1906年に越劇がスタートし2006年で百周年、昨年は色々な記念イベントがありました。
全国第二の劇になり、どう維持・発展していくかが課題なんでしょうが、その歴史の中でも爆発的ヒットとなり金字塔的な作品「紅楼夢」。1960年代には徐玉蘭・王文娟のコンビで映画化もされ、若い世代は微妙ですが上海いくと結構通じるんですよね。詳しくなくても「聞いたことある!」と。私も「天上掉下林妹妹」「王煕鳳誉黛」「読西廂」「金玉良縁」など大好きです。
上海大劇院という上海越劇院おひざもとの国有劇場があり、派手な概観から名物となっています。
その杮落としとして90年代に新版紅楼夢が作られ、豪華な舞台を活かした最新の舞台芸術・演出を採用。伝統的な徐進の脚本から変更し、冒頭が「元妃省親」というビジュアル重視の進行だったんですが・・・このソフト、違う。伝統的な「黛玉進府」から始まりベーシック。違う「新版紅楼夢」があるんだろうか。手元にある「元妃省親」から始まる趙志剛(宝玉)・方亜芬(黛玉)の香港公演版はまさにそうなんですけど。
こちらは恐らく公演の録画でなく、初めから撮影用に演じたもののようで編集もあり見やすいです。琴を引く手が別人の差し替えだったり、ちゃんと火が使われていたり。装丁の豪華さ、衣装・舞台の瀟洒なこと、力作なのを実感。キャストもやはり謝晋監督で映画化もされた越劇時代史『舞台姐妹』で主演した
銭惠麗(宝玉)、単仰萍(黛玉)のコンビに始まり、陳穎(薛宝釵)、方亜芬(王煕鳳)、賈母(章海灵)とむちゃくちゃリッチ。でもはっきり言ってミスキャストな気が・・・みなさん演技も唱も特上ですが、外見が全然イメージじゃない。わざわざあえて趣向を変えてみたのかな?張永梅の紫鵑と、黄慧の賈政は良かったけど・・。
賈母は若くておばあさんに見えないし、煕鳳もクセのあるオーラがなく、宝釵はガタイ良すぎ!素敵な女優さんが方だけに、なんでこの配役?個人的に単仰萍の黛玉も大人すぎてぴんときません。前髪がしっくり来ないんだけど・・。しかし戯曲晩会での名演DVDには銭・単版紅楼夢があってので、支持はあるのか。上海大劇院ぽいこの舞台、天井が高くセットは精巧で見ごたえバッチリ。
結婚式や「問紫鵑」の一段は今までよりグレードアップしていて好きです。晴ぶんが目立っていて、宝玉に眉を描いてもらいそれに襲人が怒るシーンとか。にしてもやはり越劇の宝釵と襲人は影が薄いですね・・。紫鵑の扱いがやっぱり大きい。
youtubedeで見つけた唱「天上掉下林妹妹」