電影「白奶奶酔酒」

d0095406_1325082.jpg81年長春電影製片、テロップには「「河南省許晶地区越調劇団演出」とあります。タイトルだけにお酒のポットと茶碗のカワイイ切り絵から始まるクレジットがあり、いかにもな戯曲映画といった感じ。何かの戯曲を改編したようですが、元ネタははっきり出てきませんでした。

ストーリーは白奶奶が娘の白鳳英と、童家の息子を玉の輿ねらいで結婚させようとする話。間に許懐才という丑(道化)役が入り、恋愛映画というよりは完全に喜劇。縁談の当事者たちのすれ違いぶり、親や使用人の周囲の画策、その他もろもろが美しい庭園などで行われよくできていています。最後は二人が結ばれハッピーエンディング。ベタですが白奶奶のようなおばさん活躍タイプの戯曲は大好きです。

それから、「越調」って、やはり越劇のことなのか。よく黄梅戯を「黄梅調」「黄梅戯調」というから、同じかたと思ったのですが・・ただ見てみると衣装も、甲高い歌い方も、男性が出演するところ、丑の白いメイクなど明らかに京劇風な気がしました。言葉だけはおそらく越劇に近いようで、北京語ではなかったです。時代のせいかとも思ったけど、81年の越劇・・どうだろ。しかし字幕がないので、細かい内容も正直すべてはわからなくて。ちょっと不完全燃焼。

最初は反発していた鳳英と童家のドラ息子ですが、ラストは彼らの結婚式。白奶奶は最初こそ格上の童家との縁談に気マンマンでしたが、途中からゴネだし式当日はおかんむり。許や童夫人が、出征から戻った夫も登場し総出で彼女をなだめます。結局説得にはいたらず、式は進行し白奶奶が自棄酒をあおるアップで終。上流家庭の奥様とは思えない・・(汗)使用人もキャラ立ちしている人が何人もいて面白そうだし、今度再チャレンジします!
# by hungmei | 2007-01-05 12:14 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(4)
越劇・黄梅戯・京劇などは全て日本だと「中国伝統演劇」などと言われますが、原語では大体「戯曲」となります。歌舞伎と比較されがちですが、その歴史は意外と新しく京劇で200年くらい。現存する最古の演劇は崑曲で、越劇ですと06年で100年、黄梅戯だと200年です。ここでは戯曲=地方劇という単語を使っています。

地方劇の言葉

中国には300種ほどの地方劇あり、原則的にその土地の言葉を使って上演します。京劇なら北京語、四川省の川劇なら四川語など。川劇は一瞬で隈取のメイクが変わる「変瞼」という秘儀で有名ですね。黄梅戯は普通話ですが、越劇では江蘇省・浙江省・上海あたりの言葉が主に使われますが、全国第二の劇になるにあたり普通話化が進んでいるようです。ちなみに黄梅戯は全国五大劇の一つ。

地方劇の特徴

戯曲の特徴としては、①小道具や背景よりも役者の演技で時間や場所を表現、②唄を必ず伴い重要な感情表現である、③写実よりも写意、というところでしょうか。京劇では舞台に椅子とテーブルしか置かない、という事をよく聞きますね。越劇や黄梅戯では京劇よりも現代的・写実的なところに特徴があり、服飾や髪形・舞台装置においても京劇よりも具体的です。

越劇・黄梅戯の特徴
越劇では「紅楼夢」「梁山伯と祝英台」などメジャー演目の通り、男女の機微を扱ったものが多く武技や立ち回りなどは京劇より控えめ、黄梅戯では成り立ちからか滑稽技も多くなります。京劇が北方の代表であれば、越劇・黄梅戯は南方が本拠地です。そのためカラーもかなり違いますので、これはもう見ていただければおわかりになると思います(^^)


地方劇の演目
演目は古代を舞台にしたものから、民国期、そして最近ではマクドナルドが登場する現代劇などもあります。ただ衣装は明代をベースにした戯曲風の衣装で、歴史的に正しいものではなくデフォルメしてあります。個人的な感想ではやはり明代頃の演目が多いような気もしますが、「啼笑因縁」など民国期の悲劇も多いかな。そして真髄はやはり唄にあり、西洋のオペラともまた違ったよさがあります。

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# by hungmei | 2007-01-04 00:00 | ※このブログについて※ | Comments(0)
ネットショッピングサイトの影視王さんで見つけた紅楼夢が題材の、昼メロドラマです。
2003年作品、21話の古典青春偶像劇。余談ですが童顔美人が多く、見ているとちょっと食傷気味。大人っぽい美人が見たい。

モチーフを借りただけで、基本的に本筋からはずれまくってます。以前アップした10集の中韓合作ドラマよりも、話数が多く昼メロ風味5割増な感じ。平児が賈レンの長男を産んで「平姨娘」になったり、玉釧児と茗烟がくっついたり、小紅を賈芸と興児が争ったり、そもそも賈芸は本家筋の息子で煕鳳たちと同居していたり。中盤で小紅は芸と結婚が決まり「玉の輿!」と喜んでいたら煕鳳のとんだ邪魔で不名誉な破談となり、自殺未遂をはかります。女工哀史みたいな。

