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 編導:趙慧娟、1984年、浙江省小百花越劇団演出。今は映画・TVスターとしても名高い何賽飛・陶慧敏と、越劇で活躍の夏賽麗が出演。20年以上前の作品だけに古めかしいですが、それでもしっかりした演技&演出になっており、小百花ブームを牽引した、上海越劇院と双璧をなす(言いすぎ?)浙江小百花越劇団の底力を見た感じ。「上海電視台」とあり、演員紹介も含まれているので、浙江小百花越劇団の紹介も兼ねた番組っぽい。
-----『双珠鳳』あらすじ------------------------------------
  洛陽の才子・文必正♂が南陽に向かう途中、法華庵(お寺)の庭で春を満喫していると、焼香に来ていた才女の霍定金♀と出会う。文は霍に一目ぼれ、彼女の落としていった珠鳳を拾う。霍を落とすため、文は奴隷に身をやつし霍家へもぐりこみ霍興と改名。4ヶ月目には遂にお目通りを果たす。ある日親戚の韓家で長寿のお祝いがあると霍家総出で出かけるが、霍定金は具合が悪くなってしまう。霍夫人(定金の母)から霍定金を霍家へ送るよう言いつけられた文(霍興)は、チャンスとばかりにずっと持っていた珠鳳を蓮花に入れて霍定金に贈る。さらに実は奴隷でなく文必正であること、法華庵での出会いからずっと好きだったと表明。そして2人はお互いの将来を誓い合って終わり(親の反対とかないのか?)。
--------演員紹介---------------------------------------
秋 華...陶慧敏
  先に映画で有名になったせいか、越劇でのキャリアをあまり見ない女優さん。80年代の越劇電影『五女拝寿』の四女など越劇では脇役が中心で、何賽飛が映画・越劇両方でキャリアを確立してるのに比べ、映画よりな印象でした。しかしこの作品で見ると、エリート選抜に残っただけあって越劇もうまい!恋を取り持つおせっかいなY頭役をそつなくこなしています。越劇で脇役なイメージも、小姐役(何賽飛)と侍女役(陶慧敏)じゃ仕方ないのか。ここでの秋華役は大本を傳全香が演じており、陶慧敏は傳派なんでしょうか?

霍定金...何賽飛
 『李翠英』などで有名な張雲霞派の旦(女役)、21歳当時の出演。映画では妾、もと娼婦、ほかキレた性格の役が多い女優さんですが、越劇では意外に正統派でしかも主役が多い(『五女拝寿』など)。越劇キャリアは断然、陶慧敏より勝っている印象。80,90年代の中央電視台のお正月戯曲番組『戯曲晩会』でもよく越劇代表で出ていた。地味顔なんだけど越劇メイクとあいまると、たえなる風格。ただいつもノーズシャドーが濃いのはそのせい?

文必正...夏賽麗
 当時19歳。この人も手元にプロフィールがなかった・・・。絶対、他でも見ているんですけど。大本は陸錦花が演じた役なので、たぶん陸派なんでしょう(独断)。奴隷にしては服が豪華だけど越劇らしいのかな。秋華に助けられ、彼女を「大姐」と呼び二人の会話は聞いていて笑えます。映画では可憐・憐憫な印象が強い陶慧敏も、越劇だとこすっからいY頭がはまっていて、何と陶はそれぞれ映画と越劇での役型が反対ですね。
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 上記のあらすじのうち最後、お花を送るシーンのダイジェストがこのVCDです。越劇の創成期から演じられる伝統演目で、扮装も通常の越劇より古風。しかしこの『双珠鳳』、ダイジェストの『送花楼会』がひとつの劇として成立していて、全劇を上映することは少ないのかも。越劇史を見ても『送華楼会』で項目がたっていて、京劇の『秋江』みたいなもんか。類型は『三笑』などの一目ぼれ→奴隷に扮して女の家に潜入とか、女が落とした小物が恋を取り持つという戯曲黄金パターンてんこ盛りで他と識別しにくいのですが、このお花にアクセサリーを入れて告白、ってのは確かに特出してますね。  
# by hungmei | 2008-10-24 08:05 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(8)

