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越劇・黄梅戯・紅楼夢 since 2006



邵氏出品・李翰林監督『梁山伯興祝英台』(1962)

この前の『金玉良縁紅楼夢』と同じ、ショウブラザーズでリーハンシャン監督62年香港作品、主演は日本でも『真説チャイニーズ・ゴーストストーリ』のDVDがある楽蒂と凌波。第二回金馬賞の最佳劇情片・最佳導演・最佳女主角・最佳演員特別・最佳音楽、台湾でのヒットは記録的だったそうです。180日連続上映、72万人動員記録、監督の代表作で古典的撮影法を確立した作品。ストーリの進行や唄の歌詞など越劇とほとんど同じ。ちなみに本土でも60年代後半には越劇映画『梁山伯与祝英台』が周恩来の後押しで作られ、海外でも賞賛され映画史に残る記録となっているようです。この映画と内容がほとんど一緒なんですけど、映画として先発はこちらでも舞台としては越劇が先なわけで、どっちが元祖なんだろう。

邵氏出品・李翰林監督『梁山伯興祝英台』(1962)_d0095406_2373396.jpg

『梁祝』と言えば越劇ですが、監督だけにこの作品は黄梅調。そういわれれば、でも戯曲映画の中でもかなり現実に近く戯曲風の仕草は少ないので、激昂した時のみ水袖など急に戯曲の仕草になると正直ちょっと違和感。【あらすじ】名家のお嬢様、祝英台が杭城へ勉強に行きたいと医者に男装して両親を説得し、道中出会った梁山伯と意気投合、兄弟の契りを結びます。3年同じ学校で学び、大親友の2人ですが、ある日英台の実家から帰宅を命じる手紙が。決心した英台は、師母(先生の奥さん)に真実を打ち明けます。

果たして英台の帰郷の日、英台がどんなに謎賭けをして自分が女だと気づかせようとしても鈍感なので全然だめ。英台は妹がいるので、許婚がいなければぜひ結婚してほしいと伝えます。その後学校へ戻った山伯は師母からも真実を知らされ祝家へ向かいますが、既に英台の結婚が決められていました。嫁ぎ相手の馬文才は名うてのプレイボーイ。英台は山伯に別れを告げ、失意の山伯は吐血して亡くなります。婚礼当日、英台は山伯のお墓に向かいます。そして竜巻が起こって山伯の墓の中に英台は飲み込まれ、後から二匹の蝶が天上へと昇っていきます。



邵氏出品・李翰林監督『梁山伯興祝英台』(1962)_d0095406_13374481.jpg東晋時代から杭州に伝わる民話をもとに、様々な戯曲や映画になった話ですが、少女漫画の王道みたいですねー。でも面白いです。悲劇嫌いだけど、ハズレがないし。途中、鴛鴦やら鯉やらあらゆる故事をふんで自分が女だと気づかせようとする英台が健気で・・(そして気づかない山伯もすごい・笑)。この映画では珍しく祝母が優しくて、帰郷後に英台から全て梁兄の事を聞いていたらしい。その割に縁談に協力してくれるわけじゃないけど。

この映画でよかったのは、英台の侍女の銀心と山伯の下男の四九もラブラブだった事かな・・。普通、主人同士が恋に落ちるぶん、従者同士も良い雰囲気だったりするんだけど。主従でカップルって楽しそうであこがれるんですが、現実そーもいかないか。京劇では『柳蔭記』とも言うのですが、作中、柳の木下で兄弟の契りを結ぶところからきているようで、この映画にもそのシーンがありました。そのとき、銀心と四九も一緒に誓い合っていてホント可愛いです。山伯も正直そんな可愛くないんだけど(他の映画では美人の女優さんですが、ここではメイクがちょっと?)なーんか天然っぽさがよく出ていて、憎めないですねえ。でも彼女がこの作品で大ブレークし、楽蒂の自殺の引き金になったとか。

邵氏出品・李翰林監督『梁山伯興祝英台』(1962)_d0095406_13372622.jpg梁家では1人息子が恋煩いで死んでしまって踏んだりけったりですね。山伯の家は父が既に亡いので、残されたお母さんはシャレになりません。ぜんっぜん期待してみてなかったんですがこの映画はなかなか良かった。英台を演じた楽蒂(ベティ・ロー)がお気に入りなんですが、30年も前に自殺して亡くなっており、ちょっとしんみり。梁祝はそれこそ94年にも香港映画があるし、最近も連続ドラマであったりアニメまであるので、またアップしてみたいです。香港版はニッキーウーやチャーリーヤンが主演し、伝統から脱して男性が梁兄だしかなり現実的で趣が違います。これもなかなか面白い。比べ始めるとキリがないですが、楽しいですねーって、独断ですが。

ベティ・ロー/楽蒂プロフィール※中文
銀心役・任潔プロフィール
『梁山伯と祝英台』作品紹介


by hungmei | 2007-03-13 23:32 | 1越劇、黄梅戯、地方劇 | Comments(1)
Commented by hungmei at 2008-07-04 21:55
背景が絵(野山を描いた「十八相送」など、本物の芝生を取ってきて室内で育て、枯らさないよう水遣りしたそうです)なのが、レトロさ満点。絵心のあるリーハンシャン監督ならではらしい。ショウブラ時代劇の背景は映画賞を獲得。
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