あ、でも晴ぶんが死に宝玉が芙蓉女児誄を作ったり、賈家が没落後やや持ち直すところなどは一緒です。ただ襲人が結婚するのは、蒋経由で北静王から忠順親王へとりなしをつけるため、王夫人に説得されて嫌々でした。襲人は原作よりさらに潔白に描かれている感じが・・。煕鳳が獄神廟の中でレンからの休書(離婚届か)を渡されるところは珍しい。抄家と同時にご隠居も亡くなるし、曹雪芹の失われた後30回ぽい?最後に賈芸と小紅夫婦が活躍するところも、最終回で麝月が残され姨娘となるのもそれっぽい。

黛玉や宝釵、四春はY頭の会話にだけ登場し姿も形も見えません。無理に出しても変ですし、潔いですね。李ままや多姑娘が原作よりさらにワルで、王善保の妻などいろんな人の悪行をこの二人に集約してあり笑えます。気性が激しく口が達者な晴ぶんが絶句するあくどさに、むしろ多姑娘の活躍に魅入ってしまいました。平児のお産の時も何故か手伝いに来ていて、ひっかきまわして帰っていくし。それにバカ姐大活躍で、ストーリーよりキャラクターです。面白いです!蒋玉函の女装シーンもあり。

錫恵園林や上海大観園で撮影されており、衣装は謎の戯曲風でどハデですが背景は見ごたえ十分です。ただやたら「請安」シーンが多く、賈家の規則の厳しさやいかに奴隷を苦役させているかが強調されており、還珠格格を思い出す感じも。あのヒット作品からやたら旧事の挨拶ネタ等々が時代劇で増えた気がするんですが。お笑いコンビ北陽の虻川に似た芳官、えなりかずき似の宝玉、井上和香みたいな襲人、チャングム役のイ・ヨンエにそっくりな鴛鴦、永井勝みたいな賈芸と、親しみ溢れる作品でした!
# by hungmei | 2007-01-03 19:37 | 3紅楼夢/ドラマ、書籍等 | Comments(0)
ご参考までにどうぞ。
2013/09/17 コメントにてご指摘をいただき誤字を訂正いたしました。

※行当(役柄)

生(せい)・・・男性役、旦(たん)・・・女性役、丑(ちゅう)・・道化役
「小」がつくと若いという意味で小生は若い男性役、小旦は若い女性役。
「老」がつくと老け役で、老生は壮年の男性や老人、老旦は結婚した女性や老婆役。

京劇での小生はヒヨッコ扱いですが、越劇では主役です。
黄梅戯では丑が結構いい味出してますね。

越劇「碧玉簪」では、珍しく道化役の旦が出てきます。外見も言動もマチャミみたいです。
それほど多くはなくとも武旦もおり、「何文秀」ではその武技を見ることが出来ます。

さらに見てみる
# by hungmei | 2007-01-03 00:00 | ※このブログについて※ | Comments(13)
d0095406_645441.jpg  昔の香港映画といえばカンフーや義侠物ですが、その牙城が70年代ショウ・ブラザーズ。50年代から古装(時代劇)や黄梅調(中国オペラ)で人気を博しました。日本でも『西太后』のリー・ハンシャン監督、カンフーだとティ・ロンやキン・フーがおなじみ。特にキン・フーは時代劇や黄梅調で俳優業をこなし、監督デビューは京劇原作『玉堂春』。ショウブラは他に70年代エロス映画も有名です。amazonでの日本版DVD紹介ページ

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# by hungmei | 2007-01-02 00:00 | ※このブログについて※ | Comments(2)
「火焼円明園」は83年、日本では同年公開の「垂簾聴政」と二作あわせ日本で「西太后」として公開された作品です。中国政府の肝いりで製作、監督・主演ともに同じく劉暁慶・李翰林コンビ。「続・西太后」の方は原題「一代妖后」89年作品。前者は娯楽時代劇でもシリアス、後者は完全ただのエログロという感じでした。しかし「火焼・・」で本土や香港スターが共演した時は、その経済的ギャップがすごかったらしいですね。大変・・。香港サイドが豪華な生活に比べ、本土チームは月給50元とか。

「火焼円明園」は見てみるとやはり日本版で削られたシーンの数々が!忙しいときでも無理してみてよかった!前半はエホナラ氏の後宮入りと男子誕生まで、後半は1860年の対外戦争について。激しい戦闘シーンが愛国的に描かれており、中華民族万歳、みたいな感じ。イギリス軍への民衆レベルの抵抗はおなじみのトーンで真っ赤なバックが似合いそうです。日本版ではほとんど削られているのもちょっと納得。

日本版では出番の少なかった張鉄林(恭親王)を見て「還珠の時とカオが変わらん!」と思ったのと、西太后の出産シーンが印象的でした。咸豊帝との甘酸っぱい出会い編から冷却期、エホナラ氏の画策により再び寵愛を得て懐妊と・・西太后が一番最初に皇帝の心を捉えたきっかけが、他の選秀女の女子とのラッキー(マギー慎司の芸)ごっこだったのがウケました。最期には手足を切られ、人ダルマにされる麗妃役の周潔は、バレリーナ出身でぱっと人目をひく美人。西太后に粛清される美人后妃がはまり役です。