楚劇『穆桂英休夫』

d0095406_22435566.jpg  武漢楚劇団演出、新編古装劇。楊門女将ものは京劇を始め、あらゆる中国地方劇に見られる演目ですが、中でも穆桂英は夫である楊宗保も舅もコテンパンにしてしまう女丈夫。個人的には楊門のほかの女性より目立ち彼女が主人公の演目も多い(『穆桂英掛帥』・・・穆桂英、元帥になる、とか)ように思います。それが「休夫」となれば、あのお強い女将軍がついに夫を離縁?と興味しんしんで鑑賞しました。楚劇は武漢をはじめ湖北省の劇のようで、こちらも初鑑賞。1997年11月、中央電視台・広東電視台。

  商品紹介

-------あらすじ-------------------------------------------
北宋の時代、宋の正規軍の楊宗保♂はふとした事から山賊の娘・穆桂英♀に出会い、一目ぼれされる。武術の面で穆桂英にコテンパンに負けた楊宗保は、穆桂英からのプロポーズを受け入れ結婚。しかしそれを知った叔父の楊延昭は激怒し、楊宗保をふんじばって連れ帰る。穆桂英はそれを追いかけ、宗保の余太君と対面。非常に気にいられるが、姑の柴郡主とは育ちが違うせいでギクシャク。また八人の嫂たちとも紆余曲折があり、ついには夫の楊宗保との関係にもひびが入って「あんたとなんか離婚してやる!」と宣言し山へ帰る。慌てた余太君、楊延昭らは総出で桂英の実家の山に迎えに来る。心打たれた桂英は離婚を取り下げ、楊門に帰ることを承諾。そして穆桂英は北宋の元帥に任じられる。
----キャスト-----------------------------------------------
穆桂英...王筱枝
自分でコテンパンにのした楊宗保にほれ込み逆プロポーズし、意気揚々と婚家に挨拶するが、育ちが粗雑なのでちょっと浮いてしまう。しかも夫ともケンカ、離婚宣言をして実家へ帰ってしまう。紅い衣装のかわいい少女といった趣。主役だけに可愛らしいですが、アップだとお顔のたるみでお年が伺えます。そこがちょっとキツイ。

楊宗保...宗 涛
楊門の九番目の息子(末っ子)。任務遂行のため穆桂英と戦うが負け、かえって相手から求婚される。野蛮な妻を必死に説得し親族と協調させようとする姿に思わずときめきました。穆桂英と並ぶと、どうも気苦労の絶えないお父さん(お兄さん)と心配かけどおしの娘(妹)って感じで、対等な夫婦というより保護者と被保護者みたい。白×青の衣装も赤の衣装がステキ。

余太君...張光明
楊門の古老で楊宗保の祖母。穆桂英を気にいらない息子に比べ、初対面から彼女を気にいり、何かと世話をやく。柴郡主との仲を仲介し、八人の嫂たちにわたりをつけ、桂英が実家に帰ると一族を引き連れ迎えにゆき、穆桂英を楊門の嫁として受け入れ元帥にすえる。ばあさんに気にいられれば万事OKか。

柴群主...張一平
楊宗保の母で北宋の皇族出身。黄色い衣装で高貴さアピール。育ちが高貴なため、野育ちの穆桂英とはじめは反目するが、余太君の取成しもあって最後は和解する(不自然なほどあっさり穆桂英に懐柔されている)。のちは八人の嫂との仲を仲介し穆桂英を助ける。

楊延昭...干或楽
余太君の息子(おい?)、楊宗保のおじ。叩きのめされた上にその相手と結婚した甥の楊宗保に激怒し、穆桂英と引き離して連れ帰るが、のちに和解する。主張は正しいと思う・・・。穆桂英の武技を認め、元帥に任じる一端を担う。

