神坂智子「シルクロードシリーズ」(1981〜1990)

    最近エマの作者が近いテーマの漫画を描かれているそうですが、西・中央アジアを漫画で描くことでは神坂智子さんの右にでる作家はいないのでは、と思います。私は小学生時代に神坂先生の「蒼のマハラジャ」を角川ASUKAで読んで感銘を受け、次に「T・E・ロレンス」でさらにかぶれ、進路をアラビア語選択にしようとしたり影響を受けました。小学生時代からずっと好きでいられる漫画家さんがいるなんて幸せ。ただチベット仏教や密教やイスラム教やの難しい協議は敷居が高く、そのため先生の代表作シルクロードシリーズは未見でしたが、ホーム社から出ている漫画文庫版で初めて読んでみました。


   このシリーズは白泉社の花とゆめやEPOを経て角川書店の歴史ロマンDXに連載された一連の作品で、様々な主人公たちとともに、遊牧民を守護する10人の金髪碧眼の神人が出てくるファンタジーありSFありの漫画。舞台はシルクロードだけに西アジア、中央アジア、今の中国が多く、漢族も登場。繭を西方に伝えた姫君の話や、漢の武帝の天馬狩り、近いところでは清の乾隆帝の香妃のエピソードもあります。シルクロード関連文献で目にした話はだいたい取り上げられているように思いますし、80年代から西・中央・東アジアを実際に旅行された先生の視点は見ていて飽きません。おまけの旅行記もとても楽しい。



    上記のように神坂先生のファンであり作品の良さは痛感しつつ、ブログ記事で言及したいのは、描写の違和感。基本的に今の中国の話では服装や髪型が違っていて変だ。パっと見ても何か違う!そして香妃の話での皇帝は臣下の朝服を着ているし、満州族の女性の髪型も衣装もかなり違う。旗装(満州族の服装)で、女性の足元は漢族の裳なんかとは構造的に違うはずですが、作中の皇太后さまは着物の裾がヘンだ。これは、OKなのか…あくまで歴史に取材したファンタジーてことならいいのかな?香妃も読みが「こうき」で個人名のように出てくるので、史実を題材にしただけですよ、ということか。建物も中国というより和風です。


「金の髪金の繭」:繭を持ち出す漢族女性の話(ホーム社漫画文庫シルクロードシリーズ第三巻)。
「ペキンネス50万年」:北京原人の発見とそれにまつわる人類の起源を描くSF(同四巻)。
「カシュガル緑の王宮」:皇太后が香妃に賜死した話(同四巻)。
「白い神々の話」:漢武帝による天馬狩りの話(同四巻)。
「赤い山白い神」:西域を監督する役人・湘雲とその夫人・連春の話(同五巻)。
「百合の咲く谷」:青いユリを巡る宗水春の奮闘の話(同五巻)。
「マルゥの空ツヴィは砂色」:西に送られた恋人を探す漢族男性が登場(同六巻)。

他に、沙漠の民、遊牧民のベドウィンと都市民の縁談を巡るドタバタ話「駱駝のイブン・サウド」(同七巻)や、イスラム神学校を舞台に神学論議がテーマの「綿の城」(四巻)など、こんな漫画あったんだなあ、と嬉しいです。藤田あつ子先生の清朝ものといい、角川歴史ロマンDXは本当に大好きでした。復刊・・しないかなー。
Commented by アザハ at 2017-06-30 00:34 x
ご紹介をありがとうございました!森薫先生の乙嫁語りにはまっていて、シルクロードについての漫画は他にないでしょうと思ったが、勘違いしてしまいました。ご紹介で神坂智子先生のシルクロードシリーズやローレンスの漫画を買う自信があって、楽しみです!ちなみに、結局アラビア語の進路にしましたか~
Commented by hungmei at 2017-07-04 17:02
アザハさま

コメントありがとうございます!また返信送れまして申し訳ありません。進路ではないですが、学部生時代は第二外国語をアラビア語にし、二年学びました!でも挫折しました(爆)先生がインド人の方や日本人でアラビア書道をされている方で、楽しかったのは覚えています!挫折しましたが(しつこい)。同窓生の何人かはアラビア語通訳や外交関係やらなんやらに進み見事にアラビア語をいかしております!

私は、、文字はギリで何とか識別できるのがラッキーかな?モスク内のカリグラフィーは、どうみても字じゃん!書道じゃん!字をモチーフにした模様じゃん!と思いますが、アラビア語をやらない友人と行くと、字にも見えないそうです。確かにカリグラフィーではありますが、字に見えます!(笑)
by hungmei | 2014-01-08 21:05 | 5雑感など | Comments(2)

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by hungmei(黄梅)
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