細かいですが、越劇「西廂記」で昨夜考えたこと。思いつくままに書いてみました。たまたまこの演目について談話する好機に恵まれ、戯曲や中国に詳しい方とお話したところ、いろいろ発見が。まず「西廂記」を観ながら、誰に感情移入するか。私は断然、紅娘だと思っていましたが、崔鶯鶯に感情移入する人もいるんだなと。そりゃヒロインは鶯鶯なわけで、紅娘は重要だとはいえ脇役なんだけど、私の脳内では「紅娘→主人公、鶯鶯と張生→紅娘を引き立てる添え物」くらいな勢い。
偏っていたのか、私。カルチャーショック(笑)「西廂記」は数ある演目の中でも非常に古い起源を持ち、越劇のみならず様々な劇で上演されていますが、そのためか日本文化から見たら「?」なところが他より多いかも、と思います。一つ目は、結末が大円満でなく悲劇でもなく、何となく円満を期待させるだけの、肩すかしな構成であるところ。二つ目は、匪賊を撃退する将軍はともかく、将軍にコネがあり援軍を頼めた張生が称えられる点。張生も偉いけど、誰かにお願いしちゃうのね、というガッカリ感。
私は女にばかり目がいくので、この作品では、「紅娘が進んで取り持つように見えて、実は鶯鶯が紅娘を操縦しているのか?」と考えていたのですが、違うみたい。紅娘に感情移入し、鶯鶯と張生が結婚出来たら出世まちがいなし、でも醜聞になったら・・・崔夫人に殴り殺されるか、妓楼に転売かも!とハラハラしてしまいます。
小姐(お嬢様、いわば主人)と、夫人(奥様、主人の主人)の板挟みの紅娘。その進退やいかに…!逆にマオイートンの90年代「西廂記」は洗練されていて、張生も頼りがいがあり、他のキャストや演出の場合と違っていたのかも?はっきりしない鶯鶯と鈍臭い張生じゃ、紅娘がいないと進展できそうにない。などと、鶯鶯の髪飾りが乱れるのに集中力を乱されながら、考えたのでした。ビラビラ簪みたいな髪飾り、三本のビラビラのうち一本が、しょっちゅう鬢にからまる。鶯鶯がアップになるたびつい見てしまい、引っかかったままでサビに入ったりしたら、気になって背中がゾワゾワしました(^_^;)
関漢卿 - 『竇娥冤』
馬致遠- 『漢宮秋』
白仁甫 - 『梧桐雨』
鄭光祖- 『倩女離魂』
→元曲の四大家とされる。
王実甫
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