クレジットにも歴史学教授という先生が出てきますが、ヌルハチの予言「エホナラ氏の娘が清朝を滅ぼす」とか、エホナラ氏が花園で唄を聞かせゲリラ的に皇帝の気をひいたとか、今では俗説となっているエピソードも多い気がしますが・・当時だからか、娯楽映画だから構わなかったのか。面白いから構いませんけど(^^)でも蘭児時代の劉暁慶、ほんと綺麗だったなあ。さすが女優さん。

「続・西太后」の方は日本語字幕版をビデオで鑑賞。劉暁慶(西太后)、陳<火華>(東太后)と監督は前二作と同じ。加えて同治帝とのロマンスが描かれる宮女にコン・リーと、女優陣が豪華ですが全体としてはイマイチ!同治帝がおっさんで十代に見えないし・・・TVドラマ「康煕王朝」や「HERO」始皇帝役のビッグネームの陳道明ですが、ちょっとこの役には合わないのでは?

コン・リーの宮女も突っ込みどころ満載で感情移入できず。前二作が名作としてDVD化、最後のこの作品がそうでないのも納得でした。ただ皇后吊り下げシーンだけは、同年代の子と話してみんな覚えているくらい鮮烈で、この作品のハイライトはそこかも?全体的に見所シーンのためにストーリーをひねり出してあるように思えて、無理があります。でも小さい頃、大好きだったんですよね。気持ち悪い子どもですが(汗)

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# by hungmei | 2006-12-14 20:45 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(9)
大女優・劉暁慶主演で娯楽時代劇映画の金字塔(と、私が思っている)80年代の李ハンシャン監督の映画です。このブログでも何度か言及し、疑問だった「皇后吊り下げシーンの有無」を確認しようと手持ちのほかのDVDも見てみました。

というか、本当は夏に書虫で注文しとっくに忘れていたら最近届いたので、これ幸いと鑑賞。果たして、内容は手持ちのVCDと同じ・・。西太后が既に皇帝の嫡子を産み、ちょうと咸豊帝から同治帝の代替の頃が舞台。なので同治帝の皇后吊り下げシーンも出てこないし、西太后ことエホナラ氏が後宮入りしたばかりの頃の話もない・・。

寂しいです。何を見ればあの映像がまた見られるんだろう?劉暁慶なのは間違いないので、彼女が出演した映画でそれらしいのは片っ端から見ればめぐり合えるでしょうか。そう考えてしまうほど残念です。余談ですが、この映画、ラストのテロップが「再会」。斬首シーンなどもあり凄惨極まりない映画のわりに、のどかな挨拶のような・・。続編があるからかな?
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# by hungmei | 2006-12-02 21:55 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(7)

江蘇評弾DVD「評弾精華」

中国楽器・音像資料ネットショップ「江南春琴行」さんで購入。1700円くらいでした。

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江蘇・浙江省はいわゆる「中国」文化の精華を集めたような場所で、その伝統芸能である
評弾を初めてきちんと視聴です。・・・・でも生半可な知識で完全に江南春琴行さんのメルマガ
の受け売り(笑)。評弾って、きっとこの琵琶のような楽器の名前なんですよね。こんなまま
ブログに書いてしまっていいんだろーか。

このお店はよく利用させてもらっていますが、中国伝統音楽や崑曲にとても詳しい店主さんが経営されています。メルマガもすごく勉強になる。戯曲は好きだけれど、音楽には門外漢な私はいつもメルマガで紹介されていたものや、見てビビッときた物をジャケット買い。失敗したらどうしよう、とちょっとドキドキです。

なんだかんだでハズレは今のところなくて、今回のDVDも良かった!弾き語りスタイルで唄が中心だとは知らずに見たので最初は面食らいましたが、「鶯鶯操琴」(西廂記)・「紫鵑夜嘆」(紅楼夢)・「杜十娘」(牡丹亭)・「梁祝・送兄」(梁山伯と祝英台)と、戯曲でお馴染みのモチーフがたくさんでそこもツボ(^^)それにこれらの戯曲ってみんな江蘇・浙江が地元だなあ、と改めて文化の豊穣さを実感です。

「紫鵑夜嘆」は宝玉・宝釵の結婚後、紫鵑が黛玉の臨終を思い出しながら夜寝られず、嘆いている・・という唄ですが、原作とちょっと違うようなところもあり。「新娘は喜びに満ち溢れ・・」とか。宝釵は・・喜びまくってはいないよなあ、とか(しょーもないツッコミですみません)。でもビブラートがきいた、歌詞が少なめでゆったり歌う様子はとても素敵でした。他は普通のチーパオですが、「鶯鶯操琴」だけは戯曲風に昔の衣装でとても凝っています。
# by hungmei | 2006-11-19 21:11 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)

鑑賞作品レビュー、視聴検討作品の備忘録です


by hungmei(黄梅)