しばらく韓国時代劇から離れていたら、朝鮮王朝実録改訂版は出ているし、関連書籍も百花繚乱。中国時代劇の日本語版DVD宣伝文に「張禧嬪のような」「善徳女王に似た」等、唐突なたとえが出てきていて、びっくり(^_^;)わかりやすいんだろうなあ、とは思います。この本はわりと堅く真面目、王妃列伝形式で、分厚さや頑丈さはピカイチ。私は仁祖継妃の荘烈王后さまの服喪論争に興味があったので、ほかの本より詳しくて楽しく読みました。正史ぽくお堅い本。それにしても、同時期の明清と比べ、朝鮮王朝500年はさすが長いですね!清も300年続きましたが。
仁祖の長男排斥や、世子嬪殺しは控えめな記述。朝鮮王朝、継妃選びで王が老齢でも新王妃は初婚処女って、正嫡の正当性を高めるためにしても無理が。仁穆王后(宣祖継妃)、荘烈王后(仁祖継妃)、貞純王后(英祖継妃)、子宝に恵まれたのは仁穆のみ、かつそれで正嫡が正されたかというと光海君失脚に仁祖反正。張禧嬪の前例をもとに側室から正室になおすのを禁止したのも、仕組みの問題よりか、禧嬪の気質や当時の政治状況のような気もします(言い過ぎ?)。
三田渡で清ホンタイジに屈辱を味あわされた仁祖、後宮政策に関しても清の勝ちかも。でも西太后がいるか?子女のいない王大妃や大王大妃も、権力の均衡という意味では有用かな。しかし垂簾聴政で権力を発揮するのは、嫡母でも生母でも似なこないか。清や多くの中国王朝で皇帝生母を皇太后と追尊できる(皇后を経ずして皇太后とはなれる、もしくは死後に皇后になれる)のに対し、朝鮮王朝は王の生母でも側室であれば、多くは嬪が限界。仕方ない気もするし、気の毒な気も。