王天林監督作品。これはyoutubeなどで存在は知っていたので、ショウブラザーズ黄梅調ファンとしては絶対見たい!と気になっていた映画。日本でも「真説チャイニーズゴーストストーリー」としてDVD化されている名コンビです。パッケージには「復刻黄梅調」のシール!豪客唱片股分有限公司発行。明代の白話小説「金玉奴棒打薄情郎」が原作。
【あらすじ】乞丐(乞食)の首領・金松親方の娘である玉奴(楽帝)は、ある日偶然に零落した書生の莫稽(趙雷)と出会い施しをする。恋に落ちた二人は結婚、金家に助けられ莫稽は勉強に専念できることに。そして科挙に応じるため都へ赴き見事合格。知県の職を得るが、莫稽は糟糠の妻を疎んじ始め、金親方にもどうすることもできず、夫婦で任地へ赴く途中、玉奴はいたたまれず船から飛び降り入水。莫稽や金親方は玉奴が死んだと思い込むが、実は玉奴は生きており、林巡按の家に幸いにも拾われ養女となっていた。 林巡按は莫稽の新しい上司で、事情を知った巡按は一計を案じ莫稽に縁談を持ちかける。快諾する莫稽に、結婚式の夜、花嫁側からの吊るし上げが待っていた。しかも玉奴が生きていることを知らない金親方が、婚礼を妨害し莫稽に復讐しようと乗り込んでくる。呆然とする莫稽は、ついに花嫁が死んだはずの玉奴と気づき、林巡按夫妻や金親方に仲裁を頼み許しを請う。そして二人は再び夫婦となったのだった。
見る前、てっきり莫稽はいい人なのかと思っていたのですが、とんだ恩知らず。しかし玉奴、こんな旦那でいいのだろうか。巡按の養女になったんだからもっとまともな人と再婚したら?と思うけど、そうもいかないのかなあ。それにしても林巡按の懐が深い!お金持ちなのに乞食の金親方を家に入れてくれるし、太っ腹というかなんというか。黄梅調だからかもしれないけれど。莫稽が拝命した知県は地方官で県知事のようなもの、ただし現代日本の「県」より狭い地域の長官です。その上に道台(いくつかの県の責任者)、巡撫(省の長官)がいて、総督(いくつかの省の総責任者)がいて・・・、と、地方官のなかでは低いかもしれないけど、庶民からしたら遠い存在。いくら黄梅調といってもものすごく歌が多い。金親方は乞食組織の親分なので、ふつうよりは少しお金持ちなくらいで衣食住には困りません。手下の乞食の儲けをピンハネする代わりに、実入りのなかった日の面倒や病気治療、葬式を受け持ってくれるのが乞食の親方。冒頭の玉奴もお嬢様とまではいかずとも貧乏庶民ではないいでたち。家柄がない裕福なうちが見込みのある婿を迎えて、出世後にもめて・・、と今でもありそうです。