モノクロ映画で、安徽省黄梅劇団演出。
当時の黄梅戯映画でお馴染み、潘景利が侍女の春香を、熊少雲が小生の王金栄を演じています。30分ほどの短いストーリーで、普通の長さの話の1シーン、1エピソードを膨らませた感じの内容。見ていて「こんなに進まないとなると、もしやこのシーンだけで一つの映画・・?」とジリジリしていたのが、30分で終わったときはびっくり。ドリフのコントを思い出しました。ノリは同じ!会話に出てくる小姐は結局姿を現さず。どうやら明代の傑作「牡丹亭」の折子戯らしく、小姐とは杜麗娘なんでしょうね。昆劇とはだいぶ雰囲気が違うからびっくりしました。
製作年度が入っていませんが、主演の潘・熊は大陸黄梅戯映画黄金期で(※)往年の名スター・厳鳳英と共演しており同時代か。厳主演は名作『天仙配』(1955)、『牛郎织女』 (1964)などありますが、
この二人は1959年『女附馬』で公主と馮少英役。潘景利は黄梅戯の名曲ベストにたくさんあり、映画内「不好不好三不好」など。お気に入りです。
【あらすじ】貧乏書生の王金栄は居候先の家の小姐と密かに恋に落ち、仕官し結婚を許してもらうべく勉強に励んでいます。ついに京都へ受験に行く前日、小姐は腹心の侍女・春香に路銀をあずけ、愛しい公子に渡すよう命じます。
王の書房を舞台に、小姐への誓いを引き出したくて躍起になる春香とどうもよくわからない王の応酬がコミカルに描かれ、一度は春香が書房から追い出されるなど紆余曲折をへて路銀を渡しジ・エンド。
王は小姐を好いてはいますが、春香が「もし出世しても小姐のご恩を忘れないでしょうね!」と詰め寄ると
「その時は二房夫人(=第二夫人)にするから」と受かる前からヤバイです。状元になったら糟糠の恋人を捨てて逆玉乗ったりね。正直なんでしょうが、小姐の将来が私は心配・・。しかし春香のような侍女がいれば、もし結婚が不幸でも何とかなるでしょう。30分を使ってこのへんのやりとりが激しい身体表現とともに描かれます。やっぱりコントだ。
※)台湾・香港でも50-60年代が黄梅調映画のピークでしょうか。そうしたら同時期?
【作中から「先生不必強争嘴」、掛け合いが楽しい曲です】
(春香) 先生不必強嘴争、春香心里明如灯。你与小姐花園会、
可知道隔墻抛土是何人?
(王) 隔墻抛土莫非是你、応該威叫両三声。
(春香) 本当威叫両三声、又恐pa吓壊小姐多情人。
(王) 你没威叫就是假、為何今夜你頼先生。
(春香) 先生咬牙不承認、可敢対天把誓盟!
春香役・潘景利プロフィール(ですが、名前しか載ってません)
王金栄・熊少雲プロフィール、上に同じ・・
電影【女附馬】1959年、潘が公主、熊が主人公のお兄さんでイケメン役
おまけ電影【天仙配】1955年、大陸黄梅戯映画のさきがけ、黄金期の最初?