テレビ映画「雲のように風のように」(1989)

d0095406_14152565.jpg      かつて日本テレビにて放送された、隠れ名作と名高い擬古中国風後宮悲恋アニメ。ジブリにも見えるがスタジオぴえろ作品で、第一回ファンタジーノベル大賞の酒井賢一「後宮小説」が原作。幼少期にこのアニメを見ましたが、その強烈な印象は20年以上たった今もよく覚えています。2002年にDVD発売、今回はアニメコミックで読みました。【あらすじ】腹英34(1607)年、素乾国の第17代皇帝が崩御。新皇帝の即位にともない后妃選抜が行われ、天真爛漫な銀河は条件の良さに惹かれ宮女募集に応募する。後宮に入り相部屋で仲間たちとお后候補の教育を受けるが、外では反乱軍が首都を目指して進軍し、素乾国は存亡の危機にたたされていた。



     当時から、「擬古風だけど中国史にこういう王朝も皇帝もいなかったよな」と思ったのですが、改めて読むと、本当大うそ。うまくまとめてあるし、原作を削って2時間の枠に収めたアニメ化の手腕は出色。後宮の仕組みとか面白いんだけれど、史書に擬した文体や子宮押しの房中術が賛否あるみたいで、原作を読むか迷います。架空なら西暦は使わずもっと独自の暦くらいでいいんだけど、「1607年」てめちゃめちゃ過去にあるじゃん!皇帝だけど黄色い服じゃないし、皇后も白いし、「正妃」が正妻、第二夫人は「后妃」だし・・・。それから宦官に髭がある。キセルをふかす女性がたくさん出るのは、映画の西太后などの影響でしょうか。後宮だけが国家の存亡かよとか思うけど、尺からしたら妥当か。これらを何回にもわたって繰り広げる時代劇を普段見ているので、いろいろ気になって仕方ないです。

独断と偏見による登場人物紹介↓

銀河/銀正妃(声:佐野量子)
田舎出身の父子家庭育ち。「山猿」と評される元気な少女。口のきき方はなっていないが、それを気にさせない魅力にあふれている。三食昼寝つきに惹かれて宮女に応募し正妻の座を射止めるが、肝心のお国が滅びてしまい、たった一度の交接でもうけた息子がのちのち新王朝を興すらしい。キャラクターデザインが魔女宅の人なので、見た目がかなりジブリ。反乱軍が首都を襲い王宮に侵攻してくると、武器庫の火器を遣ってそれに応戦、後宮軍を統率する。その結果、後宮の人員はすべて解放され、銀河たちは故郷に帰った。いいキャラクターだし衣装が清朝風(ディティールは違うけどぱっと見のバランスが旗服シルエット)なので嬉しいんだけど、あの場合コリューンに銃を渡したら誰でも自殺すると思うので、短慮としか。それか狙っているとしか。

双槐樹/コリューン(声:市川笑也)
銀河が後宮ではじめてであった謎の人。その実、現皇帝であり、正妃となった銀河の夫。見た目が繊細な美男子で姉にそっくり、歌舞伎の女形声なので、銀河は最初女だと勘違いした。目の上のアイシャドーが妖しい。義母の皇太后に命は狙われるし、外では反乱は起きるしで、かわいそうとしかいいようのない辛い立場。皇太后から逃げ後宮に身を隠していたが、反乱軍が王宮に進軍するにあたり、最後の皇帝として殉じる覚悟を決める。自らの命と引き換えに後宮解放を要求、厩舎に軟禁されるが、そこで銃により自殺する。

玉遙樹/タミューン
後宮でのルームメイト、その実はコリューンの実姉。顔がそっくりなので、もしかしたら同母姉?皇太后に狙われる弟を案じて、後宮に変装して入り込む。武技にたけ後宮軍でも白兵戦で活躍するが、戦死。原作では反乱軍に凌辱されたうえ自害するらしい。それはヤダな・・。しかし変装しなくても、皇女なら後宮にいてふつうじゃないのか?原作を読まないとよくわからない。本当はコリューンが好きらしい。近親相姦。

紅葉
銀河の後宮でのルームメイト、のち才人。少数民族で辺境の出身、よくキセルをふかしている。子ども心に、「私の故郷では戸をあけてもらえないときは中に入れないことになっている」と、自分から戸を開けない姿は印象に残っていました。雲南省あたりか、もしくは中央アジアを意識したのか、衣冠もそれっぽい。後宮軍では軍師なのか大砲の指揮をしていた。原作の後日談では銀河とコリューンの子・黒曜樹の養育をする。

セト・カクート先生
高名な学者で后候補たちの教育にあたる。哲学者らしい。漢字は瀬戸角人だったかな?男女の違いなど、健康な子を産むための講義をいろいろしてくれる。原作では彼の房中術がまたひとつの面白さだそうですが、膣を暗喩する長いトンネル、後宮を子宮に模し、月に一度の失格者追放は排卵の暗喩と聞くと、原作を読む気が萎える。コリューンに協力し、信頼できると銀河を正妃に推した。

琴皇太后
前皇太后を毒殺した噂のある、コリューンの継母。実子である弟皇子を皇位につけようと、コリューン暗殺を狙っている。亡国の見本のように内外から崩壊する帝国と共に、毒で自害した。内輪もめしてる場合じゃないだろーと、後から見たらわからんですけどね・・・。「琴」は徽号なのか名前なのかいちいち気になる!赤い服にその金冠は、明らかに明朝風。銀河とちょっと違う。息子の服はまんま清朝宮廷風。

菊凶
セト・カクート先生の助手。美男子で后候補に大人気。しかし皇太后と通じ、皇帝暗殺や反乱軍との調停をおこなったうえ、アニメでは反乱軍に斬首されて死ぬ。原作ではバイセクシャルで怪しげな魅力があるそうが、アニメでは吹き替えが完全オネエの道化役で、この人の声だけ特徴的でよく覚えています。


世沙明/セシャーミン
銀河の後宮でのルームメイト、のち嬪妃となる。貴族出身を鼻にかけ、部屋の鏡台を独り占めするわかりやすい憎まれ役。服装は漢族っぽい。しかしお約束に意外にいいやつ。後宮軍のスナイパーもどき。「嬪」が徽号で妃が位階なのか、嬪妃という位階なのか、地味に気になる。


混沌、平勝
義侠団のメンバーで、お互い義兄弟。混沌は読書家で軍師、平勝は単細胞の将軍。反乱軍を率いて都にやってきた。混沌はアニメでもいい味だしているけれど、原作だともっと面白いみたい。混沌は潮時と銀河たちとともに都を後にするが、平勝は3年皇位についたのち廃位、刑死する。

真野、亥野
宦官。真野は銀河を后候補として推薦し、銀河を高位に就け自分も出世するのを夢見ている。亥野は銀河の後宮でのお世話係。構成上の問題か、亥野の影は薄い。宦官なのに髭あり、裾が足りず足首が見えるのは見苦しくていただけない。後宮軍のお手伝いをする姿は涙もの。
by hungmei | 2014-03-11 14:13 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(0)

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by hungmei(黄梅)