「格格劇」=清朝公主を主役にしたコメディ時代劇というジャンルがあり、清朝宮廷劇では必ず耳にする「格格」。「う」の口の形で「が」を発音します。ゴーゴ?清朝皇族のお姫様と思っていれば間違はないですし、どれくらい日本放送やDVDで訳されてるのか実は未知なんですが、せっかくだからまとめました。
●用法1……低級な妾の呼び方
清初からある使い方。皇帝(というかハーン)、皇子などの最低位の妾をさす。のちの位階で言うと皇帝の官女子とか。次第に皇帝妾には使われなくなり、親王の妾のみへの呼び方へ変化。
●用法2……皇帝、皇族の娘への呼び方
これも古め。満語の音写で、皇帝の姉妹も娘も孫もみんな格格。皇族の娘も(一定資格を満たすと)格格。この大雑把なくくりから、のちには
・和碩格格(親王の娘、郡主に相当)
・多羅格格(郡王の娘、県主に相当)
と分かれていく。清朝で皇子に生まれても親王に封じられるとは限らないので、親王→郡王→貝勒→貝子、など位階があり、皇子の娘でもそのときの父親の位階で呼び方が違うのかな、多分。格格が内輪での呼び方、公主・郡主になると正式な呼び方になります。
●用法3……皇女の呼び方
恐らく一番時代劇で耳にする用法。皇帝子女の嫡庶に厳しくない清朝でも、一応皇女は嫡庶で正式な名前が変わる。
・固倫公主……嫡女、皇后所生
・和碩公主……庶女、妃嬪所生
朝鮮王朝だと庶女の場合公主でなく翁主だから、清朝においては皇帝庶女でも公主ではある。しかし皇太極嫡女で和碩公主がいるし、後世では皇帝の溺愛で庶女の固倫公主も(乾隆帝末娘で惇妃汪氏所生、和珅の息子豊紳殷徳妻)。
漢族で異性の公主孔氏(外藩王呉三桂の養女)や、皇女でなく皇帝何世孫でも場合により公主、郡主になる。和親公主(他民族や国家と和睦のためその国へ嫁す)は賜死したりと失脚した父を持つ宗室の娘が公主に封じられて行くことも多い。無情。