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韓国時代劇映画「宮女」(2007)※7月DVDリリース予定

韓国時代劇映画「宮女」(2007)※7月DVDリリース予定_d0095406_1533265.jpg  女性監督キム・ミンジョンによる宮廷ミステリ「宮女」。2007年に韓国で公開され、「描ききれていない」との批判もあったそうですが、「張禧嬪」(03)と直接リンクする内容で、しかも宮女の自殺から始まる連続殺人。お友達の韓国版を、通訳してもらいながら鑑賞。結果、「王の男」で卒倒した私には映画館鑑賞は絶対ムリだと思いました。気持ち悪すぎる!普段こういうジャンルを見ないのでわかりませんが、亡霊もたくさん出るし血みどろ、殺人の謎解明+オカルトな感じ。幽霊もの映画としてみるのが正解かも・・。

 
 【あらすじ】朝鮮時代第19代肅宗朝、側室の張禧嬪は唯一の王子を産んでいた。そのため正室の仁顕王后は受胎に躍起、また大妃の明聖王后は卑しい側室から生まれた王子を認めていない。そんなとき禧嬪づきの女官ウォルリョン(ソ・ヨンヒ)が首吊り自殺をするが、検死した医女チョンリョン(パク・ジニ)は、ウォルリョンが経産婦と気づき数々の証拠から他殺と確信する。しかし上司のチョン尚書は、これで王后と禧嬪の対立が深まっては大事だと自殺として処理。独自に捜査を進めるチョンリョン。はじめは堤調大監♂がウォルリョンの密通相手で、彼が殺害犯と予想するが、実際に彼と密通していたのは別の宮女オクチン。ウォルリョン殺害の真犯人は・・(謎解きストーリーなのでネタバレの結末はコメントと人物紹介にて)。

 他殺を自殺と隠蔽する際、チョン尚書が「これで宮女全員が処女膜検査でも受けて、純潔でない者が粛清されたらどうするの」と言ったり、横領疑惑の繍房宮女オクチンへの拷問に「ツメに針」とかいつもの宮廷時代劇よりもっと陰惨(涙)。宮女の自殺は日常茶飯事(ウォルリョンは今年3人目。動じないえらい尚書達。)画面もいつもより暗い。女官のチョゴリがワッフル地のような初めて見る生地。宮女や内侍って死後どうするのかと思っていたけど、家族が引き取るか火葬からしいですね(普通は土葬で祭祀)。宮中で王以外は死ねないので、よく瀕死の宮女や内侍等々が運び出される姿がお馴染みですが。粛宗朝なのにチクチョンモリでなかったのが意外。あと内命婦独自の処刑シーン(史実?)があり、内容はギロチンて手首きり&剣で首切り、かつその間中宮女たちは見学させられてます。火の玉ダンスショーも有。

DVD情報はこちら
※日本版DVDは映像特典も豊富なようです。余談ですが、間違いだらけのあらすじ紹介に質素なつくりの「シムチョンの帰還」(07)と何が違うのかなあ。発売もとの資本力か・・



医女チョンリョン/チョン尚書
 ウォルリョンの検死を担当した医女。以前、堤調大監と密通、妊娠し決死の覚悟で隠れて産み、そのまま間引いた。冒頭そのシーンで、「殺された嬰児」というこの映画にぴったりの気持ち悪い幕開け。そのトラウマか穏健に事を収めようとする上司チョン尚書や監察尚書に楯突き、独自にウォルリョンの死を調査。はじめウォルリョンの密通相手を堤調大監と思い、オクチンに密通相手を告白するようと詰め寄る。しかしウォルリョンの実の相手を知るシム尚書(張禧嬪づき)から監禁。その後上司チョン尚書が死に際に残したウォルリョンの月経日誌から、ウォルリョン殺害は堤調大監と無関係で、張禧嬪と王子をめぐる陰謀と気づく。そして張禧嬪と対立、拷問を受けるものの解放。明聖王后の死で禧嬪の子が元子に冊立、後輩から「これで御医女ですね♪」と明るく返されるがシャレになんないラスト。

