上中巻が書誌的研究や内容についてだったのにたいし、下にあたる第三巻は『紅楼夢』読者論、比較文化・比較文学研究になっています。読者編では江戸時代から現代(!)まで、『紅楼夢』に関わった特に日本人について、詳細に紹介されています。一番驚いたのが
、明治の「女学雑誌』に抜粋で掲載されたシーンが原作の鳳姐とjia端の風月宝鑑の部分だというところ。普通選ぶかそこを?明治時代の女性誌(しかも啓蒙目的でしょ)に!金瓶梅との比較はいわずもがな、私は会話が口語でイキイキとし、食べるシーンがやたらに多く、服飾など等の細かい描写がある小説が好きなので、両方の比較と来ればありがちと言っても楽しめました。
第六部 読者編紅楼夢 画-改[王奇]『紅楼夢 詠』を中心に
『紅楼夢評論』解題
王国維の『紅楼夢評論』と雑誌『教育世界』について-その書誌的覚書-
胡適と古典-旧小説、特に『紅楼夢』の場合を中心とした覚書-
周汝昌教授のプロフィール
概説 世界文学における『紅楼夢』
日本における『紅楼夢』の流行-幕末から現代までの書誌的素描-
丸山浩明著『明清章回小説研究』書後-『紅楼夢』を「線索」端緒として-
第七部 比較文化・比較文学論近世食文化管窺-『金瓶梅』『紅楼夢』を材料として
『紅楼夢』を味読する会からのレポート
同 第二弾
『儒林外史』と『紅楼夢』と-須藤洋一著『儒林外史』の跡に書す
-「一経を治むれば一経を損ふ」『紅楼夢』第七十一回
曲亭馬琴と曹雪芹と-和漢の二大小説家を対比して論ず
附録1997年北京国際紅楼夢学術検討会開幕式上的到詞
21世紀紅学展望 一個外国学者論述《紅楼夢》的翻訳問題(同前研究会上的報告)
《紅楼夢》成書史億説-七十回本存在的可能性
Formation of Chiao-hung chi:Its Change and Dissemination
《嬌紅記》的成書及其変遷和伝播
『嬌紅記』の成立とその演変及び流伝