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電視劇「太平公主秘史」(2012)

電視劇「太平公主秘史」(2012)_d0095406_21275690.jpg 邦題「二人の王女」。鄭爽、張翰、藍燕、李湘、林妙可、袁弘、兪小凡、劉雨欣ら出演。李翰韜監督、全45話。李監督は香港の有名監督。台湾の名女優アリッサ・チアが出色。唐代、則天武后の娘で有名な太平公主とその同母姉の物語。【あらすじ】昭娘は安定公主の乳母で、武氏が王皇后を陥れる計画を漏れ聞いてしまう。それは生まれたばかりの安定公主を殺し、王皇后に冤罪を着せる計画だった。昭娘は幼い公主を救うため宮殿から逃走し大漠に落ち延びる。成人した安定公主は突厥の王子・阿羯那思慕と相愛になるが、出生の秘密を知ったのちは復讐のため突厥を去り唐に向かう。そして同母妹の太平公主と秘密裏に入れ替わるが・・・。



BSジャパンで視聴していましたが途中でDVD買ってしまいました。しかし入れ替わりはあっさりだし、復讐のためのはずがとんだ腑抜け展開。最初は何不自由なく育つ太平公主と、苦労して民間で育つ安公主の対比が見ものでしたが。「美人天下」でも太平公主が主人公でしたが、それよりは面白かった。子役スターの林妙可の安公主が人気みたい。太平公主もので李少紅監督の「大明宮詞」もありますが、こちらは愛憎劇らしい。将来の韋后こと韋蓮児のほかに、韋「団児」という宮女が活躍するのが珍しい。

太平公主の女優交替を含め年齢設定にやや無理があります。フィクション多めの45話構成で、36話で武則天が自発的に退位、のちの玄宗・李隆基が実は武則天に皇位継承指名されているという設定。フュージョン時代劇のため史実を知らない方が理解しやすいかも。見ていると、人望もあるし太平(に扮した安定)が第二の女帝になってもいいのにと思い制作側の思うつぼ。大陸版で最後まで見てみましたが、太平に扮した安定公主は身を隠して出家。本来の太平は子宝にも恵まれ夫婦円満、切ないです。

【登場人物】
安定公主/太平公主(二役)...林妙可(幼年)、鄭爽(青年)、賈静雯(中年)
唐皇帝・高宗と武則天の娘たちで、姉が安定、妹が太平。長女は母の陰謀により殺されるところ、乳母の昭娘に突厥に逃がされ育つが、出生の秘密を知り復讐を決意。恋人の阿羯那思慕を振り切り唐へ向かい、同母妹で宮廷で育つ太平公主に接近、秘密裏に入れ替わる。その後、太平公主は阿羯那思慕と結婚、大可汗夫人となり子女をもうけ幸せに暮らす。太平公主に扮した安定公主は、優れた才覚から政治的に参与し確実な地位を築く。武后が皇位継承者選択を彼女に一任する勅書を持っており、韋后や上官婉児らと対立。太平公主はずっとワガママ娘で安定公主は善人で貧乏くじ。ただ武則天に接近したら復讐どころかお母様を尊敬しだすのが理解不能。辛い辛い言いつつ政治に参与するのは、皇族の男性陣がアホなせいか実はやる気まんまんなのか。周囲も李隆基も、そのうち太平公主(に扮した安定公主)こそ皇帝になるべきだと言い出すが、本人は女帝になりたくない。鄭爽と賈静雯のビジュアルが素晴らしいし、日本語吹き替えの中年安定/太平公主は素敵です。賈静雯は「至尊紅顔」(03)で武則天を演じていますが、濃いお顔が唐のファッションによく似合う。

