血縁でなく賈家の視点から「姨媽」と呼ぶんでしょうか。

呼称はわかるようでわからなくて、戯曲を見ていても難しいです・・。
Commented by ほーめい at 2007-01-18 22:59 x
王熙鳳が最初に登場するシーンで、「姑媽」と呼んでいるのは、黛玉のお母さんのことですね。熙鳳は薛未亡人を「姨媽」「姑媽」両方で呼んでいます。書き間違いなのか、意図的なのか。熙鳳は子供の頃は「姑媽」
と呼んでいたでしょうし、嫁にきて「姨媽」になったので、両方で呼んでいます。

熙鳳自身も「二嫂」と呼ばれるべきところを「鳳姐」と呼ばれることも多いのは、子供の頃から賈家に出入りしているせいでしょう。似たような立場の李がんを「ワン姐」とは絶対に呼ばないですから。まあ、キャラクターもあるのでしょうが。
Commented by hungmei at 2007-01-19 07:30
なるほど!呼称は固定したものでなく、多面的なんですね。って、それはそうなんですが・・自分で気づきませんでした。よく見ていないですね(汗)。ありがとうございました(^^)
Commented at 2013-09-17 00:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by hungmei at 2013-09-17 09:22
える様

ご来訪&ご指摘ありがとうございます!
少爺ですね、戯曲の行当は呉音でなく漢音とは知りませんでした、ありがとうございます。
Commented by える at 2013-09-17 21:34 x
黄梅さま、お忙しい中コメントありがとうございます。

ちょっとお節介かなとも思いました。しかし、たとえばグーグルで越劇を検索してみると、この「越劇・黄梅戯・紅楼夢」が二番目に出てきます。(一番はウィキペディア)。

このように、当ブログは一定の影響力があると思います。特に初めて越劇などの情報に触れる高校生、大学生が間違った情報を頭に入れてしまうのは、やはりこわいです。たとえば「小」爺とか。それで指摘させていただきました。お気に障りましたらお許しください。
Commented by hungmei at 2013-09-19 08:26
える様

とんでもないです、素人が、情報収集(間違っていたら誰か教えてくださいのスタンス)で始めたブログですから、ご指摘は大変ありがたいです。なにせ長年書いてきていて、自分でももう全体が把握できませんで、指摘していただければ大変助かります。

検索エンジンでそんなに上位に出るとは知りませんでした!昔はアート引っ越しセンターとか、三越劇場が先にでてきて、あまり気にしたことがなかったので、よい機会でした。

この記事は相当昔に手探りで書いたので、我ながら全く覚えておらず(すみません)、漢音と呉音の違いもわからず慌ててご指摘をいただき調べ始めた始末ですので、これからもぜひ教えてください・・!

先日も、越劇の名作「情探」を研究会で読み、なんと長年「情深」と勘違いしていたという恥ずかしい過去が判明したばかりで3日落ち込んだので、生来のうっかりがどうも気力で矯正しきれませんで・・校正お待ちしております(そしてその前に自分でもよく推敲します・・)

とりあえずニワカで漢音のほうが後から来たらしい?と学びました!
Commented by える at 2013-09-23 09:27 x
黄梅さまにはお元気でおすごしでしょうか。

ブログをざっと拝見して、下記の誤記をみつけました。いずれも演劇・映画関係の用語に絞っています。単純な誤記はあげていません。非公開にするかどうか迷いましたが、黄梅さまもミスの指摘を望んでおられるようなので公開とします。

別に越劇などの専門家というわけではないので、あくまで私が気のついたものだけです。

これ以外に、誤記というよりこの解釈ははて?という部分もありますが、これは別にその項目のコメントで書きます。
Commented by える at 2013-09-23 09:30 x
巴金原作「家春秋」/周せん「天涯歌女」 2007年 03月 28日
周せんは「馬路天使」で有名な、40年代に上海で活躍した女優。若くして自殺しました。
*若くして自殺しました、を削除。周王旋は1957年脳炎で逝去。阮玲玉との混同では?

中国映画レビュー【伝統なんてぶっ壊せ!編】 2007年 04月 01日
原題は『黄大地』 →『黄土地』

中国映画ひとことレビュー【元気が出る映画】 2007年 04月 01日
變臉〈へんめん〉→へんれん

新編現代越劇『家』 2008年 09月 06日
趙志剛 ・・・瑞玉と結婚。 →瑞王玉(王玉は一字)

革命模範戯『紅色娘子軍』 2008年 09月 15日
タイトル 革命模範戯 →革命模範劇
*模範戯という言葉は、日本語でも中国語でも存在しないので、模範劇(日本語)か様板戯(中国語)のどちらかに統一を

梅戯と黄梅調-『天先配』(1955)と『七仙女』(1963) 2008年 11月 05日
タイトル 天先配 →天仙配

頤和園、西太后、乾隆帝、満漢全席 2010年 01月 29日
(例えばチャンイーモウの「紅夢」ロケ地の江西省・きょう家大院の →山西省・喬家大院の
Commented by hungmei at 2013-09-23 20:41
える様


ご丁寧にありがとうございますo(^-^)oいま出先でして携帯からしか確認できず、すぐ直すことができませんが、一両日中には訂正できると思います。どうぞよろしくお願いします!
Commented by える at 2013-09-23 21:25 x
黄梅さま、わざわざ出先からコメントありがとうございます。

続きは明日にしようと思っていましたが、もう一つだけ単純だが意味シンな誤記を指摘させてください。

トップページ右上、鑑賞した作品の忘備録です
→備忘録
漢字の機能からいっても、備える(動詞、修飾語)、忘れること(目的語、被修飾語)で、備忘録ではないでしょうか。
特に関東在住の人には、忘備録すなわち備えを忘れる記録、というのはいかがなものでしょうか・・・
Commented by hungmei at 2013-09-23 22:19
ありがとうございます(*^o^*)そこはすぐ出来ますので直しますね。
<< 新星走紅大登場「紅楼Y頭」 【ブログの概説】ショウ・ブラザ... >>


鑑賞作品レビュー、視聴検討作品の備忘録 ※最近レビューできてません…

by 黄梅(hungmei、koubai)
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
検索
カテゴリ
最新のコメント
> 寒鸦さん すみ..
by hungmei at 16:17
偽君子さま コメントあ..
by hungmei at 05:45
初めまして。興味深い1ペ..
by 偽君子 at 21:37
ご教示ありがとうございま..
by hungmei at 11:11
1921年、ファン・イメ..
by ミセス・ジョーンズ at 23:10
割れてますね、たまにww..
by hungmei at 14:32
記事ランキング
関連サイト
【過去記事】
2006~07年

【地方戯】
日本秦腔網
江南春琴行

【紅楼夢】
宝玉くんのべんきょう部屋
河北正定栄国府(中文)
電釈紅楼夢
紅楼夢@

【中国時代劇】
古装劇場