黄梅調華やかなりし頃の1966年、スターの李麗華が珍しく男役。聊斎志異の幽霊話を映画化、
詩を介した幽霊と人間の恋物語。同じ原作でやはり幽霊♀と人間♂の恋愛ものといえば、リー・ハンシャン『倩女幽魂』を思い出しますが、そこでは幽霊が成仏するラストに対しこの『連鎖』では蘇生し結婚します。そのせいか展開が微妙。連鎖は霊界と人界を行き来しますが、霊界のシーンが作り物っぽくて怪奇ムード満点。
-------キャスト、あらすじ--------------------------------------------------
落ちぶれた士大夫の娘、連鎖(李菁飾)は唐公子に強引に迫られ父を殺される。拒んだ連鎖は唐公子を殺害、その後井戸に投身し自殺。唐尚書は残された連鎖の妹、連闤(李菁の二役)を養女にする。数年後、連鎖の許婚であった楊干畏(李麗華飾)が、官僚汚職批判のかどで唐府へ逃げ込む。唐尚書は拒むが、連鎖と父が住んでいた庵に滞在を許される。楊はその夜、連鎖の幽霊と出会い恋に落ちる。それを知った意地悪な妹の連闤は庵を焼き払うが、その騒ぎで転倒し頭を打って絶命、その身体へ連鎖の魂が入り込み蘇生。楊とめでたく結ばれ、結婚式のシーンで終幕。
導演:厳俊(楊貴妃でダメ皇帝の俳優さん)、出演:上記ほか楊志卿、井水みっつ、李昆など
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『武松』(1982)はリー・ハンシャン監督作品。「金瓶梅」を元に金蓮の義弟で豪傑の武松が主人公。汪萍(金蓮)、ティ・ロン(武松)、劉永(西門慶)、王婆(王栄)、武大(谷峰)、金馬賞の主演女優、助演男優、服飾賞を受賞。武松の好漢ぶりと兄弟愛を描く内容。ラストは武大の葬式にて金蓮と王婆を、西門慶を酒楼で殺害という復讐に重点を置いた筋書(金蓮は西門府に嫁入りせずすぐ死ぬし、出番もそれほどでもない)。金蓮は哀れな身の上に描かれ
悪女ってほどでもない!ここの武大が健気で良いお兄さんで、離れて暮らさざるを得ない兄弟にちょっと涙。武松が西門を殺すシーンではさすがティ・ロンのカンフーアクション。
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『少女潘金蓮』(1992)は上記と同じ原作、同監督ですがこちらは完全エロ映画。珍しいのは
西門慶の死後から話が始まり、西門府を追われた金蓮が過去を回想する形式。普通は西門慶の死で後ははしょるのに、これはその後の金蓮と義理の息子・陳経済の密通、王婆の息子との私通までカバーされており丁寧。最後は武松に王婆ともども殺され血みどろで『連鎖』よりよっぽど怖い。潘金連(黄美貞)、西門慶(単立文)。西門役は『金瓶風月』(1991)と同じ俳優さん表情がいっちゃってます。上記2作品は北京語ですが、こちらは粤語(広東語)。時代の変遷を感じます。