韋蓮児/韋皇后.....蔣林静
中宗の継妃で、武則天に憧れ自らも女帝になることを夢見る。苦しい時代に忠義を尽くし重祚した中宗に強気。息子がいたものの武則天に殺されており、娘の安楽公主を皇太女にして次代にも権力を掌握しようと躍起。武三思との密通が露見してからは中宗から遠ざけられるが、ますますやりたい放題に。掉太子・李重俊のクーデターで武三思が殺されてからはさらにエスカレート、ついに中宗を毒殺。勅書を偽造して皇位に就こうとして誅殺される、欲が深い割につめの甘いうっかりさん。そもそも中宗が1か月で廃位されたのも、彼女と韋一族を重用して武則天の怒りを買ったため。最期は娘より潔かった。演じる女優さんは「武則天秘史」王皇后役で鋭い目つきが素敵。登場作品は 明末風雲II(2012)、「旗袍旗袍」(2011)、「紅日」(2008)など。2000年には越劇「酔公主」に呉鳳花らと共演、浙江芸術学院出身の越劇女優さんで古装がはまるのはさすが。えらがはっていて高く結い上げた髪型が似合う。

武后/武則天...李湘(中老年)、劉雨欣(青年)
太宗の側室だったが、反則技を使って義理の息子たる高宗の側室へ、さらに皇后になり、安定公主、中宗、睿宗、太平公主を産む。夫の生前から政治に参与し、彼の死後は息子たちを廃位し自らが史上初の女帝に。このドラマではなぜか一向に老けず、突厥に嫁いだ太平公主の夢を見ながら亡くなる。中老年期の女優さんは中年安定/太平公主の賈静雯より年下なので母娘設定はどうかな。旧中国のエロ小説では若い愛人から精気を吸って若い外見を保っていたといいますけど・・。何でもお見通しで、このドラマではなぜか悪辣なことをしても許され、母上は正しい!とカリスマ性を発揮。吹き替えがヘン。


上官婉児
武后の政敵・上官儀の孫娘。実家が誅され官婢となるも、聡明さをかわれて武則天に仕える。唐代を代表する詩人。中宗の側室となるも睿宗と通じ、中宗が毒殺されたのちは睿宗と組んで勅書を偽造し皇后にのぼり、政権簒奪を謀るものの、太平公主に敗れ自害。男装して勅書をしたためる文官ぶりはいつも通り。うりざね顔が時代劇にぴったりですが、スレンダー体型が唐ファッションにそぐわない。前漢の上官皇后といいなんだか不幸なイメージ。映像化作品では大体、武則天の産んだ四人の皇子のうちどれかと私通している。中宗側室なのは史実ですが、ドラマとは違い睿宗皇后にはなっていない。

唐4,6代皇帝・中宗
高宗と武則天の第三子。高宗の死後帝位につくものの、武則天の怒りをかいすぐ廃位。あまり積極性がなく韋后の言いなりの姿はまさしく父親似。弟が皇太子となりすっかり日陰の身だったが、武則天が死ぬ間際に退位し重祚して再び皇帝になる。しかし韋后と武三思の台頭を抑えられず、皇太女になりたがる安楽公主にも手を焼き、皇太子問題で苦悩。そのうち体調を崩しがちになり、帝位を狙う韋后と安楽によって毒殺される。重祚してからトラブル続きなのに、上官婉児を側室にして喜ぶ姿が父そっくり。

唐5,7代皇帝・睿宗
高宗と武則天の第四子。上の兄たちが次々に失脚、母に殺される中、中宗の廃位をして突如日の当たる場所に。次代・睿宗として即位するものの武則天の傀儡で宮廷の一室に幽閉され、武則天が女帝として即位する際には退位させられ皇太子になる。息子の李隆基にたきつけられても母への服従を貫き息子や側室を処刑するが、上官婉児との密通だけは自発的。兄の中宗が毒殺されたあとは自らも重祚し復位、婉児を皇后にたて武則天の勅書を持つ太平公主を殺そうとするが、敗れてたのち太上皇帝となり隠居。

唐3代皇帝・高宗
太宗の第九子で、凡庸だがおとなしさをかわれ即位。武則天の夫で、安定公主、中宗、睿宗、太平公主らの父。王皇后、簫淑妃らを武氏の讒言により処罰、武氏を皇后としてからはもう彼女の暴走を止められずぐだぐだに。武氏は父・太宗の側室だったので、無能な割に女性問題で大胆なのは息子たちに受け継がれた様子。

