鈴木博訳、原書房。今まで読んだ一般向けの纏足関連書では一番詳しかったです。写真や絵も豊富。冒頭、纏足の起源をめぐる諸説から、各地の纏足の傾向や有無を詳細に記載。個人的には、「なぜ纏足をしたのか」という考察部分が面白かったです。金瓶梅や漢詩を読むにつけ、現代に生きる自分からしたらどこがいいのかわからない・・・。価値観は時代により変化すると痛感。具体的な纏足の仕方については、「腐れば腐るほどよい」らしく、完成後に小さく美しく整えられるため、虫にかませたり陶器の破片を踏んだりするらしい。おいおい大丈夫かと思ったら、やはりこれで死んでしまうこともあったらしく、読みながら泣けてきました。
また芝居の女形や健康に育つという俗信のため、男子で纏足をしたものや、満州族でもプチ纏足のような縛り方があって小さい足を愛でていたことが書かれており、感嘆することしきり。インドで美形でも色白でないと美人カウントされないように、特に纏足の激しかった明清では纏足でないと顔が美人でもブサイクよばわりされたらしい(「半分美人」という)。清の康熙帝までは纏足を禁止しても歯止めがかからず、漢族の女子には許され、なんと乾隆帝や大臣のオーバイは纏足マニアだったとか。サイテー(笑)必ずミョウバンを振り掛けて洗うとあったのですが、消毒になるのだろうか?貴婦人なら毎日か二日後と、農婦なら一か月ごとくらいに洗ったそうで、タコをとったり膿を出して血を洗い流したりと、既に猟奇の世界。高名な文人の陶潜、蘇東坡、李漁、唐伯虎、みんな纏足を讃える詩を書いていて、私の中で彼らの株はだだ下がりです(ファンの方すみません)。袁牧も気持ち悪い。清代の小説「鏡花縁」という風刺小説で、男性が女児国に紛れ込み纏足、耳輪の穴をあけられ泣き叫ぶという話があるのですが、ぜひ実行してほしい。