九 妹...夏青玲
ジャケットに名前があったのですが、作中そんなに目立つかというと?俳優さんが著名な方なんでしょうか。

穆 瓜...呉志偉
穆桂英の下男?丑でかわいいです。人間だけど動きはサルっぽい。

四夫人...朱金芳、八夫人...王瞼峰
それぞれ楊門の嫁で穆桂英の嫂。この2人は夫が戦死し寡婦となっている。

楊■鳳...杜順萍
余太君お気に入りの内孫(?)いつも傍らに控え、穆桂英とも意気投合する。
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 群舞があったり、アクロバットな武技があったり、アクションが派手で唄も激昂した感じが雄雄しかったです。これしか見たことがありませんが楚劇のイメージ通り。穆桂英と楊宗保の新婚ぶりは見ていて飽きないのですが、親戚との折衝だけをずーっとやっているとだんだん飽きて、後半辛かったです。姑の柴郡主との和解なんかあっさりしすぎて拍子抜けだし。その短気さがいいのかもしれないけど、いいとこの坊ちゃんと結婚したら親戚でもめるのは当然だろうよ、とどうもここでの穆桂英には同情できず。「媽媽」「奶奶」など、親族呼称が現代的でした。(時代劇ならお母さんを「娘」とか呼ぶイメージ)。
# by hungmei | 2008-10-24 07:46 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(1)
  2006年越劇100周年フェスティバル(中国越劇芸術節)の上映作品のうち、スタンディングオベーションを巻き起こしたという作品。内容は劇でよくある包公案で、京劇『秦香蓮』に基づいています(評劇の電影でも有名)。違うのは、京劇・評劇の秦香蓮が夫にすがりつくのに対し、ここでの彼女は「そんなダメ夫なんかこっちから捨ててやるわい」と法廷から立ち去ろうとするところ。マイナー劇団にマイナー俳優ながらも観客の心を捉えた魅力は「自分から夫を見限る自立した女」と、神戸学院大中山文教授の観劇記で拝見し気になっていたら、youtubeにあったので貼ってみました。



あらすじ、キャスト、スタッフ-----------------------------------
浙江省諸曁越劇団、顧頌恩作、楊小青演出
秦香蓮...楼明迪
陳世美...何恵麗

 秦香蓮♀と陳世美♂は貧乏な夫婦。子ども2人にも恵まれたが、夫は科挙を受けるため京へ旅立つ。その後夫からの便りはなく、秦は義父母を看病し看取り、苦しい家計をやりくりする。しかし遂に生活がたたなくなり、京へ夫を探しに子どもを連れ長旅に。しかし夫は状元となり、皇女と結婚し駙馬となっていた。秦は何とか面倒を見てくれと陳に談判するが、風聞を恐れた陳はお金で引取らせようとする。秦は法廷に訴えるが、駙馬とあって清廉な裁判官・包公も取り合わない。秦は「そんな夫なら初めからいなかったと思い、子どもと一緒に生きていきます」と立ち去ろうとするが、それを聞いた包公は陳世美の死刑を決める。裁判を見届けた秦香蓮は包公に一礼し、子供たちと去ってゆく。
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参考文献:
中山文(2008)『天道正義』にみる越劇の伝統と女性像、女性史学、第18号
# by hungmei | 2008-10-22 07:47 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(1)
※李の黛玉葬花もついでに動画を貼ったのでアップしてみました※

 一度、李少紅監督の新版紅楼夢で林黛玉役に抜擢された李旭丹。結局は別の人が黛玉役となり、彼女は新版には出演しないようですが、動画サイトで見るとなかなか人気者みたい。確か16歳くらいだったと思うのですが、私が知っている越劇女優で前線にいるのは20代前半までだったので、「女優さんの顔が若くてぱんぱんだとこういう越劇になるのかあ・・」と新鮮でした。個人的にもっとゆるんで化粧も濃くなってきたあたりが一番好きだけど、唄はうまいですね!9月に上映された『青春版紅楼夢』ではみごと黛玉を演じ、王派ホープの貫禄。ドラマ界に持ってかれなくて良かったとほっとしてる人もいるかも?

