洋画『ふるえて眠れ』(1964)

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    1962年の怪作サイコスリラー『何がジェーンに起こったか?』のベティデイビスとアルドリッチ監督が再び組み、相手役は前作と同様ジョーンクロフォードのはずが、デイビスとの不仲が爆発して降板。そのため『風とともに去りぬ』などのオリビデハビランドが役を引き継いでいます。余談ですがハビランド氏、映画では真っ先に死んでしまいますが、風と共に去りぬキャストでご存命なのはおひとりなんでは?ご長寿!それから邦題が残念でスパイものみたい。原題は子守歌の歌詞で「おねむり、シャーロット」みたいな感じかな。速攻殺される主人公の恋人役にブルースダーンです。

 【あらすじ】
 1920年代、ルイジアナ州。典型的な南部富豪の娘、シャーロットホラスが主人公。社交界の華でもある彼女は密かに既婚者のジョンと恋に落ち、駆け落ちしようとする。しかし支配的な父親はジョンにクギを差し別れさせようとする。ホラス邸での盛大なパーティで、ジョンは別れを切り出し、シャーロットは絶望。そしてその夜、ジョンがホラス邸の納屋で首と手首を切り落とされ殺害される。人々はシャーロットの犯行と噂するが、証拠不十分で不起訴に。町では父親がもみ消したともっぱらの噂だった。

 34年の月日が流れ、時代は1960年代。シャーロットは自分がジョンを殺したのではという不安と恐怖、また父に死なれるなど心労から、やたらに銃をぶっぱなし少女趣味のドレスにお下げの老女になっている。側には老メイドのベルマ、幼なじみかつ主治医のハリーのみ。しかも屋敷のある土地が区画整理となり立ち退きを再三要求されるも、頑なに屋敷へ留まる彼女の癇癪や感情の大きな起伏、夜の徘徊などは、明らかな異常さをうかがわせた。

 資産はあるもののかつては偉容を誇った豪邸も主人の様子を反映してか荒れ放題、シャーロットの奇行や異様な見た目もあって、近所では鼻つまみもの。しかも少年たちの肝試しに使われるなど、かつての名家は完全に落ちぶれていた。シャーロットは外国にいる従姉妹のミリアムに手紙を書き、なんとか立ち退きせず済むよう助けてくれないか頼む。それに応えて30年ぶりにミリアムが屋敷にやってくるのだが、、、、。




【総評】
 俳優陣がめちゃくちゃ豪華。南部の豪邸も、日本ではなじみがありませんが、アメリカのディズニーランドでホーンテッドマンションは南部式豪邸だそうですし、なるほどこういうイメージなんだな、と楽しめます。ロビーのらせん階段がキーポイントなのはいわずもがな。そしてハビランドもさすが大女優、途中の豹変ぶりはキャーーー!人間って怖い!と迫力十分です。大穴がベルマで、髪の毛なんかクシが通らなさそうなきったなーいメイドなんですが、実は『奥様は魔女』でサマンサ母を演じていたアグネスムーアヘッド。顔が違う!と女優魂を見せつけられました。

 【結末】
 シャーロットはミリアムに立ち退き撤回交渉を頼むが、理知的なミリアムは逆に快適な住まいに移ろうと説得する。シャーロットの屋敷への妄執はすさまじく、次第に追いつめられジョンの幻影を見るようになり容態は悪化。ハリーとミリアムはシャーロットを精神病院に入れようとするが、実はこの二人こそ事件の黒幕。ミリアムはジョン殺しがその妻であることを目撃し脅迫、シャーロットとジョンの仲を父に告げ口したのも彼女。今はかつての恋人ハリーと組んで芝居を打ちシャーロットを追いつめ、ホラス家の財産を乗っ取ろうとしていた。

 というわけで、今回はデイビス演じるシャーロットは可哀想な被害者。しかも強権的な父親やら恋人を失うショックなど、歪むのもむべなるかな。黒幕ミリアムは成功の祝杯中に、それを立ち聞きしたシャーロットから頭上に大きな植木鉢を落されハリーともども絶命。ちまたではシャーロットはまた不起訴になるだろう、と屋敷から立ち退く際のシャーロットは怪物扱い。ここにロンドンから来た調査人、オーストラリア人俳優セシルケラウェイのおじいちゃん演技が光るのですが、いまいち活躍し切れていない印象。

  ジョン未亡人に気にいられ事件の真相を記した手紙を託され、シャーロットもまた老紳士を気に入りまともに話をする様子をみせていたのに、、、ラストはその手紙を公表はせず、調査人老紳士がシャーロットへ手渡し笑顔でお別れ。て、すっきりせえへんやん!とつっこんでしまいました。それとガラは悪いけど意外にお嬢様思いのベルマが、シャーロットを助けようとして失敗しミリアムに突き落とされ死ぬのが、、お約束のロビーの大階段からの転落。誰かそうなるとは思ったが、かわいそう。

  ちょっと『悪魔のような女』も思い出す内容でした。煮え切らないラストのためみた直後はキー!!となったものの、表情の豹変ぶりが本気で怖いハビランドのミリアム、外見の怖さでは抜群のベティデイビスのシャーロット、かつ派手でびっくりする仕掛けも増えてまた別の楽しさ。そしてこの時代で手首頭なし殺人を出してくるとはさすがアルドリッチ監督!よく放映できたな。残念なのは話しは面白いけどシーンの割り当てがちょっと?かも。みたいシーンが短くいらないシーンが長いとか。前回と違い犯人あて要素があるぶん、どっちつかずにぶれたか。

by hungmei | 2017-09-01 04:52 | 5雑感など | Comments(0)

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by hungmei(黄梅)