イ・ヒョンイク(内医院の正郎)/堤調大監♂
 明聖王后(大妃)の外孫。かつてのチョンリョンの密通相手で、妊娠がわかると堕胎を指示。チョンリョンは彼をウォルリョンの密通相手で殺害犯だとはじめ疑う。しかし実の相手は彼ではなく、ウォルリョンの相手とは粛宗だった(張禧嬪の身代わり)。こまし屋さんのようでオクチンにも手出しをし、それに気づいたチョンリョンを消そうとして(宮女との密通はふつう死刑)返り討ち、酸を浴びて目が見えなくなり、宮殿横の崖から転落し死亡。しばらく経った後も死体がそのままだったんですが、大妃の外孫が行方不明になったら騒がないのかなあ。この人もオクチン/オシと同じで違う名前で出てくるんだけど、おそらく同一人物かと。彼の死後、すぐにオクチンも独房内で息絶え、チョンリョンと間引いた子のことも考えると・・。

張禧嬪
 粛宗の側室で、15年ぶりの王子を産む。ドラマとは違い仁顕王后を恐れ、わが子を養子に出すか迷っている。王に「私と息子を守ってください、いつまで大妃様(明聖王后、粛宗の生母)に左右されるのですか・・」と詰め寄り怒らせる。ウォルリョン死亡を受け、その真相をチョンリョンに訪ねる。側近シム尚書がウォルリョンを監禁したのを解放し、「犯人を捕まえて」と頼む。しかし実はウォルリョン殺害犯がシム尚書だと知っており、シム尚書を片付けようとチョンリョンを逃がしたのだった。息子(実は甥)の王子が元子に冊立されるシーンで物語は終わるが、史実ではのち処刑され勝者のようでいて後で大負け。元子ものちのち可哀想だし!

仁顕王后
 粛宗の継妃(二代目王妃)。子がないことに焦り、「王子を養子に出しなさい」と張禧嬪に迫る。またチョン昭儀の番であるのに粛宗を寝室に受け入れた張禧嬪にふくらはぎ打ちの折檻でドラマの穏健なお姿とは大違い。宮女たちから「両班だって夜にすることはおんなじさ、子がないのに焦って『殿下、私に承恩を・・聖恩を・・世子を下さい・・この国の世継を・・・』って、みっともない」と言われており、女性上位で迫るベットシーンは強烈でした(宿直女官に覗かれてるし)。出番ほとんどこれだけなんだけど(爆)、初めのシーンが強烈!

明聖王后
 顕宗の正室で粛宗の生母。卑しい身分の張禧嬪を疎んじ、彼女が産んだ第一王子の元子冊立も認めていない。出番は少ないが、最後、おそらくウォルリョンの亡霊によって呪い殺される(このへんサスペンスタッチなもんで画面真っ暗、殺す側の顔がボーッと写るのですが暗すぎて誰だかわからん)。彼女が死に、反対派は勢力を失って張禧嬪の第一王子が元子になる。史実では顕宗には側室がいないが、ここではシム尚書の言葉で「先王の側室たちの奉恩寺幽閉」など、何かあったらしい。彼女の葬儀シーンで映画は終。

ウォルリョン♀ 
 張禧嬪づきの女官で、3人目の自殺者。隠しているが張禧嬪の姉妹で、回想シーンでタメ語だったり、仁顕王后の折檻の身代わりになったり。実は王子の生母で、禧嬪とシム尚書とはかって禧嬪の身代わりに王子を産んでいた。その見返りとして休日には絹の服を着て、俸禄以上の生活ぶりだったらしく欲が深い。ことの発覚を恐れたシム尚書により自殺とみせかけて殺されるが、彼女の怨霊の黒いモヤモヤが宮中を行き交い、チョン尚書、明聖王后が呪い殺される。「私の子が王になるのよ・・」と亡霊姿で後半大活躍。

オクチン/オシ♀
 繍房つきの宮女で、熱病のせいで口が聞けずいじめられており、そこを助けてくれた堤調大監と密通している。金糸銀糸横領疑惑(これもイジメによる冤罪)で繍房内でツメに針という拷問を受ける。その後、ウォルリョン死亡の真相調査のため、冒頭から監察尚書にずーっと幽閉される。そして発狂し自分のツメをはがし、太ももに針で堤調大監との思い出の漢詩を刺青。たぶん同一人物だと思うのですが、呼び方が二個出てくる?死に際、堤調大監との情事を思い出しながら息絶え、それを見たチョンリョンはいっそう真相解明に奮い立つ。

見習い医女
 チョンリョンの直属の後輩。医女だがまだ未熟で冒頭からウォルリョンの死体を見て嘔吐。ウォルリョンの検死書が盗まれたときの宿直。ラスト、チョンリョンが御医女になると嬉しそうにするが、この子の明るさですら消し去る映画の暗さ。しかも名前が出てこなくてわからない。朗らかなのはいーんだけど、この子も将来いろいろあるのかと思うと後味が悪くて。ウォンリョルが最後、手をつないでいて、守ってあげるんでしょうが・・、こんなに鈍くて今後大丈夫か?隠れてタバコをすったりも。