阿羯那思慕....袁弘
突厥の王子でのち大可汗に。昭娘と安定公主を保護し安定公主と恋仲になるが、安定は復讐に生きる決意をし仲は決裂、入れ替わった太平公主と結婚。安定公主が吐蕃に嫁ぐことになると、意に沿わぬのを強制するなと援軍派遣など何かと助けてくれる。吹替では原語音写か「アジェナ・スム」、日本語読みしたら「あしな・しぼ」か。

李隆基/唐8代皇帝・玄宗
睿宗の第三子で生母は徳妃だが、母は劉妃とともに武則天に冤罪で処刑されている。皇位継承者として有力視され、韋后や上官婉児、はては父の睿宗とも対立。はじめ安定公主を女帝に推戴しようとし、実父の睿宗のことは完全に見放している。従兄弟の李重俊のクーデターが失敗したことを悼み、自身の決起は確実になすと決心を新たに。最後、父・睿宗と上官婉児を廃し皇帝となるが、補佐を求めた太平公主は出奔した後だった。史実では即位後に軋轢が起こって玄宗が太平公主を誅殺したので、ドラマではだいぶ美化している。態度がデカイのは王者の風格か。治世前半は名君だしこのドラマでも度々おいしいところを持って行きますが、晩年は楊貴妃におぼれてあーなってこーなってと思うと・・・。

安楽公主
中宗と韋后の娘で、武氏に嫁ぐ。皇太女となり女帝を目指す野心家で、「皇后の産んだ子が皇帝になるべき!」と側室の産んだ皇子たちを足蹴にする。自分の主張を怒鳴り散らすしか能がなないが本人は全く気にしていない。母とともに中宗を毒殺するが、発覚し賜死。その往生際の悪さは一品。韋后より腹立たしいのは、実力も努力も全く伴わないからか。

昭娘....兪小凡、高欣....?
武后の侍女で、彼女の第一子・安定公主の乳母となるが、武后の思案を察知し公主を連れて宮廷から逃走する、嬰児を見捨てておけない善人。阿羯那思慕の好意で突厥の地に墓がある。高欣は都の役人であったが昭娘を慕い突厥にまで付き添い生を全うした。安定公主は二人の合葬墓に詣でて出家する。

高蘭♂、おうぜん♀夫妻
高蘭は公主から「兄」と呼ばれますが、血縁はない様子なので、おそらく昭娘の息子夫婦?妻のおうぜん(漢字忘れ)は完全に使用人の様子。夫婦で安定公主に忠実に使え、吐蕃にも同行しようとする。息子が二人いる。最後、高蘭は安定公主を守り殉死。涙。都にはおうぜんだけが残されますが、功労から優遇されて余生を幸せに生きてほしい。


崔貴妃/崔良娣
中宗の側室で掉太子・李重俊の生母。息子が謀反を起こしたため罪に問われる。中宗が死を免じようとしたものの、処理を一任された韋后によりすでに縊死させられた後だった。死に際「皇后様の愛人を殺し、李家の禍根をたった息子は聡明です」と捨て台詞を残して韋后を悔しがらせるところがカッコイイ。

掉太子・李重俊
中宗の息子で、生母は崔貴妃。韋后と武三思が政権を壟断しているのを憂い、また安楽公主が皇位継承者の座を狙うことに危機感を覚え挙兵。武三思は除いたものの韋后や上官婉児、安楽公主は逃がしてしまい、内部の反逆により殺され、韋后によってその首が武三思の霊前に供えられる。ここは史実ですがさすがにかわいそう。

武三思
武則天の甥。息子が安楽公主と結婚し、姻戚となる。そのうえ韋皇后と密通、中宗に露見してからも関係を続け政権を壟断、掉太子・李重俊のクーデターにより殺される。このドラマでは三田村邦彦似。

韋団児
宮女で、大臣たちと組み中宗や睿宗の廃立に参与。途中、誅殺されてしまう。実在。

張兄弟
武則天の男妾。ドラマで美青年だったためしがないが、ここでも微妙。

 
by hungmei | 2013-05-26 14:40 | 2中韓古装電影・電視劇 | Comments(0)
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