北京電視台の《記憶》シリーズは長さもほどほど、着目点や構成なども面白くて気に入っているのですが、87版紅楼夢の作曲家・王立平老師に取材した回を見てみました。お歳を重ねてもげんきげんき。そして、今回のインタビューで印象に残ったのは、
・メインの主題歌、插入歌を歌った陳力さんはプロではなかった
・陳さんははじめ柳嫂での出演のみ決まっており、たまたま歌う機会を見かけた導演の王扶林老師が採用を考えるも、素人ではダメと王立平老師は断固拒否
・陳さんは演技も初、二代目迎春(牟一)や元春役(成梅)の方々のように、普通に働いているところをスカウト
・そこから地獄の特訓が始まり、28歳(1984年当時)になっていた陳さんは毎日叱り飛ばされまくるのにかなり参ったらしい
・地獄の特訓は1980年代の中国、ただただ歌い続ける過酷さで、十時間以上連続など
・三年修行して見事免許皆伝され、今もメジャーな歌のオリジナル演唱者になったそう
陳力さんは今でも紅楼夢関連番組では美声を披露されたり、てっきりプロの歌手の方で、歌での採用から人手不足(すいません)で柳嫂役に駆り出されたのかと勝手にイメージしていたんですが、全部ハズレ!真逆でした。一方で男性歌手、王熙鳳を歌った《聡明累》独唱の王浩実さんは、すでに団体に属しプロの歌手であったため、79年の時点で老師から紅楼夢の歌を歌ってくれと打診されていたそうです。しかしインタビューで迎春の《紫菱州歌》の名前ど忘れしてらして、そういうことも、ある、かな、、
ほか、01年にイベントで黛玉役の今はなき陳暁旭さんと一緒に《枉疑眉》歌い、そのステージのために陳暁旭さんにレッスンしたプロ歌手の呂微さん、また87版紅楼夢テーマソングをオーケストラと歌ったに呉碧霞さんと、花が咲く紅楼夢トーク。それによると王老師は写譜をさせる方針らしく、譜といっても日本語で言う歌詞を何度もかかせる方式らしい。それで歌わないけど演じる陳暁旭さんも何度も歌詞を書き写してイメトレ?したみたい。
笑い話も有り、撮影、作詞作曲、書法と大忙しの王老師、王浩実さんの録音時に立ち会っていたのが寝入ってしまい、録音師の人がイタズラで音量最高にしたら飛び起きて王さんたち爆笑、みたいなことがあったそうです。それ許されるのか。意外にそのへんはこだわらないのか王立平老師。
紅楼夢ドラマ以降、電影《大海在呼換》、豫劇版《牧羊歌》などに取り組まれたそうですが、イタリアとの合作でイタリア人俳優さんが歌うシーンも多い《大海在呼換》はあまり成功とは思えず自分の能力に疑問を覚え落ち込んだとか、、映像見ると海の男やイタリア美人の出る、どんな話かわからなそうな話でした(?)。豫劇版《牧羊歌》に関しては、河南人の老師、発奮してかなり力を入れたそうです。