【勧黛】:黛玉が紫鵑への思いを唄う。左の古装が李、ドレスが単先輩。


【越劇詠梅】:李が群舞を従えてうたい踊ります。10代だけど主役のカンロク。


【黛玉葬花】紅楼夢の中で一番有名なシーン。越劇といえばこれ。

# by hungmei | 2008-10-22 06:43 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(1)

謝晋監督ご逝去

 中国現代映画の巨匠で、最近までメガホンをとられていた謝晋監督がなくなられたそうです。文革を扱ったリュウシャオチエン主演の『芙蓉鎮』、日本統治下の上海で行われた越劇改革を題材にした『舞台姐妹』は、とても好きな作品でした。享年85歳だそうで、とても残念です。

訃報記事
# by hungmei | 2008-10-20 07:19 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(0)
今、中国の古典エロス文学の最高峰、『金瓶梅』を読んでいるところなんですが、意外や意外、読んでもムラムラしません!濡れ場の表現が文語だとわけわからんし、固有名詞も雅語だったりすると単に読んでも意味がわからない。うっすらと濡れ場なんだろうなとはわかるけど・・・。しかし『金瓶梅』の李瓶児といい、『紅楼夢』の襲人といい、男性に人気があって女性からは嫌われがちなキャラクター。私も襲人は好きだけど李瓶児は嫌い

李瓶児は貞淑な夫人みたいに言われるけど、西門慶に嫁ぐ前、前夫の花子虚を謀殺し財産まで奪ったのはは毒婦の潘金蓮と変わらないし、次の夫の蒋竹山への仕打ちはすでにいちゃもん。襲人にしても気がつき優しい女中の鑑だけれど、「将来は冨貴を楽しみたい」と素朴な欲望も表明しているわけで、無欲で献身的と言い切れる単純な女性じゃないと思うんだけど、お二人とも妙に清く修正されたイメージが一部の人にはあるみたいだ。
# by hungmei | 2008-10-17 07:48 | 3紅楼夢/ドラマ、書籍等 | Comments(3)
 越劇第一世代の女優さんで、王文娟(小姐役)とのコンビが印象深い孟莉英。彼女は越劇電影の『紅楼夢』において紫鵑を演じ、ほか越劇電影『西園記』(1980)でも王と共演しています。その健気な貼身Y頭ぶりは、「Y頭王」の称号を持つほど。もちろん高名な方なんですが、ここはひとつファンが日本語でよりプッシュしようと、動画でご紹介してみました!!現在、新版『紅楼夢』などでよく紫鵑を演じる呂瑞英派の張永梅ですが、彼女は孟老師にも師事したそうで、地味顔でしっかり者のY頭キャラは孟老師の直系の弟子って感じ(勝手な感想ですが)。

【黛玉焚稿】黛玉から「妹」と呼びかけられ、臨終に紫鵑一人が付添う。


【問紫鵑】黛玉の位牌を守る紫鵑に、宝玉が彼女の臨終の様子を尋ねる。

# by hungmei | 2008-10-14 09:33 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(0)
d0095406_201617100.jpg 清代の蒲松齢作、中国古典文学の狐・幽霊ものといったらこれ!昔から今まであまたのドラマや映画の原作となってきました。上下とも97年発売、500頁弱で読みやすい。全編から80あまりの話を選んで訳されたこの本は恋愛ものが多く、『画皮』など怪奇ものはなし。必ず美女(実は狐か幽鬼)が貧乏書生に押しかけ女房し、書生は豊かになり子が生まれ、美女はそのうち消えるか夫婦で登仙する。で、家に帰ったら正妻がいるとか、「私と別れても結婚しないで下さいまし。家事や夜伽が必要なら、妾を置いてくださいね。」とか妻妾同居一夫多妻のな常識が面白い。


 『聊斎志異』は平凡社から奇書シリーズで全訳が出ていますが、こちらも本来、松枝茂夫先生が全訳されるはずだったそう。先生のご逝去に伴い、全訳から一部選択して訳すことにあらため、立間さんが担当されたそうです。個人的に『紅楼夢』といい、平凡社のでっかいサイズの奇書シリーズより、岩波のレトロな訳文かつ10冊本くらいの箱セットが好きです。
# by hungmei | 2008-10-09 20:22 | 4ブログ関連書籍 | Comments(0)

鑑賞作品レビュー、視聴検討作品の備忘録です


by hungmei(黄梅)