シム尚書
 張禧嬪を操ってウォルリョンを身代わりに王子を生ませるが、秘密がばれるのを恐れてウォルリョンを殺す。それが禧嬪にばれ叱責されるが、禧嬪の宮籍(禧嬪とウォルリョンが姉妹である証拠)と引き換えに、自分の保身とチョンリョンの始末を承諾させようとする。王子のことを「この子は私が作ったの」と奪って宮中から逃げようとするが、ウォンリョルの亡霊によって阻まれる。最後、監察尚書によってチョンリョルと入れ替えにシム尚書の処刑が行われ、手首切断のうえ首を切られて死ぬ。

チョンリョル♀
 ウォルリョンの隣室の宮女で中殿づき。自殺を一番初めに見つけ、ウォルリョンのつけていた豪華な玉飾り(王室の紋章いり)をかすめる。ウォルリョンが威張っていたことを不満に思い、取調べでも不遜な態度を見せるが、持っていた玉飾りからウォルリョンの亡霊を見て発狂。玉飾りを飲み込み呼吸困難に。事を荒立てたくない監察尚書によってウォルリョン殺しの犯人にされ、かつ玉飾りをかすめたことで処刑されることに。

チョン尚書
 医女のトップ。メガネをかけたぽたぽた焼きパッケージのおばあちゃん似。チョンリョンの上司で穏健派。チョンリョンの過去(密通、堕胎)を知っている。ウォルリョンの呪いで死に、口から暗号の書いた紙が見つかる。それはウォルヨンの月経日誌(受胎可能日もわかる)。そこでチョンリョンはウォルリョンが張禧嬪の代わりに王子を産んだと気づく(王の妻なら受胎可能日を知る必要があるが、結婚できない宮女には不要だから)。

監察尚書....キム・ソンリョン
 尚書の中でもえらい。ウォルリョンの他殺隠蔽、チョンリョルやシム尚書の処刑などなど、宮女の粛清を指導し冒頭から「貞操の守れない宮女は死刑に処す」とコワイ。総ての宮女に目を光らせている。チョンリョンを捕まえ、「元子冊立に関する陰謀がある、吐きなさい!」と拷問するが、口をわらないチョンリョンを掌を切裂く刑に処してから解放。物語最後まで立場のぐらつかない悪役。「王と妃」(99)廃妃ユン氏役で有名。

パク女官
 少し前に出宮した禧嬪殿の担当医女。みんなが後釜を狙っていたが・・。のち死んでしまい、火葬にされる(この頃の韓国だと普通、土葬)。どうやらウォルリョンの妊娠・出産隠ぺい工作に加担したらしい。

繍房の尚書
 金糸銀糸が倉庫から足りないとのことで、犯人探しに倉庫に灰をまき、オクチンが犯人とツメに針刺し拷問を実行(こわいよー)。さすが繍房ならでは?監察尚書とタメをはろうとするが言い負かされる。
by hungmei | 2009-03-31 08:00 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(1)
Commented by hungmei at 2009-04-01 14:24
はじめ宮女と堤調大監の密通・殺害事件と思われていたのが、実は張禧嬪とその侍女による替え玉出産事件・・というのが骨子。そこにチョンリョンのかつての密通・堕胎、オクチンとの現在の密通が絡み・・と複雑。

堤調大監は宮女の習字の先生らしく、チョンリョルをこましたの授業での過剰なお触り(最悪)。そのときに手習いした詩は以下で、有名な古典なのかな。ちなみにオクチンをこました時もこの詩を使うワンパターン。

「投我以木瓜、報之以瓊、匪報也、永以為好也」で、意味は「カリンの実をなげてくれたので飾りを贈ったが、お返しの意味ではなく、永遠に添い遂げようという意味だった」。

そんな恋愛詩みたいのを密通ご法度の宮女の習字に使うもんなんですかね。ウォルリョンは「私の子なのに」と騒ぎシム尚書に殺され、死後も「私の子が王になる」と怨霊となりチョン尚書や明聖王后を殺し、禧嬪からもらった王家の紋章入り玉飾りをパクったチョンリョルも殺すし、彼女の欲深さが映画の原動力なのか・・・。

あと「丑時です、ご交合下さい」と尚書が声掛けするのも・・。わざわざ寝ていたのを叩き起こしてやらせるんですよ!すごーい。
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