yesasiaで見つけ、武技に秀でたこの劇団の『木蘭』とくれば・・と購入
。「別伝」とあるだけに、かなり伝統・典型から脱した斬新な舞台でした。衣装、音楽と総て南国風だったりポップだったりアラビアンナイト風だったり、ドラマのドハデな戯曲風衣装といった感じ。踊りも大分に現代風。実験作といった印象です。
【あらすじ】
花木蘭が父の代わりで男装し戦争に赴き、将軍・陸蕭と相愛に。敵の蠕蠕公主も陸蕭を気に入りちょっかりをかけてきます。後からやってきた木蘭のおば・二姑の協力のもと女性と露見した後も三年従軍、木蘭は将軍に出世。しかし
和平のため公主と陸蕭将軍の結婚の勅令が。二姑の励ましで木蘭は皇帝にねじ込み、見事に陸蕭との結婚を勝ち取り、何故か公主と皇帝も結婚。そのまま宴会へなだれ込み、終幕。
最初のクレジットに「浙江小百花越劇団 茅威涛工作室幇助」とあるので、
国家プロジェクトとして次世代越劇の試作に取り組んでいる茅威涛チームと共作に近いのでしょうか。茅威涛は同劇団を代表する『陸游与唐婉』など、今の越劇をリードする女優さん。その工作室で作られた魯迅原作『孔乙己』を演じた際には、弁髪のために頭を丸めたエピソードの持ち主。越劇で弁髪!!92年には始皇帝暗殺を描いた『寒情』日本公演も果たしています。
全体的に賑やかで激しく豪華で、主役級の女優が何人も。この間見た紹興小百花建団20周年に負けない気の入りよう。スター小生の呉鳳英ですが、私が越劇で見るのは旦だけなので、どーもピンと来ない。
ヅカと比較しても、やはり越劇でも悪魔的な魅力で絶大な人気を誇るのは小生が多い気がする・・旦ももちろん人気有りますけど、スター性が違う。なのでそのへんは難しかった。
この間見た同劇団建団20周年番組にも、ラストの『皇帝賜婚』が収められていたのも納得。異色過ぎます。最初は「よくわからないかも・・」と不安でしたが、慣れたらギャハハと笑ってみていました。それ位ギャグ。
主役より脇が面白いし、筋のとっ散らかり具合はコメディなので、戦争はただのダシなのかも。ここまで良い意味で破綻というか、勢いで進むせいか普通より短めの二時間です。
花木蘭/陳飛
演じる陳は国家一級演員、九四中国小百花越劇節金賞受賞。健気で強い、少女漫画のヒロインタイプ。しかし公主や二姑に株を奪われている。戦争の原因がだんだん陸蕭♂争いになっていて、そんなんでいいの?単純、世話好きみたいで陸蕭とはお似合い。
陸瀟/呉鳳花
演じる呉も一級演員で第十三回届中中国戯曲梅花賞受賞。梅花賞は戯曲の中では最高の栄誉、主演三人の中でもトップ。クールな小生役が多く、今回もちょっと得体の知れない感じのエキセントリックな陸蕭役。あまり深く物事を考えていないお調子者。
蠕蠕公主/呉素英
ピンクのダチョウの羽、ヅカを連想する衣装。名前からしてキワモノ。演じる呉は一級演員、全国越劇電視大賞賽最佳演員。敵軍の陸蕭を狙い木蘭と対立、しかし最後は皇帝と結婚。ワガママで女王様タイプ。はじけた演技に最初引きましたが見慣れたら面白い笑。
二姑/潘琴
姪から行かず後家と言われてもどこ吹く風、誘拐された陸蕭を救出したり気がついたら元帥夫人になっていたりと底力は計り知れない。常に2人の仲を取り持つ。今までの戯曲には少ない人間ブルドーザー。公主・陸蕭結婚が決まった後の発奮もまた凄くて影の主役。
皇帝/干偉萍
眉間を白塗りにしているので、丑なのでしょう。終盤のみ登場なのに総て持っていく。そしていきなり公主にモーションをかけ、見事にまとまる。料理が趣味。公主に「油くさい」といわれ皇帝衣装に着替える衣装早代わりと白塗り撤回の技はスゴイ。お笑い担当。
老元帥/茅孟萍
頭の翎子が豪華な陽気な将軍。陸蕭が誘拐された時などこの上なく頼りない。二姑には荷物を持たされたり威厳もない。いつの間にか二姑と夫婦になっていた。皇帝と主従で笑わせてくれるおじいさん。
花父/楼慧琴、花母/何瑾
普通の衣装で、いかにも常識人。この夫婦が浮いてしまうのが『木蘭別伝』の特色。最初と最後に登場、いないと困りますね。
花香蘭/陳ぶん婷、端蘭/董監鴻、金蘭/毛亜萍、玉蘭/項麗英
木蘭の姉妹達。そうそうたる女優さんだが、同じ衣装に同じ動きで個体の識別不可。
経典電影『花木蘭』常香玉主演の白黒映画
【皇帝のお料理シーン】