ショウブラザーズ黄梅調電影『花木蘭』(1963)と演員紹介



 黄梅調電影の女王・凌波の代表作。金漢との共演。古く「木蘭辞」に見られる典故から、ディズニーアニメで有名になった女将軍の物語。岳楓監督、アジア映画祭第12回主演女優賞を獲得。【あらすじ】時の王朝は突厥と戦争を繰り返していたが、花家にも軍書(徴兵礼状)が届く。老父と幼い弟の身代わりに娘の木蘭が男装して従軍、武功を上げ将軍にまで出世する。12年後、潮時と除隊後は実家で女に戻る。そこへかつての同僚たちが行軍の途中立ち寄り、実は木蘭が女であったと知りって驚く。惹かれあっていた木蘭と李将軍はにおい袋と刀剣を交換し、帰還後の結婚を誓う。

・・登場人物・・・・・・・・・・・・
花木蘭.....凌波
 狩が好きな花家の次女。病気の父が徴兵され、弟もまだ幼児のため、男装し従軍する。はじめは男くさい軍隊に辟易するが花大哥より楽観的。「女は戦争しなくていいから楽だよな」と言われたとき「誰が銃後で田畑を維持してるか考えろよ」とキレる。突厥王を捕獲し武功をあげるが、毒矢の治療で服を脱がされそうになり大慌て。実家へ戻った後、李大哥たちが訪れたときの浮かれっぷりはすごかった。

李広.将軍.....金 漢
 木蘭と花大哥が初めに所属した部隊の将軍。木蘭は初めからこの人に気があったみたい。でも大して目立たないから何がなんだか。鈍いみたいでなかなか事態がのみこめないが、「梁祝」の例えを出され、木蘭が余興に女装したのではなく本当に女だとやっと気づく。金漢って顔も覚えにくくてどうもすっと入ってこない。大体、行軍の途中で婚約したので、彼が生きて生還できるかわかんなよな・・。

花明大哥.....朱牧
 木蘭のいとこ、花叔叔の息子。きょうだいともども従軍し、木蘭を助けるお兄さん。「女であることを常に忘れるなよ!」と非常に心配している。この朴訥なお顔は他の黄梅調電影でもみたはず!気になります。花家で一人だけ顔の系統が違いすぎて笑える。

王大哥(王奎)、周大哥、陳大哥、呉大哥....呉は李昆
 戦地に赴くまでの道中であった同僚たち。王奎がリーダー格。周大哥は残した妻が心配で沈み、呉大哥はおちゃらけキャラクター。陳大哥のアクションはすごかった。このバカトリオが映画の清涼剤でした。戦場シーンばっかでつまんないんだもん。

花 母......陳燕燕
 木蘭の母。ショウブラ黄梅調でお母さん(貧乏な階級)といえばこの人で、高宝樹といえば金持ち母さん。木蘭の従軍には反対するが娘の熱意に折れ戦争へ送り出す。

花 父.....楊志卿
 木蘭の父で病床にあるが、徴兵礼状が来てしまう。まんまと木蘭の男装に騙され、なし崩しで戦場へ送り出し、家伝の花槍を木蘭に託す。さすがベテラン、老父演技が泣けます。

花大姐.....?
 花家の長女で木蘭の姉。妹が男装し従軍する作戦に賛成し、両親をかつぐ際には加担する。木蘭が除隊した後は嫁に行ったか姿が見えない。残念。

花木棣....?
 花家の長男で木蘭の幼い弟。木蘭の男装を一発で見抜くが長姉に黙らせられる。彼と老父が木立の下、木蘭を見送る姿は、ベタだけと泣けました。大きくなったらあんまりかわいくない。

花叔叔.....?
 突厥との戦火から逃れ花家へ非難してきた木蘭のおじで花明の父。俳優さんはさっき見た『女巡按』で老執事役で出ていた黄梅調のおなじみさんで、名前が気になる。

元帥....井 淼
 戦地の元帥。花木蘭の武功にこたえ将軍とし除隊を引き止めるが。

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 ショウブラ黄梅調電影DVDの映像特典「細説黄梅調」巻5が入っており、これが後記になります。50年代末~60年代、黄梅調最盛期は香港は不況、かつ中国伝統芸術を尊重する動きがあったこと。文学、美人、歴史伝記など、現在のドラマや映画にも多大な影響を残したことがあげられ、美しいシメに・・でも60年末に香港経済が飛躍し始めてから黄梅調衰退は同時進行(最後の黄梅調電影はシルビア・チャンらの『金玉良縁紅楼夢』(1972)です)。ちなみに黄梅調は全部で40作くらいらしい。全部は無理でも、なるべくたくさん見たい。

・・・演員紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 【井淼】1913年、山東済南人、1933年上海の芸術学校で学び、抗日舞台などを演じた後、1949年台湾で舞台に出て、1963年以降は香港で活躍。ショウブラ在籍の21年間に100部ほどの電影に出演し、第六回金馬最優秀男優賞も獲得しています。1984年以後は引退、89年に台湾でなくなりました。享年76歳。
【陳燕燕】1915年生まれで旗人の子孫らしい。美人女優で20代では四大名旦に数えられ、古装の「悲劇影后」と称され、第八回アジア映画祭で最優秀主演女優賞獲得。60年代にショウブラへ入り、70年には引退、80年代にはドラマへ参加した後に99年亡くなりました。
 【金漢】本名:累仁序、山東人、61年から13年ショウブラに在籍後、一度台湾に行くが翌年には香港へ戻り、自社を創設し黄梅調電影『新紅楼夢』や越劇ふうの『金枝玉葉』を製作。凌波と『花木蘭』でのコンビがヒットし、『新紅楼夢』でもタッグを組む。『金枝玉葉』は大陸版越劇電影『追魚』(1959)の観音役の女優さんが出演し、大陸と台港の交流が伺えます。
 【楊志卿】河北隆平人、話劇出身で1941年映画界入り、47年には上海で俳優をしますが、51年に香港へ移住、ショウブラで100部以上の電影に30年間出演。黄梅調電影は俳優が固定しがちでマンネリな面もあるものの、彼の存在感は独特で名脇役。『倩女幽魂』(59)、『楊貴妃』(60)、『白蛇伝』、『梁祝』(ともに62)、大決門(71)など。
Commented by hungmei at 2008-11-02 22:26
『新紅楼夢』はショウブラでなく金漢の会社のだったんだなーとわかりいました。そしたら今見られるのか?(動画はあるけど)。今までリージョンコードの問題でVCDを選んでいたけど、DVDだと映像特典で演員紹介からトレーラー、黄梅調特集番組までついてくるから、フリーデッキを買った今からはDVDを買おうと思いました。ちょっと高いけど。
Commented by タケ at 2008-11-03 01:09 x
凌波と金漢はこの後結婚しているんですよね。(息子さんは映画監督になりました)

>『金枝玉葉』は大陸版越劇電影『追魚』(1959)の観音役の女優さんが出演し

この『金枝玉葉』は1964年の香港製越劇映画でした。(64年版は夏夢・丁賽君主演、凌波が出演した80年版とおそらく同題材)

Commented by hungmei at 2008-11-03 13:42
よく二人は夫婦と言及されてますね。公私でのパートナーということでしょうか・・。80年代の『金枝玉葉』ってあるんですね。知らなかったです。
by hungmei | 2008-11-02 19:01 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(3)

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by hungmei(黄梅)